Give First: なぜGiveから始める組織は強いのか
人から助けてもらうために最も良い方法はなんでしょうか。
そのひとつは、自分から先に人を助けることです。
「自分から先に相手のために行動しよう」
Voicyの千田です。現在、幸いなことに、とても良い状態の組織で働くことができているのですが、この環境を支えているマインドのひとつにGive Firstがあります。Give Firstを実践するメンバーが多い組織は高い熱量を持ち、良好な関係性を築けます。
これは僕の行動の軸となる考え方のひとつでもあります。
本記事では、このGive Firstというコンセプトが組織にとって、あるいは組織を構成する個人にとってどのように役立つのか、自分の考えを分解して言語化してみます。
Give Firstとは何か、なぜGiveから始めるのか
Give Firstとは、自分から先に貢献する行動をとることです。
個人のメリット
まずは、組織の中の個人の目線でGive Firstのメリットを紹介します。
本記事の冒頭で、人から助けてもらうために最も良い方法のひとつは自分から先に人を助けること、と述べましたが、基本的にGive Firstをする上で見返りは求めません。自分が助けた相手が必ず何かお返しをしてくれるわけではないので、すぐに何かが返ってくることを期待すると、消耗してしまいます。
では、見返りもないのに他者に貢献し続けることになるのかと言えば、そんなこともありません。自分の行ったGiveはなんらかの形で返ってくる場合が多いです。「情けは人の為ならず」という表現が当てはまるかもしれません。
Give Firstの特徴として、自分から先に貢献する、という点が挙げられます。「先に」というところが重要で、これは自分から動く行動なので、どんな領域で行動するのか選ぶことができます。つまり、自分の得意なことや好きなことを選ぶことができます。すると苦手な領域で誰かにやらされた行動と比べて、自ずと成果も出やすくなります。
また、Giveという行動には必ず相手がいます。その相手とのコミュニケーションが生まれたり、Giveをきっかけに関係性作りができたりする点も大きいと考えています。
これは人によって感じ方が異なる部分ではあると思いますが、自分の場合は行動に対して感謝されること自体がすでに報酬になっている、とも思います。精神的な報酬は定量化が難しいものの、時に金銭的な報酬や物質的な報酬を上回ります。
組織のメリット
次に、組織側の目線の話をします。
先ほど個人目線の話の中で、Give Firstを意識することで成果を生みやすいという話をしました。成果に繋がる行動をとるメンバーが増えることで、組織全体が生み出す価値の総和が増えるというのがひとつ目のメリットです。
また、Giveという行動は単に価値を生み出すだけでなく、メンバーのメンタルにも良い効果があります。メンバー間に感謝が生まれたり、関係性が深まったりすることで、組織全体の熱量やエンゲージメントも上がります。
Giveは連鎖します。連鎖したGiveがループして全員のエンゲージメントに寄与している状態の組織は強いです。
Give Firstの弱点
Giverの天敵は「行き過ぎたTaker」です。Give Firstを徹底しすぎた結果として、自分の時間を失ってしまったり、体力/精神力をすり減らしてしまったりしては本末転倒です。
そのため、組織を良い状態に保つためには、Takerを多数派にしないことも重要だと思っています。Takerが多くを占めると、「Giveしても損をするだけ」という考えが蔓延してしまい、Giveする人が減る循環に陥ります。
しかしながら、ほとんどの人間は一方的にGiveされ続けるという状況に耐えられません。Giveされるとそれを返さないと借りがある、という気持ちになるものです。いわゆる返報性の原理ですね。
少々打算的に書きましたが、初めにGiveする人がいることで次のGiveが生まれ、それが連鎖していくことによって組織全体のGiveを増やしていくことができると思います。この連鎖の始点になることで、もしかしたら始めは自分だけが損をしているような感覚になるかもしれませんが、連鎖が回り出したときに返ってくるものも大きくなります。たぶん。
Give Firstの実践
Give Firstの実践にあたって重要なキーワードは「越境」と「能動」だと考えています。
チーム内など、自分の所属内でのGiveはある意味当たり前とも言えます。互いに足りない部分を補いあったり、得意を活用したりすることで全員が個人で動くよりも大きな価値を生む、そのために作られるのがチームだからです。
越境することが効果的なのは、自分の能力や行動が活用されうる場所は必ずしもチーム内だけにあるとは限らないからです。より高い視点から、より広い視野で組織全体を見ることで、自分が貢献できる場所はいろいろなところに転がっています。
チームのミッションは、絶対にそのチームだけで達成しないといけないわけではなく、より重要なのは組織全体で達成したいことが達成されていることです。
そして、越境するためには能動性が必要です。チームをまたぐ行動にはそれなりのハードルがあるからです。
しかしながら、これは単に「大変だけどがんばろう」という意味ではありません。能動的に動くと良いことが多いです。Give Firstのメリットの章で書いたように、心理的なハードルが低かったり、能力を発揮しやすかったり、挑戦してみたかったりする領域を自分で選ぶことができます。
ここまで、「チームと組織全体」という関係について話をしてきましたが、「個人とチーム」、「会社とステークホルダー」などのように、異なるレイヤーで考えても相似形となり、同じ考え方を使うことができると思います。
自分のタグを公開する
Give Firstな行動をとりやすくするために便利なのが、自分のタグを公開することです。例えば僕は以下のような人として、社内で認知されています。
自社サービスのヘビーユーザー
学生時代に音声情報処理の勉強をしていた
通知基盤を作った
よくGASでスプレッドシートとSlackを連携している
(いつもオムライスを作っている)
これにより、音声処理に関するプロジェクトを任せてもらえたり、音声編集に詳しいメンバーから編集技術に関するおもしろい話が聞けたり、ビジネスチームやコーポレートチームのメンバーからちょっとした業務改善の相談を受けたり、(社内の交流会イベントでオムライスを作ったり) と、自分が好きな領域での活動につながっています。
タグを示す方法はいろいろありますが、認知してもらえればなんでもいいです。例として、普段の会話の中で言ってみることや、社内のチャットで気になる会話があったら飛び込んでみる、などです。
こういった行動がどれくらい許されそうか、については組織ごとに異なってくると思うので、各々の所属組織にあった形で表現していけるといいと思います。Voicy社内では、元々自分が入っていない会話でも何か貢献できそうならどんどん首を突っ込んでいく、という行動が歓迎される風土があるため、のびのびと動けています。
このタグについての考え方の元になっているのは、澤円さんの発信です。澤さんはご自身のVoicyチャンネル「澤円の深夜の福音ラジオ」をはじめ、様々なメディアで自分にタグを付けることの重要性をお話しされています。
おわりに
お読みいただきありがとうございました。Give Firstはメンバーであってもリーダーであっても誰でも実践することができます。この内容が、組織内での立ち回りや、チーム作りの参考になれば嬉しいです。
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以下は、この記事を書いた背景です。気になる人だけお読みください。
この記事を書いた背景
本記事は、2023年2ndクォーターにおいて、Voicy社内で最もGive Firstな行動をとっていた人として表彰されたことを機に、自分の考えを文章にまとめようと思い、執筆しました。
Voicyのキックオフと表彰
Voicyでは一般的な会社と同じように、1年間を4つに区切り、クォーターという単位で活動しています。各クォーターの最初の月には「キックオフ」というイベントがあります。だいたい5時間くらいのまとまった時間をとって実施されており、内容は以下です。
各部署のリーダーによる前クォーターの振り返り
各部署のリーダーによる今クォーターの方針発表
表彰
懇親会
表彰の中にはVoicy Mind賞という賞があります。VoicyにはMission/Vision/ValueのValueに相当するものとして、Voicy Mindがあります。
Make Value 「価値を生もう」
Give First 「ギブから始めよう」
Be Professional 「プロフェッショナルであろう」
Toward the Goal 「同じゴールに向かおう」
4つのMindを4つのクォーターに割り当て、クォーターにひとり、Voicy Mindを体現した人が表彰されます。今回は2ndクォーターでGive Firstを体現した人として表彰されました。この賞の受賞者は全社員からの投票によって決まります。
また、表彰者はキックオフの中で全社員に向けて20分弱のプレゼンテーションを行います。本記事は、そのプレゼンテーションに向けて整理した内容をベースに書きました。自分の行動を言語化する機会というのは意外と少ないもので、自分自身にとっても良い経験となりました。
音声で聴く
以下は表彰の当日、帰宅直後に収録した音声です。このnoteとは話の切り口が異なっており、話し方や間の取り方などから感情も伝わるかなと思います。もしよろしければこちらもどうぞ。
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