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ルパン三世の銭形警部は、マヌケなギャグキャラクターという印象があるかもしれない。しかし、本来は大真面目で、カッコよく、そして有能な刑事だ。アニメ化の際、全員がキザなキャラクターでは面白くないと、銭形警部をコミカルに描いたのがきっかけで、マヌケキャラクターが定着した。しかし、モンキー・パンチ氏が望んでいたのは、真面目で有能な刑事だ。それは宮崎駿監督も同じで、宮崎ルパンでは銭形警部は真面目で有能な刑事として描かれることが多い。
※ルパン三世は、実は、アニメ監督を何人もの人が担当しているため、監督によって作風やビジュアルが大きく異なっている。これが、新世紀エヴァンゲリオンなどとの大きな違いだ。

銭形警部の名言を二つ紹介したい。

映画「カリオストロの城」

「奴はとんでもないものを盗んでいきました。それは、あなたの心です」

クラリスが「ルパン三世たちは何も盗まなかった」と言ったときの、銭形警部のセリフ。名言の中の名言である。

ルパン三世という男は、泥棒でありながら、ヒーローなのだ。少しサル顔なのに、なぜルパン三世は女性からモテるのか?それは、ルパン三世が、美しい女性のためならばいつも命懸けだからだ。自分のために命をかける男をカッコいいと思わない女はいないのかもしれない。ジェンダーフリーの現代には似つかわしくないのかもしれないが。

PART 5「その時、古くからの相棒が言った」

「ルパンは何度捕まえても、脱獄してしまう。今の俺の願いはな、きちんと刑に服して出所したあいつときれいな酒を飲むことなんだ。俺はルパンを正面から捕まえなくちゃならない。心の底から負けたと観念させなければ。俺はルパンの心を捕まえたいんだ…」

エンゾの会社でルパン三世と五エ門を逮捕し、護送するときの銭形警部。これが一番カッコいい名言だと思う。

銭形警部は、ルパン三世の身柄を確保することが目的ではないのだ。天下の大悪党の心をつかみ、反省させたい。そうでないと必ず脱獄する。それを銭形警部はわかっている。もはや、刑事としての仕事を超えて、銭形警部はルパン三世を親友のように考えているのかもしれない。

だからこそ、親友だからこそ、泥棒のルパン三世を反省させて、刑に服させたい、真人間となったルパン三世と酒を呑み交わしたい、それが銭形警部の願いなのだ。

ルパン三世のことを心から愛してやまないのは、次元大介と峰不二子だけではなく、この銭形警部もそうなのかもしれない。ルパン三世は人たらしで、人の心をも盗んでしまう泥棒なのだ。

ルパン三世の心を捕まえたいと力説する銭形警部の拳

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トーマス・レッド(高学歴発達障害・転職王・ITコンサルタント・アマチュア小説家)
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