シリア難民夫婦の家に招かれる
シリア人難民ムハンマド夫妻のアパートメントに行く。ドアを開けるとまだあどけない少女のような奥様が待ち受けている。
ウェルカム!さっき電話で話は聞いたわ。ガザのムハンマドのお友達ね!よろしく。
奥様はにこやかに出迎えてくれた。美しい髪と透き通る目をした奥様とムハンマドは高校生カップルがじゃれ合うように今日の帰宅をお互い喜び合っている。見ててこっちが照れくさくなるくらい。でもよく考えてみると、二人は一緒にいられなかった可能性もある。好き同士の二人が一応安全な場所で暮らせている奇跡を考えるとちょっとの離れた時間から一緒に居られる瞬間はそれはそれは愛おしいものになるだろう。きっとわたしの考える何十倍だと思う。
さあ、ごはんにしましょう!さっきね、ムジャダラ作ったのよ。シリアのムジャダラは最高よ!
やっぱり!祖国の味が最高よね。パレスチナ人といてもシリア人といても味へのこだわりというよりも自信!そこに誇り高きアイデンティティーを感じる。
サラダも作るから梓もキッチンに入る?
もちろんよ!小さなナイフできゅうりやらトマトやら小さく四角に切っていく。このモザイクのようなカラフルさにアラブを感じる。
キャラメルのように甘く茶色になるまでじっくりと炒めた玉ねぎはムジャダラには欠かせない。ムジャダラはレンズ豆の炊き込みごはん。玉ねぎの甘さと最高にマッチする。ヨーグルトをかけてもよし。
そろそろガザのムハンマドが迎えにくるよ。
そうシリアのムハンマドが言うと奥様はそそくさと部屋に入り身支度を整えた。もちろん、今までつけていなかったヒジャブも。
コーヒでも淹れましょう。ネスカフェとアラブコーヒーどっちがいい?ってそりゃ、アラブコーヒーよね!
イブリークと呼ばれるコーヒー用の小鍋にパウダー状に挽かれたコーヒー豆を人数分大きめにスプーンで加えお湯を注ぐ。そして泡立つまで煮立たせる。小さなカップへ注いで出来上がり。
その泡がポイントなのよ。吹きこぼさないようにして、火を遠ざけたり近づけたりね。
ガザ人ムハンマドの登場だ。
梓、シリア料理はどうだった?明日はお待ちかねのパレスチナ料理というか、ガザ料理だからね!
シリアも最高!みんなが最高よ!!
小声で、ガザ人ムハンマドはこう言った。
シリア料理も美味しいけど、ガザが最高だよ!
++訪れてくれるみなさまへ+++
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