ラ・リーガ 23-24シーズン 前半戦総括


 もう21節が始まってしまったけれども、23−24シーズンのラ・リーガの前半戦を誠に勝手ながら書かせていただく。
 総括と言っても、私がマドリディスタであるので、マドリーを中心に振り返りながら、個人的なラ・リーガベストイレブンと今シーズンの今後の順位変動を予測していきたい。順位は1月4日、19節終了時点で記載しています。
 最初に前半戦ベストイレブンノミネート選手をリストアップしていく。ノミネート基準はベストイレブンに筆者が入れたいと思ったかどうかという完全主観。のちにベストイレブン選出して、最後に順位予想と注目チーム、注目選手を挙げて締めたいと思う。

23−24シーズン前半戦ベストイレブン

1位 マドリー

前半戦1位のマドリーからベストイレブンに選んでも良さそうな選手をノミネートすると、以下のようになった。

  • ベリンガム

  • バルベルデ

  • クロース

  • カルバハル

  • リュディガー

 ベリンガムは文句なし、彼がいなければ前半戦に首位にいることもCL首位通過することもできなかっただろう。ビルドアップではライン間でボールを受けてドリブルでボールを持ち運んで前進し、相手を押し込んだ状態ではミドルシュートも二列目からの飛び出しもドリブルでの打開もなんでもできる。そしてとにかく点を決める。また、ボールを奪われた後の振る舞いも素晴らしい。セットした状態の守備でもボールの取り所になり、そこからカウンターを発動させる。前半戦中盤から442の左SHでの立ち位置が明確になり、それから守備での貢献度はさらに高まった。
 バルベルデもすごかった。昨シーズンのような得点はあまり見られなくなってしまったが、その代わりに試合を組み立てる力を見せた。ベリンガムの加入により、平均的なポジショニングがやや後方に下がったため、昨シーズンから求められる役割に変化があったが、それに見事に応えてくれた。最終ラインからのビルドアップではDFからボールをピックアップして、ドリブルでボールを持ち運んだり、精度の高いロングボールで一気に相手をひっくり返したりしてチームの前進を助けていた。また、相手を押し込んでからの攻撃ではチームのコンダクターとして高いレベルのプレーを見せていた。ネガティブトランジションでもボールを回収して二次攻撃に繋げたり、ロングカウンターを防いだりしていた。守備時は主に442の右CHでプレー。相方がクロースの時もあり、より一層守備での広範囲のカバーを求められていたが、それも難なくこなしてみせた。
 クロースは特に攻撃面での貢献が素晴らしかった。言うまでもないが、ゲームメイク能力が非常に高く、クロースがいるのといないのとではマドリーの攻撃の質が大きく変化した。ビルドアップ時、CBからボールを受ける際の動きも非常に上手く、受けてからの選択肢の多さ、選択・実行の正確さによって相手を苦しめていた。押し込んでからの攻撃もコンダクターとしてバルベルデ以上の素晴らしいプレーを実行していた。
 カルバハルは鬼。今シーズン幾度となく右サイドレーンを制圧していた。ビルドアップ時は主に右サイド高い位置でボールの受け手となり、低い位置でビルドアップに関与する際も相手のプレス回避に寄与していた。相手を押し込んでからはバルベルデやロドリゴと連携しながら右サイドの相手守備陣を崩していき、時には得点もした。カウンター対応も巧みでボールを逃さず二次攻撃に繋げるし、相手に前進されても中距離のスプリントでカウンターを阻害する。引いて守る際にも右サイドで高い対人能力を発揮していた。
 最後にリュディガー。クルトワ、ミリトンとシーズン序盤に長期離脱をし、アラバも前半戦終盤で長期離脱を強いられた。そのような守備陣の中で出ずっぱりになり、それでも高いパフォーマンスを発揮し続けている。ビルドアップ時は左サイドへの対角のロングボールが効果的に前進に作用していた。何よりカウンター対応や守備ブロック形成時の貢献度が凄まじかった。対人ではほぼ負けないし、相手FWとの中長距離の走り合いで負けない。さまざまな局面でフィールドの広範囲をカバーし、マドリーの失点数減少に大きく貢献した。
 個人的にはロドリゴ、ホセル、ブライム、モドリッチは入れたかったが、出場時間が短かったり、調子が悪い時期があったりと前半戦全体での貢献度を考えるとベストイレブンには選べなかった。残念。

2位 ジローナ

 お次は大躍進2位ジローナからのノミネート。1位のマドリーより選手数が多いのは期待値を大きく上回ってくれた選手が多いから。あとかなり先発メンバーを固定してくれていたから。

  • サビオ

  • ドフビク

  • マルティン

  • アレイシ・ガルシア

  • ヤン・コウト

  • ブリント

  • ミゲル・グティエレス

  • ガッサニガ

 まずは攻撃陣。21節時点でドフビクは11G5A、サビオは5G5Aを決めている。ドフビクはビルドアップ時にセンターレーンでどっしり構えていることが多く、貢献度はそこまで高くない(いることが大事!)が、押し込んだ際の味方との連携が上手く、少ないタッチ数で相手守備陣を崩したり、クロスをきっちり決め切るなどFWとしての役割をこなす仕事人。一方サビオは左サイドレーンに張ってボールを受けることが多く、ドリブルでカットインしながらファーに流し込むクロスやシュートで得点を演出してきた。また、ドフビクや左SBのミゲルとの連携が非常に素晴らしかった。
 続いてMF陣。マルティンはビルドアップ時に325に変形するジローナの中で2の右側にいることが多い。CBやアレイシ・ガルシアからライン間でボールを受けたり、ウィングの位置にいる選手にボールが入った後に素早くサポートするなどあまり目立たない役回りを確実にこなしていた。一方のアレイシはCBに並んでボールの出し手となってボールを前進させていた。やっていることはクロースに近く、ロングボールの質や選択の正確性は、ジローナが2位に躍進していることで証明できているのではなかろうか。クロースの後釜としてマドリーは獲得考えても良いのでは?と筆者は思っていたり。
 最後に守備陣。守備陣といってもヤン・コウトとミゲルは攻撃での貢献度がめちゃくちゃ高かった。ミゲルは攻撃時に左ハーフスペースにいることが多いが、左SBの位置から移動するタイミングが絶妙。また、サビオのサポートとしても優秀だし、相手を押し込んだ際の攻撃でも高い攻撃性能を発揮している。ミゲル、マドリーに戻っておいで。一方のヤン・コウトは右ウィングの位置で張っていることが多い。ボールを受けてからはドリブルで切り裂いていくことが多い。左でサビオがやっていることを右で行なっている感じ。ブリントはアレイシと一緒に最終ラインからの出し手としてチームの前身に貢献。全体的に若めのチームの中でバイエルン、ユナイテッド、アヤックスと名門を渡り歩いてきた経験は貴重なのでは。最後にキーパーのガッサニガをノミネート。最終ラインからショートパスでビルドアップしていくジローナでは、足元の技術が高いGKは必須。前プレをされた際に落ち着いて二列目の選手にさせる技術やサイドレーンにスキップできる選手としてジローナの躍進を支えたと言える。

3位 バルセロナ

 調子は良くなかったが、なんだかんだ勝負強さを各試合で見せて勝ち点を拾っていた印象。クラシコの時も後半途中までマドリーは苦しかったし、自力はあるはずなのだが、イマイチ優勝できる感は他のシーズンと比較すると薄い。

  • ギュンドアン

  • カンセロ

 バルセロナからは2人しかノミネートしていない。フレンキーは選んでも良かったんだけど、長期離脱していたので惜しくも選外。アラウホは守備面での貢献度は高いが、ビルドアップの局面で物足りなさを感じたので選外。
 ギュンドアンはバルセロナの中で孤軍奮闘していた印象。今季やってきた選手にクラシコでチームを叱咤激励されていて他の選手は悔しくないのだろうか。ピッチ内ではビルドアップでCBをサポートしながら出し手となってボールの出口を見つけ、一列前に上がってもライン間でボールを受けては的確に散らしていく。相手を押し込んでからもコンダクターとして高い能力を発揮していた。Sofascoreの数値を見ると実はレバンドフスキのゴール期待値はラ・リーガトップであり、そのゴール期待値を支えていたのはギュンドアンの献身ではなかろうか。レビー決めろ。
 カンセロは左右両方のサイドバックをこなせるほどの器用さでプレス回避に貢献し、ビルドアップでもCBからの出口になってボールを前進させるのに寄与していた印象。相手を押し込んでからの攻撃では、他のウィングの選手以上にドリブルやチャンスメイクで脅威になっていた。

4位 アトレティック

 ジローナの陰に隠れているが、実は大躍進しているアトレティック。エルネスト・バルベルデの手腕たるや恐るべし。とは言うもののアトレティックの試合は筆者があまり観戦できておらず、実情はよくわかっていない。今シーズンはグルセタやウィリアムズ兄弟、ベレンゲールなど攻撃陣が好調な印象。守備陣もビビアンやジェライを中心によく守れているのではなかろうか。ビビアンにはビニシウスが完封されていてビビった記憶がある。ラ・ロハに選ぶならダビド・ガルシアやル・ノルマンよりこの人の方が良さそう。ということでノミネートはビビアン。攻撃陣も良いのだが、ベストイレブンに選ぶほどじゃないかな、と思ってしまった。

  • ビビアン

5位 アトレティコ

 マドリディスタにとっては今季特に嫌な敵になっているアトレティコ。意外にも優勝争いからは一歩遅れをとっている。魅力的な攻撃の反面、これまでの守備の硬さが物足りないのか。ノミネートした選手は以下の通り。

  • デ・パウル

  • グリーズマン

  • モラタ

 デ・パウルはアトレティコの攻守の繋ぎ目としての役割を存分に発揮している。ボールを刈り取れて、広範囲をカバーして、ビルドアップでは最終ラインからボールをピックアップして前線へとボールを供給し、相手を押し込んでからはタイミングよくゴール前に顔を出していく。今季は4アシスト記録しており、今後もアシスト数が伸びていけばチームの順位も上がっていくだろう。
 続いてグリーズマン。今シーズン今まで以上の輝きを放っている。19試合全てに先発し、11ゴール3アシスト。このスタッツだけでノミネートしない理由がないと言えてしまう。どれだけライン間のスペースが狭くてもそれを苦にせずボールを受けて、ゴールに直結するプレーをし続ける。前線からの守備もサボらずやり切るし、時には自陣深い位置までプレスバックを行う。
 最後にモラタ。これまでに12ゴールを記録し、得点ランキングは2位。このままいけばピチーチも見えてくる。ストライカーはゴールが全て。ノミネートは当然だろう。

6位以下のチームからのノミネート

6位以下はノミネートしたい選手だけリストアップ。

  • 久保建英

  • ブライス・メンデス

  • アマリ・トラオレ

  • イスコ

  • マジョラル

  • グリーンウッド

  • ペペル

  • ハビ・ゲラ

  • バジェス

  • キリアン・ロドリゲス

  • ライージョ

  • フォイト

  • ブディミル

ベストイレブン

 筆者が選出した23−24シーズンラ・リーガ前半戦ベストイレブンは以下の画像の通り。

 マドリー、ジローナからそれぞれ4名、アトレティコ、ソシエダ、ラス・パルマスからそれぞれ1名ずつ選出した。この中だと、ベリンガム、グリーズマン、リュディガー、カルバハル、ミゲルは迷わず選出できた。GKはガッサニガと迷ったが、セーブ率などのスタッツや攻撃面でのスタッツも含めて前半戦8位と大躍進のラス・パルマスの正守護神から選出した。CBのもう片割れはビビアンと迷ったが、右のCBとして活躍したリュディガーを右におくなら左で活躍したCBを選出する必要があるだろうと思い、ブリントを選んだ。ピボーテはかなり迷った。クロースやギュンドアンのチームへの貢献度は凄まじかったが、今季躍進し、今後への期待も込めてアレイシを選出。バルベルデはイスコと選出を迷った。全くタイプの異なる選手であり、今季のイスコの復活は非常に嬉しいのだが、イスコの活躍がいまいち順位に反映されておらず、その点でバルベルデに軍配が上がった。ベティスがCL圏内に食い込んでいたら話は違っていただろう。久保の活躍もイスコと同様に順位に反映されてきっていないと考えるが、他に右ウィングで活躍していた選手がいるかを見ると、やはり久保を選出する他なかった。CFはマジョラルやモラタと迷ったが、ジローナの躍進を考慮し、ドフビクを選出。順位は正義。

後半戦展望

最終順位予想

  1. マドリー

  2. アトレティコ

  3. ジローナ

  4. バルセロナ

  5. アトレティック

  6. ソシエダ

  7. バレンシア

  8. ベティス

  9. ラス・パルマス

  10. ビジャレアル

  11. ヘタフェ

  12. オサスナ

  13. ラージョ

  14. セビージャ

  15. セルタ

  16. マジョルカ

  17. アラベス

  18. カディス

  19. アルメリア

  20. グラナダ

 最終順位は上記のように予想する。マドリディスタだし、今季調子良さそうだし、バルサもアトレティコも勝ち点結構落としているし、優勝予想。優勝争いをしているジローナは最後まで優勝争いしてほしいが、後半中盤で失速し3位予想。代わりに調子を上げてきそうなアトレティコを2位に予想。バルセロナは正直これから調子が上がるとは思えず、4位予想。なんならCL出場権も怪しくなってシーズン終了間際にヒヤヒヤすることも予想しておく。バルサをヒヤヒヤさせる相手がアトレティックで5位予想。現在の好調を維持しそうで、選手層にも厚みがあるため最後までCL圏を狙ってくるのではなかろうか。
 CL圏に届かず、ELを争いそうなのが、ソシエダ、バレンシア、ベティス、ビジャレアル+今季大躍進のラス・パルマス。ラス・パルマスはジローナ同様選手層の薄さにシーズン終了間際に苦しんで、その中だと低めの順位になると予想。ビジャレアルは他のチームと比較すると今季勝負強さがない印象。パウが抜けた穴はやはり大きいようだ。ソシエダはCL圏にも届きそうだが、アジアカップで久保の離脱の影響とCLを今季戦わなければいけない影響にリーグ戦で苦しめられそう。ただ、この中だと自力を見せて6位予想。バレンシア、ベティスは正直どちらが上になるかわからないが、若手が台頭しているバレンシアに期待も込めて7位予想。ベティスは8位に予想する。
 降格争いはしないけど、かといって上位に食い込むことはなさそうなのが、ヘタフェ、オサスナ、ラージョ、セビージャの4チーム。この中で一番得点力のあるヘタフェを最高順位の11位と予想。オサスナとラージョは予想がつかないが、アフリカ勢がおらずチーム力の低下がシーズンでなさそうなオサスナを12位とした。よって13位はラージョ。セビージャはこの中で一番現在順位が低いチームであり、降格圏争いを脱するのに時間がかかると予想。それでもチームとしての意地を見せて14位フィニッシュを予想する。
 最後に降格圏争いをするチームはセルタ、マジョルカ、アラベス、カディス、アルメリア、グラナダと予想。セルタは降格圏争いをしつつも、なんだかんだラ・リーガに長くいる経験が生きてこの中では最高順位でフィニッシュするのではないかと考え、15位予想。マジョルカはムリキの復帰に全てがかかっていると思う。そろそろ復帰してくれそうだし、なんだかんだ安定した守備力があるので次点16位予想。残りの4チームの中で一番MFの質が高いのがアラベスだと思うので、アラベスがギリギリ降格圏を抜けて17位フィニッシュすると予想。カディスは得点力のなさが祟って久々の2部降格。アルメリアはルイス・スアレスとロピーの台頭、アリーバスの頑張りで最下位脱出も降格圏は抜けられず19位フィニッシュ、グラナダはブライアン・サラゴサが冬に抜ける穴を埋めきれず尻すぼみして最下位フィニッシュを予想する。

注目チーム&選手

 マドリディスタの私はもちろんマドリーに注目し続け、応援し続けるわけだが、後半戦特に注目したいのはニコ・パスだ。CLグループステージで放ったあの輝きをぜひラ・リーガでも見せて欲しいと期待している。
 マドリー以外で今季注目しなければいけないのはやはりジローナだろう。ペップシティを彷彿とさせる美しいサッカーが今季どこまでいけるのか注目していきたい。特にアレイシ・ガルシアはジローナのサッカーの要ともなるので、移籍市場も含めてプレーを見続けたい。また、マドリーの下部組織出身であるミゲルのプレーぶりにも注目したい。そして来季には是非ともマドリーでプレーする姿を見たい。
 この2チーム以外では、バルセロナ、アトレティコにも注目していくわけだが、それ以外で注目しようと思っているのはアトレティックとアルメリアだ。アトレティックは今季非常に好調であり、最終順位予想でも触れたが、もしかしたらバルセロナを抜いてCL権を獲得するのではないかと思っている。攻守に名手を揃えているため、今後どれだけ勝ち点を積み上げていくか注目していきたい。もう一方のアルメリアは、先ほどの順位予想では降格圏と予想していたものの、20節のジローナ戦で引き分けたように力のある選手が揃っている。マドリーの下部組織出身のアリーバスを筆頭に、左SBのアキエメや左ウィングのラマザーニ、ボランチを務めるロピーなど面白そうな選手が揃っている。来季も1部で見たいチームなので、ぜひ残留してほしい。
 最後に今まで挙げてきたチーム以外に所属している選手で注目したいのは、ハビ・ゲラだ。昨シーズンの最後の方に試合に出るようになった記憶があるが、今季はチームの中心として躍動している。ボールを持った時の推進力やミドルシュートは非常に魅力的で、今後の成長が非常に楽しみである。また、ヘタフェのマジョラルにも注目していきたい。今季ピチーチを狙えるゴール数であり、この活躍が続けば、マドリーに復帰する道が拓けてくるかもしれない。現在はマドリーのフォワードの控えとしてホセルが大活躍しているが、その後の頼れる二番手のFWとしてマドリーに戻ってきて活躍する姿を見たい。

終わりに

今後は定期的にサッカーの分析記事やシーズン振り返り、総括を書いていきたいので、時間を作って書いていこうと思う。理想は週一ペースで書きたいことをつらつら書いていきたいが、まずは月一から始めていこうと思う。頑張れ自分。


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