深刻な労働市場のミスマッチ!オワコンの事務職!人手不足なのに中高年はリストラ!

製造や建設などの現場が人手不足に苦しむ一方、"人手過多"となる職種が生まれるミスマッチが起きている。特に事務職は求職者が求人を17万人上回る。ここ30年で高卒就職者は7割減ったのに対し、大卒就職者が4割近く増えたことが一因だ。成長に必要な労働力を確保するには、働き手を増やすだけでなく求人と求職者のズレを埋める必要がある。

「前職と同じ事務の仕事がしたい」。2024年5月、30代女性が東京都渋谷区のハローワークへ相談に訪れた。大学を卒業してすぐに就職した企業でも、転職先でも事務職だった。2度目の転職をしようと民間の求人情報を見て応募したが書類選考で落ち続け、焦っていた。

職員は「他の職種にも目を向けてはどうですか」と促したが、女性は消極的。再就職するまで5カ月かかった。

厚生労働省がハローワークの状況をまとめた一般職業紹介状況(24年11月、パートを除く)によると、「建設・採掘」は求人が11万2千人で求職者(1万8千人)の6.2倍、ドライバーなど「輸送・機械運転」は2.4倍、製造などの「生産工程」は1.7倍に上る。情報・通信技術者や看護師など「専門的・技術的職業」も2.1倍だ。

対照的に大卒文系の多い「事務」は求職者が30万5千人と求人(13万3千人)を大きく上回る。

日本経済新聞

日本では、2000年代ごろまでは、国際的には「異常」ともいえる状況があった。MARCH関関同立(場合によっては早慶も)文系なのに、大手金融や総合商社の「一般職」を志望する女子学生がいたのである。今はほぼ絶滅したと思うが、2010年頃まではそのような傾向があった。一般職は、事務や男性総合職社員のサポートが主な仕事内容となる。これは、アメリカなど他の先進国ではありえない、本当に日本特有の雇用慣行であった。女性の事務職は「男性社員のお嫁さん候補」だったのである。女性差別であるともいえるし、それに甘んじて企業を批判せずに一般職に応募していた女子学生も駄目だったと考える(一方で、総合職は仕事が厳しすぎて出産や育児が難しいという事情もあったといえる)。

現在は、事務職はもはや「オワコン」と化している。だが、それでも事務職を希望する人が多い状況に、どこまで情弱なんだと言いたくなる。

厚生労働省の「職業安定業務統計」によると、2023年の平均有効求人倍率は1.31倍で人手不足と言える。一方で同調査における事務職の有効求人倍率は0.45倍だ。これは、求職者1人に対して0.45件の求人しかおらず、事務職が人余りの状態であることを意味する。

「アゴラ」黒坂岳央さん記事より引用

もう一つ、労働市場において取り上げたいのが、超人手不足なのに中高年社員のリストラが進んでいることだ。

例えば、日産自動車やルネサスエレクトロニクスが、中高年社員を対象に大規模なリストラを実施している。中高年社員にも、リスキリングしてこなかった責任はあると思う。だが、JTC(伝統的な日本企業)は、頻繁な部署異動など、専門性を磨きにくい人事施策をとってきた。JTCの人事は無責任だといえる。社員をリストラするならば、役員報酬も半額以下に削減するべきだろう。

中高年社員は人口のボリュームゾーンでもある。この層の年収が減少したり不安定な雇用に追いやられると、マクロ経済にも、消費減少など深刻な悪影響が出ると考えられる。

今までも政府は無策だった。就職氷河期世代を放置してきた。日産やルネサスが潰れそうになってもほとんど何もしなかった(ルネサスのほうは一応は、倒産寸前で産業革新機構から資本注入したが遅すぎた。他にも山一証券など実際に倒産して失業者があふれた事例は多い)。

官民で中高年社員のリスキリングや再就職支援を積極的に行うべきであろう。


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トーマス・レッド(高学歴発達障害・転職王・ITコンサルタント・アマチュア小説家)
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