非常識な海面上昇対策!北海封鎖ダム(NEED)!

イギリス北部とスカンジナビア半島、そして、イギリス南部とフランスをダムで堰き止めることで、北海の水量をコントロールし、海面上昇を食い止める、そのような非常識で壮大な計画があるようだ。

何百kmにも及ぶダムであり、しかも、海で行う土木工事になるため、とてつもなく難工事になるし、自然環境への悪影響も想像もつかないことになると思われる。費用も莫大で、日本円で約40兆円もかかる想定だ。

そこまでの犠牲を払ってまで、なぜ、北海やバルト海に面するヨーロッパ諸国では、そのようなダム建設の計画を(一部の人が)たてているのだろうか?

それは、もちろん、地球温暖化に伴う海面上昇だ。特に海面上昇でダメージが大きいのはオランダだ。オランダはもともと、かなり低地になっているため、あと数十cm海面が上昇するだけで、ヨーロッパ最大の港であるロッテルダムや、オランダの首都であるアムステルダムが海に沈むと言われている。意外なことに、ヨーロッパにおいては、地中海側ではなく、大西洋・北海側の大きな港湾都市は、ロッテルダムを除くとドイツのハンブルクしかない。フランスには、なぜか巨大な港がないのだ。そのため、ロッテルダムが海没すれば、ヨーロッパ経済に致命的なダメージがあるとされる。オランダの国土を守るように堤防をつくっても、長い年月をかければまた、海面が上昇するため、いたちごっこであり、それならば北海をダムで堰き止めてコントロールすれば良い、という意見が出ているのだ。

ただ、北海の自然環境には致命的なダメージがあると予想される。まず、ダムというのは、セメントを大量に必要とする。その工事をする過程で、海水に悪影響があるのは避けられないだろう。また、完成すると、除々に北海とバルト海は淡水になると予想されている。なぜならば、大西洋からの潮の流入が減って、一方でライン川などからは淡水が流れ込むからだ。北海・バルト海の漁業は壊滅するし、海水に棲息する生物も死滅するだろう。

それに、ダム構築の工期も長くなるだろうし、ただでさえ人手不足なのに、そんなプロジェクトをやったら人手不足はもっと深刻化するだろう。

ただ、この計画から得られた思考実験の結果は、とても興味深いものである。一つは、海水を淡水にできることだ。インドやアフリカでは、極めて深刻な水不足がある。インドもアフリカも人口爆発が起きているが、それに見合った水は少ない。インドはモンスーンの雨季(7月)には大量の降水がある。しかし、貯水池の建設がまだまだ進んでおらず、せっかくの雨水を活用できてはいない。アフリカも、砂漠地帯が多いため、水不足で多くの命が失われている。北海閉鎖ダムの思考実験で得られた結果をもとに、インドやアフリカで海を閉鎖し、巨大な淡水湖をつくることも可能であるかもしれないのだ。

具体的な適地は以下だ。

カンバト湾

まずはインド。ムンバイの北にあるカンバト湾をダムで閉鎖し、淡水湖にする。巨大な淡水湖ができるため、ムンバイなどの巨大都市の水資源になる。運河を掘れば、もっと内陸まで淡水を引き込むことも可能だ。

次は、アフリカだ。

地中海

地中海の、チュニジア、リビアが面するあたりをダムで閉鎖する。エジプトはナイル川のおかげで水はあるが、リビア周辺は淡水が少ない。こちらも、運河をつくってさらに内陸まで淡水を引き込むことも可能だ。

ただし、すでに述べた通り、地球環境を人間の都合で変えてしまうのは非常に問題がある。あくまでも、思考実験の類にとどめたほうが良さそうだ。インドについては、モンスーンがあるので、貯水池を地道に建設することだろう。アフリカのほうは、なかなか打開策は思いつかない。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集