ドイツ経済が大ピンチの件
フォルクスワーゲンは、EVで中国系企業との競争激化などの要因が重なり、経営危機に陥っている。ドイツ国内でも、ロシアのウクライナ侵攻後はエネルギーコストが高くなり、ドイツ国内の工場を閉鎖せざるをえないことになった。これに労組は反発しており、労使の全面対決となっている。
フォルクスワーゲンだけではない。自動車部品などのボッシュも、人員削減を計画している。
ドイツ経済は、輸出、特に「自動車と自動車部品」に依存する傾向がある。そのため、中国系EVとの熾烈な競争で自動車が打撃を受けると、ドイツ経済全体までもがダメージを受けることになる。ヨーロッパ最大の経済大国であり、製造業大国であるドイツの苦境は、周辺諸国にも負の影響を与える。なぜならば、EUの周辺国では、ドイツへの出稼ぎ労働者が多いからだ。特に東欧から多くの人がドイツへ働きに出ている。人員削減となれば、ドイツ国民よりも出稼ぎ労働者が切られる可能性は高い。
ドイツは、中国と並んで、グローバル経済の優等生だった。しかし、その中国が内需縮小(バブル崩壊)でEVや太陽光パネル、金属製品などあらゆるものを安値で輸出攻勢をかけることで景気回復をはかろうとするなか、同じく輸出に強いドイツは苦境にあえぐことになった。アメリカは、トランプ氏が来年にも関税を引き上げるかもしれず、そうなるとまさに泣きっ面に蜂である。
ドイツ経済は、以下に依存する形で成長してきた。
・ロシアからの天然ガス
・中国への輸出
・周辺国(特に東欧)からの安い労働力
このうち、上2つがもう駄目になりつつあるので、不況なのだ。さらには、トランプ関税を見越して、ドイツからアメリカへの資本流出まで起きている模様だ。
ドイツ経済、オワコンかな。。。一応、対応策としては、以下を提案したい。
1 原子力発電所の再稼働によるエネルギーコスト低減
2 財政出動による内需拡大
3 自動車以外の新産業の創出
しかし、1については、再稼働できる原発がどれほどあるのか不明だ。原発は安全性が重要なので、すぐに稼働できるシロモノではない。2についても、長年輸出主導の経済成長をしてきたドイツは、供給能力が過剰になっている可能性が高く、財政出動をしても景気回復の効果は限定的かもしれない。3は時間のかかる政策だ。すぐに効果が出るものではない。
よって、しばらく、ドイツ経済の停滞は続きそうなのだ。イギリスとフランスも政治的には不安定であり、ヨーロッパの政治・経済は試練の時を迎えている。