The cyber effect
副題が A Pioneering Cyberpsychologist Explains How Human Behaviour Changes Online
そして邦題は「子供がネットに壊される」という強烈な題名に訳されている。
この本も訳者の小林啓倫(あきひと)さんがとても優秀でわかりやすく訳してくれていると思う。とてもありがたい。
副題にもあるとおり、大人でさえもネットでは人格が変わるため、
ネット上に子供を入れてしまうことはとても危険であると言っている。
特に18禁などの話ではなくSNSの世界に足を踏み入れることを著者は言っている。
SNSで人格の制限がなくなってしまいがちであることをいろいろな事例を元に解説していて、本当にわかりやすかった。
この人格に制限がなくなるということを世間の人があまり理解していないこと、
よって危機感を抱くということがないと著者は感じている。
世間の人が危機感を抱く様子がないことが、著者を触発させ、科学的証明を待たずに、出版しなければならないと感じたそうだ。
つまり著者は自身の知見に科学的証明はないことをはっきりと述べている。しかしそんなものを待ってる余裕はないことを訴えている。私はこれに胸を打たれた。
先ほど記した人格の制限がなくなってしまうという話で強烈なのは、高校生、中学生の女子がポルノ画像を男性に送ってしまうということだ。
普通に考えればあり得ないことだが、ネット上にいるというだけで、箍が外れることが多数起きているというのだ。匿名だと誹謗中傷をしたい放題する人達がいるが、これも同類の減少である
そしてネット上ではそうしたことが残るわけで取り返しがつかなくなる。こうした被害はネットの世界に足を踏み入れ、大人と同じ制限がない状態になっているからである。インターネットのサイト閲覧に年齢制限を設けることはあるが、SNSを大人と同じように使えることはとても危険と警鐘を鳴らしている。
そして著者がもう一つ重大であると述べているのが、スマートフォンと児童の脳への影響である。
これまで注意欠陥多動性障害や学習障害などは先天性の障害と考えられてきた。
しかしこれらの障害が、全て先天性なのか疑問を呈している。
これこそ著者が論文など待っていられないと言った理由である。
これらの幼児・児童の研究は10年単位の追跡研究を必要とする。今から10年後なら6Gや7Gなどの新しい通信時代に突入してどんどん世界の動きが早くなる。それまで待っていたら、こうしたネットの悪影響を避けることなく育てられる子供が増えすぎると著者は言っている。
そのため科学的証明はないが、頭の片隅に入れて欲しいと著者は以下の点を示している。
まず幼児が画面を長時間みることの危険性。
画面が移り変わることは幼児にとって情報が多すぎる。それは刺激が次々を移り変わり入ってくるために、刺激を常に欲し、じっとしていられなくなると考えられる。
子供が落ち着くからとスマホを幼児に与えていないか、もう一度振り返って欲しい。
著者自身はこれがADHDと相関があると考えている。
そしてスマホを長時間みることで、親とのアイコンタクトとスキンシップが減ることで学習障害などの相関があると著者は考えている。
スキンシップが少なくなることは子供の精神的安定に影響を及ぼしていることを何処かで聞いたことがあるかもしれない。有名なのは猿の赤ちゃん実験である。
しかしアイコンタクトをとることを著者は非常に重視している。目は口程にものを言うというが、それは目が脳と直接つながっているからであり、アイコンタクトが脳の発達に重要なのではと著者はいう。
人前で泣かれるのは困る、周りの目に耐えられないのは確かにわかる。
しかしのその一年無い期間、静かにして欲しいだけで、スマホ渡していいものか、もう一度考えなければなら無い。
こどもネット教育、ネットリテラシーに悩む方はズバッとこの本が、ダイレクトに答えてくれるのでぜひ読んでほしい。
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