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【南米ボリビアのウルトラレースでボランティアしてみた①】振り返り

 タイトルの通り、大学の夏休みを利用して約2週間、南米のボリビアで開催されたUltra Bolivia Raceのボランティアをしたのでその思い出の振り返りをしたいと思う。

 ありきたりな言葉だけれど、一言でまとめるなら、「最高だった!」
 今年の6月頃から就活をはじめ、インターンの面接を日々淡々とこなすなかで、なかなかうまくいかず立ちいかなくなっていた時に思い切って挑戦した自分にあっぱれと言いたくなってしまうほど、学びと思い出が多い機会になった。日本で過ごしているだけでは絶対に経験することのできなかったことだと断言できる。

 レース中の1週間はインターネットは圏外、テント生活で毎日21時には就寝、5時半に起床。電気はヘッドランプ、懐中電灯のみ。日が沈むと眠り、日が昇ると起きる。ボリビアの標高は富士山超えなので、太陽が近く、昼は日差しがものすごく強い。なのに、夜は気温がマイナス。一番寒い日はマイナス5℃、風も強かったので体感ではもっと寒かった。寒暖差が大きく、服の調節にも一苦労。日本の生活とは似ても似つかないような日々を過ごした。
 環境があまりにも違いすぎていて、はじめは慣れることが大変だったけれど、その違いがなんとも面白くて、最終日には名残惜しかった。普段はスマホに張り付いてすごしている私が、圏外の環境に放り込まれて、少し不安もあったけど、その分、目の前の人とのつながりを感じられた。いつもはスマホの画面、下ばかりを見ている自分が、夜は上を見上げて星を見ることで天の川や流れ星を見る機会に恵まれた。
 非日常の景色に浸かって、あらゆる国籍の人と薪を囲んで、談笑する。毎日が新鮮で、冒険だった。

 このレースは、サハラマラソンなどとは異なり、参加者が少ない。ボランティアも少数精鋭だった。主催のCanal Adventureのスタッフが5名、現地スタッフが5名の10名ですべてを運営する。参加者を含めて合計で30人程度なので、距離が近く、それぞれの人とたくさん話すことが出来た。全員の名前や出身はもちろん、普段の仕事のことや過去のレースについての話まで知ることが出来た。レース最終日に、フィニッシュラインに参加者が到達するたびにその人の頑張りが思い出されて、感極まる思いだった。

 大会前の様子や、大会中の様子などはまた改めて詳しくNoteに書きたいと思っているので、今回はこの経験を通して身をもって感じたことを箇条書きにしたいと思う。

・人徳と余裕の相関性
・経験により重きをおくこと
・下ではなく上(星)を見上げること
・役割を持つということ(手に職、性格)
・出来ることを最大化すること
・覚えておくこと
・感謝は口にすること
・言語習得は使うに限ること
・常にゴールを置くこと(目に見えるゴール、目に見えないゴール)
・ネガティブな気持ちと折り合いをつけること
・まだまだ人生長い!こと

それぞれについて簡単に書きたい。

・人徳と余裕の相関性

 人徳、すなわち優れた品性や知性を持つ人というのは共通して余裕があると感じた。以前のNoteにも余裕について記載をしているが、今回の経験を通して出会った人の共通している点だった。過酷な環境下でも常に笑っていられる余裕のある人、それ以前に参加するための費用など金銭的な余裕があることも含まれるのかもしれない。とにかく、自分のことに精一杯にならずに周りの環境にも注意を払える人は人格が優れている。

・経験に重きをおくこと

 働いて稼いだお金を何に使うか。欲しい車を買うこと、カバンや服を買うこと、旅行に行くこと、たくさんの使い道がある。このレースに参加する人たちは、経験にお金を使っている。レースを通してしか得られない達成感や、同じ目標に向かって頑張る仲間、その仲間と過ごす時間に価値を感じていた。経験は受け取る人によって異なるという意味で唯一無二である。その経験をいかに豊かにするかを大切にしている。実際にレース参加者の表情は、生き生きとしており、より充実した経験をしていると感じた。

・下ではなく上(星)を見上げること

 ついつい下ばかりを見て過ごしてしまうけれど、上には美しい景色が広がっていることを思い出した。天の川、流れ星、すべて上を見上げないとみられないもの。画面の中では見えない大切なものを逃していないか、考えさせられた。

・役割を持つということ(手に職、性格)

 これはボランティアをしている時に強く感じたこと。役割があるということがいかに大切か。自分は学生で、お医者さんなどのメディカルスタッフという役割も、オーガナイザーという役割も、持っていなかった。だから、自分が出来ることは本当に限られていたし、それ以上のことをしたくてもできなかったのがとてももどかしかった。なので、手に職があると役割があるという点ですごく良いと思った。また、性格においても然りで、チームの中で、自分が替えの効かないパーソナリティを持っていると良いと思った。私は今回チームの中で唯一のアジア人で、他のメンバーは母国語を話す人が最低二人はいる状況だった。その中に入っていくために、必死に言語を学ぶ姿勢を見せてどんどん覚えた単語を使った。そうすると、周りは私に興味を持ってくれるようになったし、これは自分にしかできないことだったから、頑張る姿を買ってくれた。スペイン語はオラ!しか言えなかったのに、7日間
で自分の体調を伝えたり、よく使う単語は言えるようになった。役割があるということが自分のメンタル面において大切な要素であることを痛感した。

・出来ることを最大化すること

 ボランティアをしている時、自分のできないことにいくつも遭遇した。さっきも書いたけれど、自分には仕事としての役割がないから、一般的には選手の「サポート」をするというなんともふわっとした業務内容。チェックポイント地点やテントでの水分補給の際の手伝いや、テントの設営、順位やタイムの記録や参加者とのコミュニケーションをとることなどをした。でも、他のスタッフがメディカルサポートをしていたり、参加者の撮影をしている時、自分は何もできなくて、見ているだけ。できないことに対して劣等感を抱いたり、申し訳なさを感じる瞬間もなかったとは言えない。でも、そんなことを考えても埒が明かないことにはすぐ気が付いた。だからそれからは、できないことに落ち込むのではなく、自分のできることに目を向けることにした。そして、自分のできることを最大化することこそ自分がすべきことだと身をもって感じた。なので、最初はへこんでいたけれど、途中からはいかに動作を早く出来るか、効率化して他のことを手伝えるかを考えて過ごした。実際、そうやってどんどん工夫していく過程が楽しかったし、周りの人が見ていてくれた。ありがたかった。

・覚えておくこと

 これは誰もにとって武器になりうることだと思った。覚えておくこと。何をしたか、どんな出来事があったか、どんな対応をしたか、といったことももちろんだけれど、参加者の出身や誕生日、どんな仕事をしていて、どんなことをするのが好きか、またぽろっとこぼした不安や悩み、なども当てはまる。特に小さなことを覚えておくというのは、決してマイナスにはならないと思った。大会期間中、誕生日を迎えた参加者に真っ先に声をかけたり、テント生活に対してこぼしていた不安を覚えておいてそのことについて話してみたりした。それだけで相手が笑顔になったり、不安が軽減されていると感じた。たったそれだけ、と思うかもしれない。でも、それが出来るかできないかは大きな違いを生む。ばかに出来ないことだと感じた。

・感謝は口にすること

 汲み取るなんて高等テクニック、そんな簡単にできない。特に文化も育ってきた環境も異なる人と過ごすとなったらなおさら。感謝していることも、同じ日本人同士なら、口に出さずとも行動で、なんてできるかもしれないけれど、他の国やバックグラウンドを持つ人と過ごしたこのレースでは、実際口に出さないと伝わらないと分かった。減るものじゃないんだから、いくら伝えても良い。感謝を伝えて、感謝が多すぎるなんて一度も言われなかった。自分がしてもらって嬉しい、ありがたい、と思ったなら都度伝えると良い。そうやって相手と自分の間の信頼関係は構築されていった。感謝をするとき、笑顔で伝えるとさらに良い。本当に当たり前すぎて笑える気づきだけど、毎日忙しいとつい忘れてしまうことだから、思い出せて良かった。

・言語習得は使うに限ること

 正直、先週一週間の自分の言語習得の速さは異常だったと思う。Hola!しか挨拶のできなかった初心者が、毎日聞いた単語でわからないことをしつこく「Que? (何?)」(多分だけど言い方すごい失礼、、、)とか、なんていうか知りたいと思ったら「Como se dice?(なんていうの?)」と聞きまくっていた。今思い返すとしつこさは異常だったかもしれないけど、とにかく気になったら聞いて、発音して、すぐ使う。これを繰り返したら、熱い/寒い 疲れた、いくら? ゴミ袋はどこ? ~はどこ? 何時に会議がある? ~したいんだけど ~が好き 何時に寝て何時に起きる こんばんは バイバイ とか超ベーシックな言葉は教科書などなしで言えるようになった。いつもなら、インターネットで調べて、って出来るけどレース中はインターネットもないので、その場で覚えて使うしかなかった。でも自分にとってはむしろそっちの方が覚えられた。周りの人が話していることでわかることが増えるのがとても嬉しかったのもあってさらにはかどった。誰も間違いなんて気にしないし、変な間違いだったら笑いながら正しいことを教えてくれた。言語習得はとにかく使うことが大切だと分かりました。

・常にゴールをおくこと

 向かう先があることは、それだけでエネルギーがわいてくる。闇雲に進む必要がないから。レース中は、毎日距離は長いけれど必ずゴールがある。それが見えるまで参加者は必死になって進んでいく。ゴールが「ある」という事実だけで原動力になるしそれを目指そうという思いはあきらめたくなるような時も勇気をくれると思った。日常でもそうなのだと思う。目指す先があれば、人間頑張れる。遠すぎるゴールだけでは、そのゴールの存在を忘れてしまいかねないから、見えるゴールも置いて、いつでも目指す先があれば良いと思う。そしたら、腐りたくなっても、同時に粘りたくもなる。

・ネガティブな気持ちに折り合いをつけること

 ボランティアを始めて3日目。テクニカルチェック(参加者の持ち物の最終チェック)を担当した際、自分の英語力が至らず、すらすら会話できなかった。また、他のスタッフの連絡事項が理解しきれず、聞き直して、それでもわからなくて他のスタッフに再度説明してもらったりした。そんなこんなでその日の夜は精神的にすごく参ってしまった。自分のできないことばっかりが頭の中で浮かんで、どんどんネガティブな気持ちが増幅していく。ネガティブな気持ちを引きずって良い方向に行くならそれも良いけれど、そうじゃないから、ある程度行くところまでいったら、諦めて折り合いをつけるべきだと分かった。まだ、この折り合いの付け方は下手で、結構沈んでしまうけれど、沈んだままふさぎ込むことはなく、ある意味諦めて、切り替えようというマインドを持てたのが良かった。

・まだまだ人生長い!こと

 参加者の多く(8割くらい)は40代以上、60代の方も挑戦していたこのレース。そんな人たちが1週間で220kmを進む。諦めず必死に頑張る姿を見ると、大学生なんてなんでも挑戦できるということを強く感じた。いかに参加者が頑張っていたか、その過程はうまく伝えたくても言語化するのが難しくて伝えきれないと思う。でも、ただの大学生の背中をこれほど強く押してくれていることだけは事実だ。腐らず頑張りたい。

 もっと気づきや感想はあるんだけど、せっかくなので小出しにする(ずるい)。というか、今ぱっと思い浮かんだのがこれだった!また、大会の様子なども投稿したい。何百人もの人に見てほしい!とかではないけれど、誰かの目に入って、そして誰かがこのレースのことを興味を持ったり、くすっと笑ったり、共感してもらえたり、共感してもらえなかったりすればいいな、と思います。初の5000字越えのNote!私の思いのたけが伝わると嬉しいです。


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