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「自分はとても不運なんじゃないか?」不幸体質だと思い悩む人へのエール
なにかと「不幸だぁーーーーっ!」と自分の身に次々に起こる不運を悩み自らを不幸体質なのではないか? と思い悩む人もそんなに少なくはないのかな?
多くはないと思うが、一時期「自分は不幸体質なんで」とか平気で言っている人をよく見かけた気がする。
確かにそういう人も居るかもしれないが、それに対して、B'Zの稲葉さんはある一つの答えを出している。
でもね 誰か言っていたけど なんでも 気の持ちようじゃないの
(B'Z スイマーよ!!より)
正直、私自身、若い頃、自分は不運ばかりでラッキーなんてやってこない。
アタリつきのアイスのバーは見たことないし、チョコボールの銀のエンジェルすら見たことがない。
原付に乗れば、なんてことないところで、年イチか2で切符を切られるし、銀行のATMにカードを呑まれたことだって1度や2度じゃない。
ソシャゲのガチャはハズレばかりで、課金したって推しのSSRは来ないし、フリーになってあっちこっちに営業をかけていかないと、と思っていた矢先にコロナ禍に見舞われた。
書いていて哀しくなるようなことばかりだ。
だけど、最近、自分が不幸だとか不運だとかアンラッキーだ、とか深く思わないように努めている。
かつての知人がこう言ったのがきっかけだったような気がする。
それは確かこんな言葉だった……。
「そんなに不運に見舞われているのに、キミはまだ生きている……
それって超絶にラッキーなんじゃないの?」
なるほど。
屁理屈や詭弁の類いであることも否定出来ないが、そんな言葉に救われた自分が居る。
先日、ふとしたことで思い出したので、ここに記しておくことにする。
『人間万事塞翁が馬』という言葉がある
聞き覚えのある人もいるだろう。古文だったか漢文だったかの教科書に載っていた故事成語だ。
一見、不運に思えたことが幸運につながったり、その逆だったりすることのたとえ。幸運か不運かは容易に判断しがたい、ということ。
詳細はこちら→ 故事ことわざ辞典『人間万事塞翁が馬』
内容的には冒頭の稲葉さんの言葉にも通ずるものがあるんだけど……。
ここで一つ。ある者の話をしよう。
かつて、書類は全て紙という時代がありました。
実はそんなに昔ではなくて、ほんの30年も遡れば、そういう時代に辿り着きます。
データなんてありません。
それどころか、事務所のコピー機にソーターなんてありません。
でも百枚からの書類をコピーしないといけません。
どうしますか?
印刷屋に頼む。
それも答えです。
ですが印刷屋さんに依頼するとお金も時間も掛かります。
ではどうするか。
自分で手作業です。
バッタンバッタンと、コピー機のフタを開けて原紙をセットし、ズレないようにフタを閉めてスタートボタンを押す。×100!
今、あなたの職場の事務所の大型コピー機にソーターはありますか?
あるならあなたはラッキーです。
そんな、なんでもかんでもコピーしなければならない時代の話です。
Kくんは入社2年目とはいえ、まだまだ新人です。
そんなKくんは今日も上司Hと一緒に客先へ打ち合わせです。
打ち合わせが終わると、その日の資料や打ち合わせ内容のノートをコピーするのは新人の役目です。
たかが数枚のコピーなんて誰でも出来る仕事、やる必要があるのか?
いいえコピーを舐めてはいけません。
コピー機を制する者は職場を制する。
そう言っても過言ではありません。
さて、Kくんはなかなかの不幸体質のようで、今日も客先のコピー機の紙を詰まらせてしまいました。
今にして思うと、とんでもないことですが、当時はまだ外部の人間が部署内のコピー機を勝手に触ってガンガンコピーしていたのです。
しかし、いくらおおらかな時代とはいえ、客先のコピー機を紙を詰まらせて故障させたとあっては大変です。
Kくんは一生懸命に紙を取り除き、やっとのことでコピーをとろうとしますが、今度は用紙が切れてしまっていました。
近くの事務の人に、申し訳なさそうに、用紙のある場所を教えてもらいます。
適当な指示からなんとかキャビネットにあるコピー用紙の束を見つけ出しそれをコピー機にセットします。
そこで上司が現れます。
「お前はたかがコピーに何分かかっているんだ!?」
「すみません! ですが、紙が詰まってしまいまして」
「あぁ? どこが?」
ポチッとスタートボタンを押して。
「出来るじゃないか! まったくコピーもまともに出来ないとは使えないヤツめ!」
と、さっさとコピーを持って会議室に戻っていきます。
Kくんはコピー機の紙詰まりを直し、切れたコピー用紙を補充したのに、使えないよばわりです。
しかもそれを客先の事務所のど真ん中で言われるので、もう最悪で泣きそうです。
なんて不運なんでしょうか?
しかもKくん、行く先々でそういう目に遭います。
その度に、彼の紙詰まりの修復作業が蓄積されていきます。
やがてどこに行ってもコピーのエラーごときでは慌てなくなりました。
むしろ、
「コピー機がエラー出た!」と聞くと
「どれ。私が見ましょう」とメンテナンスを始めます。
やがてKくんは何度か職を変わりましたが、行く先々でコピーの紙詰まりを直し、そしてコピー用紙の補充を率先して行うようになりました。
そしてコピー用紙の在庫の管理、発注までもするようになります。
まさにコピー機を制する者は職場を制するです。
さて、少し出来過ぎな部分もあるが、これもまさに塞翁が馬ではないか?
度重なる「コピー機のエラーに遭う」という不運。
しかしそれを積み重ねることによって、やがてエキスパートになったのだ。
コピー機の面倒を押しつけられるという新しい不運と見れなくもないが、それはまた考えようだ。
誰からも視認できるところで活躍がアピール出来るという仕事はそうそうあるものではない。
しかもそんな単純な仕事で評価がつくなら儲けものではないか?
そう考えてみるのはどうだろうか?
不運になれてしまえ、なんて哀しいことは言いたくはないし、そんな必要もないのだが、出来うることならば、「不運だ、不幸だ」とマイナス思考に陥らず、プラスに転化できる思考を養っていく。
そう考えてみるのはどうだろうか?