介護離職の現状と介護休業制度の有効性
介護休業制度関連のニュースを目にする機会が増えていますね。
厚生労働省の「令和4年就業構造基本調査」によると、2022年に介護を理由に離職した人はおそよ10万人でした。
これは、離職者全体の1.4%に相当します。
介護離職者の男女比率は、女性が84.4%と男性を大きく上回っています。
また、年齢別に見ると、55~59歳が24.3%、60~64歳が21.7%と、50代以上の割合が46%を占めています。
介護離職者の離職理由は、介護者の負担が重すぎる(59.1%)、介護と仕事の両立が困難(34.3%)などが挙げられます。
介護離職者の再就職率は31.0%と低く、再就職した人の多くは非正規雇用(62.8%)に就いています。
このように、介護離職は、介護者本人や家族、社会全体に大きな影響を与える問題です。
介護離職を防止するためには、介護者の負担を軽減する支援策の充実や、介護と仕事の両立を支援する制度の整備が重要です。
その中で、介護休業制度は、介護離職を防止するために有効な制度です。介護休業制度は、介護のために一定期間、労働義務を免除される制度です。
介護休業制度を利用することで、介護者の負担を軽減し、仕事と介護の両立を支援することができます。
また、介護休業中に給与の一部が支給されるため、経済的な不安を軽減することもできます。
厚生労働省の「令和3年介護休業等実態調査」によると、介護休業制度を利用した人の9割が、介護休業を利用したことで、介護と仕事の両立がしやすくなったと回答しています。
また、6割が、介護休業を利用したことで、再就職しやすくなったと回答しています。
これらの結果から、介護休業制度は、介護離職を防止し、介護者の就業支援に有効であることが示されています。
具体的には、以下のような効果が期待できます。
〇介護者の負担を軽減し、介護と仕事の両立を支援する
〇介護休業中に給与の一部が支給されるため、経済的な不安を軽減する
〇介護離職を防止し、介護者の就業機会を維持する
介護離職を防止するためには、介護休業制度の周知・促進や、職場環境の整備が重要です。
事業主の方は、介護休業制度を積極的に活用できるように、制度の内容や申請方法について従業員に周知し、相談しやすい環境を整備する必要があります。
また、介護休業中の従業員が仕事に復帰しやすいように、職場環境の整備も検討する必要があります。
以上、ご参考になれば幸いです。
社労士 山下
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