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パプフィッシュ:極限状態に適応した魚
砂漠の湖に住む魚、パプフィッシュ!
初めて見ることができて、感動した!
この魚、すごいんです。
4℃から45℃まで耐えられ、
塩分濃度ゼロ(淡水)から7%(海水の2倍以上の濃度)まで耐えられ、
5時間も呼吸せずに無酸素で生きられ、
pH耐性もある
まさに極限状態に適応した魚。こんな魚が存在することが驚きだ。見た目は、フグっぽい、少しぷっくりとしたメダカみたいでした。サイズもメダカくらい。
自分が見た場所は、アメリカ・カリフォルニア州南部の、アンザボレゴ砂漠のトレイルヘッドの、池みたいなところに住んでたもの。たぶんレンジャーの人が移動させて飼ってたのだと思う。デスバレーにも住んでるらしい。
![](https://assets.st-note.com/img/1698737759400-QOBwnFDUyq.jpg?width=1200)
フグみたいな小魚
![](https://assets.st-note.com/img/1698737859661-iRZrfUTsRd.jpg?width=1200)
無酸素で生きられる謎
パプフィッシュが5時間も呼吸せずに無酸素で生きられることについて、なんとアルコール発酵(※)をしてエネルギーを得ているらしい。これはすごい!! 糖から解糖系だけを回し、アルコールを作る高等生物がいるなんて知らなかった。まるでバクテリアや酵母みたいだ。。。
例えば筋肉は無酸素で働くとき、糖から解糖系を回して乳酸発酵(※) をしてエネルギーを得て、そのため乳酸がたまり、少し落ち着いて酸素が来たら、たまった乳酸を原料にしてTCAを回してエネルギーを得ている。酸素が無くても解糖系は動くので、動くところだけを使って簡易的にエネルギーを得るシステム。パプフィッシュも基本的には筋肉と同じシステムだけど、なぜパプフィッシュが乳酸ではなくエタノールを最終産物にしているのか分からない・・。エタノールを外に排出しているのか、それとも体内に溜めて自発的に酔っぱらうことができるのか・・。(笑) 濃度にもよるけど、エタノール耐性も持ってそうだ。「自発的な酔っぱらい」ってすごいワードだな・・。
※ちなみに高等生物の場合、「発酵」っていう単語を使うのか分からないけど、経路としては同じ。糖から解糖系だけを使って、乳酸やエタノールやピルビン酸などを作り、同時に少量のATPを得る。酸素がないとTCA回路を回せないので、その前までで止める。
リンクなど
■論文、Paradoxical anaerobism in desert pupfish. 2015年、J Exp Biol誌
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26632453/
パプフィッシュで、エタノールが嫌気呼吸の最終産物の可能性がある、と書いてある。エタノールを外部から加えても酸素消費量が下がるみたい(嫌気代謝に入る)。
■論文、The gut microbiome and its potential role in paradoxical anaerobism in pupfishes of the Mojave Desert. 2020年、Animal Microbiome誌
https://animalmicrobiome.biomedcentral.com/articles/10.1186/s42523-020-00037-5
パプフィッシュにエタノールを与えると嫌気代謝に入るらしく、そこに腸内細菌が関与しているのでは、という論文。エタノールの消費者として腸内細菌が寄与しているとの主張(エタノール生産者は魚)。
■Wikipedia、Devils Hole pupfish(日本語のページは無いみたい)
https://en.wikipedia.org/wiki/Devils_Hole_pupfish
ほかにも、pupfish ethanol で検索すると記事や動画が見つかります。
アンザボレゴ砂漠
ついでに写真をいくつか。とても好きな場所で、よく行ってました。
![](https://assets.st-note.com/img/1698738651172-ydMAk15UBx.jpg?width=1200)
山脈が美しくて素晴らしい!!
![](https://assets.st-note.com/img/1698738699146-MDhUFlhwPJ.jpg?width=1200)
眺めが素晴らしくて、毎回停車してました