緊縮財政論者の頭の中「政府が支出したお金はこの世から消える」

私は少し前までは、デフレ(需要不足)だけが景気低迷の原因だと考えてきた。しかし、何度か言及しているが、経済学者の一部は、「生産年齢人口一人当たり」のGDPやGDP成長率では、日本経済のパフォーマンスは悪くないとのことだ。つまり、今までさんざん叩かれてきた日本経済だが、生産年齢人口がもう少し増えていれば、GDPは成長していたかもしれないのだ。こればかりは「IF」なので、なんとも言えないのだが。

だが、緊縮財政を続けるのは愚の骨頂である。いくら、人手不足(供給能力)がボトルネックになるとはいえ、このまま半導体やAIなどで出遅れが目立つと、日本は先進国から脱落する可能性すらあると考えている。今や、半導体やAIはアメリカ・韓国・台湾・イスラエルなどのほうが日本よりも技術レベルは高い(製造だけでなく上流の設計も含む)。これを放置したら、日本は取り返しのつかない事態になる。

経産省は何とか頑張って半導体の補助金を増やそうと頑張っているが、財務省がくだらないデータを出してきた。日本の半導体向け補助金はGDP比率では先進国でも多いので、削減するべきだとのデータを提示したのだ(出所:日経NEWS NEXT)。

ばかげている。日本は「遅れている」からこそ、半導体の補助金が必要なのだろうが。ラピダス効果で、北海道の経済は活性化している。この流れに水を差すのはやめてもらいたい。

三橋貴明氏の受け売りにはなるが、財務省や自民党の緊縮財政論者は、このように考えているのかもしれない。「政府が使ったお金は、この世から消える」しかし、この考え方は間違いだ。思い切って政府が多額の補助金をラピダスに出せば、メガバンクも「政府のお墨付きなので」と、追加融資に前向きになるかもしれない。資金繰りのめどがつけば、ラピダスは多額の設備投資や採用が可能になり、最先端の製造設備や、優秀なトップレベルの人材を採用できる。そうなれば、ラピダスの工場は軌道に乗り、千歳市のみならず、周辺自治体の経済も活性化する。メガバンクも元本と利子を回収できる。そうなれば、北海道の税収だけでなく、国税も増えて、結局は税収増になるのではないか。

もちろん、政府支出を「無尽蔵に」増やすべきだとは考えていない。それをやると、インフレが加速し、国民生活は悪化する。なぜならば、物価は賃金よりも早く上昇するからだ。物価は日々変化するが、賃金は1年に1度しか上がらないことが多いからだ。

インフレ率さえコントロールできるならば、政府支出は思い切って増やすべきだ。もちろん人手不足(供給能力不足)の課題はあるが、それはAIやロボットなどである程度は軽減できる。リスキリング支援などで、現場労働でも活躍できる人を増やすのも一策だろう。

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