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ゆうきまさみ先生の歴史超大作『新九郎、奔る!』第8巻!応仁の乱から始まる激動の時代を若き日の北条早雲が駆け抜ける!?

それにしても歴史的に見て立派な家系である伊勢平氏の血筋の出でありながら、なにゆえに近年まで『一介の素浪人』の出身とされたのだろうか?

私が日本の歴史を学んだ頃、戦国大名の魁、ミスター下剋上とさえ称されていた『北条早雲』

しかし、最近では伊勢家の出自であることが有力説となっており、その年齢においても88歳死去説から64歳死去説へと旗色が変化しつつあるという。

そんな若き日の北条早雲こと伊勢新九郎の苦悩と青春の日々を詳らかに描き出すのが、この『新九郎、奔る!』なのである。

さて、漫画家ゆうきまさみといえば『究極超人あ~る』や『機動警察パトレイバー』など、やや外連味のあるギャグテイストのマンガが代表作であるのだが、今作は歴史大河ということもあり、そういったギャグはややなりをひそめている。

しかし室町時代が舞台であるにも関わらず「スケジュールが」などのカタカナ現代語がごく普通に登場し使われているのも特徴。

このあたりは話をわかりやすくする為のものとおもわれるが、ガチ歴史好きの時代考証警察の人たちからはやや否定的な意見もあるかもしれない。

さてさて、若くして伊勢家当主になったものの、実質家計は火の車、親戚付き合いはドロドロ(これはこの時代はどこもそうだろうけど)、恋愛は実らず……と不運続きの新九郎。

『辛苦(新九)郎、奔る!』に改題か?なんて自虐ネタまで盛り込まれる始末。

そんな新九郎たち御一行様は、この8巻で駿河を訪れます。

応仁の乱の真っ只中の京都と備中荏原を忙しく往復していた新九郎たちの一時の慰安旅行。

本の帯にも書いてあるが”世が世なら中学生の修学旅行!”

この時、新九郎は18歳ですが、室町時代なので数え歳となるのでそれから、2~3歳は若いので、本当に中学生ですね。

それで当主として領地を治めないといけないとか、割とえぐい話です。

なにはともあれ、なぜ駿河行きになったかと言うと、駿河今川家に嫁いだ姉に嫡男が誕生し、その祝いも兼ねて今川家の動向を探る為に下向することとなったのです。

新九郎にとって初めての船旅、そして初めての富士山!
新九郎も年相応のはしゃぎを見せます。

さて、今巻の見所は二つ。

新九郎が駿河で今川家の嫡男、龍王丸(「たつおうまる」です。おもしろかっこいい「りゅうおうまる」じゃありませんw)と出逢っていること。

この後、「伊勢新九郎」の名が歴史の表舞台に現れる事件とのきっかけになります。

そしてもう一つ。

駿河から伊豆にまで足を伸ばす一行。

平氏の血筋のくせに(w)伊豆と聞いて「源頼朝旗揚げの地」と聖地巡礼してテンションが上がったり、弘法大師空海ゆかりの寺である修善寺に来たら戦乱で焼け落ちて愕然とし、「太祖空海のゆかりの寺がこの有り様、寄進の一つもしたいところ」などと言ったりします。

はい。

察しのいい方はお気付きですね。

修善寺と言えば北条早雲。
北条早雲と言えば修善寺。

といっても過言ではないほどに早雲は修善寺が大好きです。

韮山城で死去した早雲は自分の葬儀を修善寺で執り行わせ、さらに菩提寺として早雲寺を作ってそこに墓所を作ります。

後に早雲は大金をかけてこの修善寺を再建させます。

そして自分のお気に入りの僧を呼び寄せ住職に置き、しかも同じ禅宗とはいえ、臨済宗から曹洞宗へと改宗させます。

いや、そこは空海をたてて真言宗じゃねえのかよw

とも思いますが、早雲自身が禅宗を学んでいるので、致し方なしというところでしょうか?w

そんなフラグをしっかり回収していく今回のお話。

次はいよいよ駿河今川のお家騒動に、若き日の新九郎がどのような妙案を働かせるのか? 次巻が待ち遠しいです。


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