茂木健一郎Youtubeへのコメント;Individuality
【ChatGPTの次の次は量子AI】脳科学者 茂木健一郎とハーバード卒の天才が激論/AIと量子コンピュータの密接な関係/アバターと人間を隔てるもの/世界の中心に行かないと世界は見られない - YouTube
茂木先生のindividualityについての問題意識が、中世のトマスの最大の問題意識だったと思います。前にも先生の動画にコメントさせていただいたかもしれませんが、現代ならシュレーディンガーがその精神観・知性観として採択したアラビアの単一知性説は、思想史上、古くからブラフマン‐アートマン・モデルとして底流があると思います。アヴェロエス主義は、アリストテレスの『霊魂論』の一つの解釈として提示されたもので、シュレーディンガーに限らず、アーサー・C・クラークやC.シャノンなども同様ですが、おそらく、論理的思考法で知性を情報の集合集積として眺めれば、普遍的な知性と個別知性の関係が、そこに集約されるという結論を導かれるという事になると思います。
しかし、トマスは「個霊の救済」という神学ストラテジーから、当時の単一知性説に対して、非常に意を注いだ反論を為しました(詳細は学会誌等に上げました)。やはりキリスト教の立場を表明するというだけでなく、現実にindividuaityは、情報進化過程に集約されるだけでなく、その過程に対して位相的に別の個々の閉じた系を示すとしたのではないかと思います。情報進化過程の時空の軸に、交差する「物語軸」が時空を超えて示せるのではないか、ということです。
以前、新約学・グノーシス研究の大貫隆先生に習った時に、「福音書は二度、読まなければならない。一度目にイエスが誰であるかを読み、そのイエスが、物語の場面場面でどうしたかを二度目に読む必要があります」と解説されました。
その辺りに、何かヒントがありそうな気がします。
北川先生が言われた「生物学的にエンコードされている・・」ということは、人間の内に作用する二つの情報の流れの一方でしょうか・・?
W.ブルケルトが指摘したプラトンの気付き、即ち人間は子供を生物(遺伝情報)と意識(情報)で残せるということ、R.ドーキンスなら自己複製子は遺伝情報とミームの並行性があること、その流れの一つ。分子担体情報の流れと言えると思いますが、ウィルスや生物の遺伝子プールの可能性から「自然選択」で展開してきている流れ。
他方は電子担体情報で、細胞内に起きた電位作用で発生した流れが脳において「意識選択」で展開してきている流れ。これは脳と脳との間で伝達(communication)をして、「情報」を集合集積してきました。(因みに、このコミュニケーションという電子担体情報の経由過程=インターフェースは、文書だったり、建物だったり、文化そのもので、次第に半導体へ進んで、脳と脳どころか、AIとの情報伝達が今、展開しています。)
話を戻すと北川先生の発想では、上の分子担体情報も、電子担体情報の次元でが量子情報として、スケーリングでそのシステムのフレームを位置付けることができる、という事でしょうか?
茂木先生がエピファニーを受けたと言われる感覚は、量子情報からは相転移した情報系として物語的人格性が現われるのでは、ということにも思えますが、どうなんでしょうか?