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『空色伝説』

『空色伝説』 No.072

クソ、なんで今のプレーが警告になるんだ…!
後半は特にディフェンスのマークが強くなっている
ダメだ、冷静にならないと…

全国高校生サッカーの決勝戦
コバルトブルーの服を着たサポーターで埋め尽くされる
今日の空は、スタンドにも大きく映し出されていた
そして、そのほとんどの声援は俺に向けてのものだろう
準々決勝、準決勝と二試合連続ハットトリック
この決勝戦でも達成すれば…
伝説まで後一点だ
後半の残り時間も半分を切っている
自陣のゴール前で相手のパスをカットしたミッドフィルダーからボールが飛んできた
仕方ない…やっぱり“あの”力を使うしかないか…
ワンタッチで足元に引き付け、一気に加速した
俺は、ボールを蹴っている感覚は無い
それが意思を持ち、自らが足元で飛び回っているように感じる
各メディアはこれを“悪魔的なドリブル”と評する
だがそれは誤りだ…
数人の相手を交わし、ペナルティーエリアに切り込む
キーパーもフェイントで抜いた
観客の興奮が身体に駆け巡る
その直後、右後方からスライディングをする相手が見えた
次の瞬間、俺の身体はピッチに横たわっていた
笛の根が歓声をかき消す
ヨシッ、PKは頂いた!
…遂に俺は、伝説になるんだ…
ゆっくりと起き上がり、手を上げて右足は何ともないとアピールした
一際大きなどよめきが起こる
しかし、見上げた景色は想像していたモノではなかった
眼前に広がるその空は、信号機のように色を変えていった…


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