楽屋で、幕の内。|今思うこと July.7
不安や悩み、ぶっとんだ夢まで。いつも深い心で受けてとめてくれる福岡在住のライターさんにお声かけをして、リレー日記を立ち上げることにいたしました。題して「楽屋で、幕の内。」 書くことや聴くこと、読むこと、愛する福岡のことなどをそろりそろりと言葉にしていきたいと思っています。
実は前日から取り掛かっていた原稿は昼には仕上がりました。しかし夕刻になり、どうしても載せる気にならなくなりました。そこでいったんそちらは脇に置き、今思うことを書き連ねることにしたのです。
この数日、九州南部を中心に降り注いだ大雨は恐ろしいほど瞬く間に、川や山、街や人を飲み込んでいっています。九州では2016年に熊本地震がありました。2017年には九州北部豪雨も起きました。ほかにもさまざまな災害が起きています。その爪痕がまだ残っているのに、また自然は牙をむいてきているという印象が拭えません。
おそらく九州のライターであればこれらのうち、いづれかの土地に取材に訪れた経験があるのではないでしょうか。現地に住む人たちの顔を見ながら話を聞き、土地のものを食べ、酒を呑み、温泉にもつかったかも知れません。急流で知られる球磨川はラフティングができることで知られています。鮎も泳ぐ、澄んだ美しい川で、ここで湧き出る水は米焼酎になります。
そんな明るい記憶を鮮明に思い浮かべながら全く違う変わり果てた灰色の景色を前にすると、茫然とするしかないことが歯がゆい。同時に私たちが言葉を発するという行為は例外もありますが、おもに健やかな暮らしの上に成り立つことをストレートに教えてくれています。
最近インタビューしたある企業の社長がこうおっしゃってました。「そもそも世の中の役に立つために会社を作った。だから役に立つ事業をどんどんする」。
ライターの仕事とはろ過装置のようなものであり、拡声器のような役割もあります。微力かも知れませんが、今もっているスキルを最大限に使い、力になることをしたいと今、思いを強くしています。
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