#1: 一般社団法人PyCon JP Associationの場合【謝罪文読解】
謝罪文読解についてはこちらをご覧下さい。
元文書
PyCon JP Blog: PyCon APAC 2023におけるNOCコンテンツに関するご指摘について
ことの概要
PyCon JP Association(以下、PyConJP)が APAC 2023というイベントを開催した
PyConJPは会場でWiFiを提供していたが、そのWiFiに接続したユーザのアクセス先ドメインをインターネット上に公開した
PyConJPに対し、上記の行為は法令・倫理上問題あるのではないかとあるSNSユーザが指摘した
PyConJPは当該行為に問題があることを認め、謝罪した
読解
それでは読んでいきたいと思います。
1. 一般社団法人PyCon JP AssociationとPyCon APAC 2023の関係について
様々な責任があることは「当法人」にあると言い切っており、なかなかポイント高いですね。イベント開催者としては、やはりそのイベントにまつわる問題についてはいろいろ責任をもってもらいたいところです。
2. 発生した事象について
端的にまとめられていてよいと思います。ただ内容に関して不思議なのは、一度指摘を受けてからも公開を停止することなく、但し書きをしたり公開する内容を削るなどした上で公開を続けたところです。そういった変更をすれば公開を続けてよい、という判断がされたものだと思いますが、その後結局公開を停止していることを考えると、その判断は誤ったものと思われます。
誰かが2日目に公開を続けることを判断したのだと思いますが、どういった意思決定フローがあったのかが気になるところです。
3. 本件の問題点について
問題点が大きく二つに分けて整理されており、わかりやすいです。中身を見ていきましょう。
今回の行為が法的に問題があり得たと述べています。とても端的でよいですね。ポイントとしては
関連法案に言及しているところ
違法性の阻却事由に当てはまらないとの意見を述べているところ
ただし、こういった関連法案に言及する際には、該当する項番などにも言及することがベターですね。
こちら謝罪文の形態としては問題ないのですが、その内容についてはいろいろ突っ込みどころがあるようです。参考までに一つ引用します
確かに、法令の名称が違うことは明らかなようです。細かい点ではありますが、このような謝罪文ではとても重要なポイントです。弁護士を通した文章だとするなら、その弁護士の能力も疑われることでしょう。
また、対象とする法令が違うとするなら、そもそも何に誤っているのかという謝罪文としての根幹部分が揺らぐので、今後の続報に期待したいところです。
2日目に公開を続行したことについても問題があることを認めています。これも謝罪文としてはわかりやすいのですが、ボランティアスタッフかどうかを明記する必要があるのでしょうか。
組織に属していた人物であることは重要ですが、その形態については被害を受けたであろう方たちには関係ないと考えられます。ボランティアスタッフだから教育が行き届いていなかった、と言いたいのだとしたら、「だから大目に見てね」と言外に言いたいのでは・・・と勘ぐられてしまうかもしれませんね。
4. 再発防止策について
再発防止策をまとめ、それを公開してくれることはとても良いと考えます。他の団体が似たような事件を起こさないためにも、参考となる知見となるからです。こういったことを継続的に実施していくことは、金銭的にも労働力的にもかなり難しいとは思いますが、少なくとも公開している点において期待が持てるところです。
法人に責任があることを明記したうえで、個人攻撃はやめるよう仕向けるのは大変重要ですね。少なくともここまで問題が大きくなったのは、SNS(X)上であるユーザが問題を指摘したことに起因すると考えますが、そのユーザに対しての攻撃がX上などであったようです。
そのような行為を諫めることは法人として当然の行為と考えます。
ただ、敢えて穿った見方をすると、以下の2つの対象に対する言及で段落を分ける意味はあったのでしょうか。
本イベント運営スタッフや関係者個人
問題提起をくださったコミュニティの皆様
前者に対しては「くれぐれも」と強調表現を使っている一方、後者に対しては使っておりません。このような書き分けは
「こんなめんどくさい指摘されて対応ホンマめんどくさい・・・一応社会性発揮して指摘をした人物への個人攻撃もやめるように書いておくけど、ちょっとトーンダウンしておくか」
と考えているように思われかねないです。余計な詮索をさせないためにも、表記を分けないようにしたいところです。
番外: コメント欄
謝罪文はブログ上で記載されており、謝罪文には珍しくコメント欄を開放しています。そのコメントでは以下のようなことが指摘されています。
PyCon APAC 2023の運営関係者が、告発者を攻撃していたという話が合ったようです。これが事実かどうかはわかりませんが、少なくとも謝罪文にはその旨の記載がありません。もしこれが事実だとしたら、そういった事実関係の把握もなく謝罪文を公開していることになり、ますます組織運営に問題があることになります。続報を期待したいところです。
参考までに、X上で見つけた内容を載せておきます。
総論
謝罪文としての体裁は整っていた印象ですが、内容に関して突っ込みどころが多いように感じます。言うまでもないことですが、謝罪文で内容が間違っているとしたらまた謝らないといけず二度手間ですし、実施するたびに信用が下がってしまいます。
そういったことを鑑み、この謝罪文の点数は100点満点中60点といったところでしょうか。今後の続報にも期待したいところです。