見出し画像

情報進化過程における歴史の分岐点

松田語録:AGIのレベル〜AGIの定義、AGI定義の原理、AGIの自律レベル0〜5 - YouTube
世界的な諍い、知性の進歩、国内政治を歴史に学ぶ。 - YouTube

 宇宙史のビッグ・ヒストリーや、中村桂子先生のような生命誌、ユバル・ノア・ハラリのような人類史と言ったフレームでそれぞれ観るのと同じように、情報進化過程を人間の上に眺めてみます。すると情報処理の働きを補助・拡張・強化するために人工化=技術化してきた知能、即ち人工知能も、どういう位置に置かれるのか理解できる気がします。
 情報進化過程は、人間において二様の進展を見せてきました( note「人間に流れる二つの情報系統」)。生物身体次元の分子担体情報と、神経系で身体制御をしたところから発展した電子担体情報。後者が人間の脳の肥大化で知性=情報処理能力の発展をしてきました。個体脳での容量増加で概念作用が発生し、そこから、その概念のコミニュケーション作用の基盤、言語システムを発生させ、個体脳をエージェントとして社会脳に展開するネットワークを形成しました。これによって個体脳の情報処理と情報保持の速度と量を、圧倒的に拡大しました。その情報の様態が「集合集積知」、即ちブラフマン‐アートマン・モデルになりました。
 先日、このシンギュラリティ・サロンでOpenAI DevDay 2023の解説を為さいました。そこでChatGPTsを特化型AIで幾多の人間(脳)が育成し、その総体としてAGIの発生が想定されるとされました。イリア・サツケバーのドキュメンタリ―での発言も、同様でした。つまり既に、人間の脳の社会脳ネットワークが、コミュニケーションによって、知能を飛躍的に高めてきていましたが、そこに自然言語で情報処理をするAIも加ったということになります。
 今、このコミュニケーション・ネットワークのエージェントにAIを加えて、情報ネットワークがグローバル・ブレイン化していきます。今後、地球表面の薄く危うい生物的環境におけるネットワークを、衛星軌道に乗せてAI、AGIのネットワークが創出されるでしょう。丁度、それは脳の旧皮質と新皮質の有様に似ていると思います。さらに進めば、太陽系崩壊を見越して(シミュレーションして)、宇宙に飛び立つでしょう。F.ダイソンは宇宙蝶というイメージをギフォード講演で示しました( note「多様化の極限―復活に与かる個体性―」)。
 こうした想像を膨らませていく時に抵触感が生じるのは、基本的に人間が分子担体情報によって形成させる生物としての物質的身体を有していることで発生する問題であろうと思います。分子担体情報が処理される速度は有機化学変化の速度、タンパク質合成の速度を前提にします。これを身体という土台に、電子担体情報の処理速度で脳が処理してきましたが、それを超越的に処理し始め、身体を足手纏いにするのではないかと思えるのが、現在の状況の様に思えてなりません。歴史の分岐点、それも人間社会の歴史ではなく、情報進化過程の歴史上においてです・・・。

いいなと思ったら応援しよう!