「話し上手になりたい!」という人に勧める3つのこと。その1。『人の話を聞こう!』
私は非常に口下手で話し下手である。
かつて、社会に出た頃、現在では考えられないパワハラ上司のおかげで、常にダブルバインド(※)を仕掛けられてしまい、人と話しをすることが厭になってしまった。
※ダブルバインド(二重拘束)
矛盾する指示を与えられ、精神的に混乱をきたさせる状態。
例を挙げると暇が無いが、例えば。
「お前は行動を全て俺に相談しろ!」
「自分で考えて行動をしろ!」
当然、相談すると「そんなことも考えられないのか?」と言われ、自分で処理すると「なんで勝手にした? 相談しろと言ったはず!」と突き詰められた。
しかもそれが『正しい社員育成』だと信じられていた時代だった。
また
「このミスの報告をしろ」
ありのままに報告をすると。
「言い訳はするな! 理由を述べよ!」
と結局最後は「自分のミスです」と認めざるを得なくなり、その後もミスを延々と詰められるのだ。
おかげで人と話をするのがほとほと厭になり、鬱病に陥ってしまった。
さて、そんな自分が脱サラをして、いざライターの世界に飛び込んだのだ。
そこにはいろいろ知識もあって、話題も豊富、そして卓越したトーク技術を持っている連中がわんさか居たのだ。
「これは負けられんっ!」と私は必死になって、みんなの話し口調を真似していった。
だから、現在、私個人がまがりなりにも飲み屋のカウンターでのトークに困らなくなったのは、その人たちのおかげであり、私自身はトークスキルを身に付けるどころか、今でも話し下手だと、自覚している。
そんな自分を振り返ってみて、『会話ってなんだろう? どうすればトークって身につくのかな?』なんて考えてみたことを記していこうと思う。
「トークスキルを身に付けよう!」などと思うな!
少し前のことではあるが、どこかの喫茶店だったかファーストフード店だったか、背後から漏れ聞こえた会話にその全てが起因する。
「私、トークがめっちゃヘタなので、トークスキルを身に付けたいと思っている」
そんな言葉を聞いた時、私の中にこんな疑問が生じた。
「はて? トークスキルとは、なんぞや?」
である。
この場合の『トークスキル』がどういうものなのか?
人の相談に親身になって答えてあげられる。
それも立派なトークスキルと言えるだろう。
卓越したプレゼンテーション能力で、ミーティングに出ているみんなを納得させ、魅了させることが出来る。
それもまあトークスキルとも言えなくはないが、『トーク:talk(会話)』ではない。そう、まさにプレゼン能力に他ならない。
人によどみなく説明し、なおかつしっかりと伝えることが出来る技術……。
そういうトークスキルがあってもいいし、それは確かに持っていても困らない。素晴らしい能力だ。
だが、それを持ちたいと、そうそう気軽に口に出すだろうか?
それを包括した『トークスキル』を身に付けようって、いや逆に意識高すぎて素晴らしい……あと、ちょっと引く。
まあ実際その意識を高く持っているのであれば、人に相談するよりも、何らかのアクションを起こすはずなんだけどもね。
そもそも厳密に言うならば『トークスキル』なんてものはない。あるとすれば一部の限られた芸人さんたちが持ち得る『ギフト(天からの授かり物)』のようなモノで、凡人が通常持ち得るものではない。
翻って、それを持ち得る為には、生活のほぼ全てをそれに捧げたり、或いはそうしないと生き残れない環境にあった人間が、そのスキルを持ち得る。
そういう人たちってのは成績優秀な営業マンや、お客を喜ばすバーテンダーだったりするのだろうか?
だけど、そういうのが得意そうな人に対して「そのトークスキルどうやって身に付けたのか?」と聞いたところで、その返答は一様に「いや、普通にしているだけ」と返ってくることが多いのだ。
そう、結局のところ「スゴいトークスキルを持っている!」と思っている人たちは、実は「そんなにスゴいトークスキルを持っているとは自覚していない」のだ。
彼らは、会話のキャッチボールを自然にしているだけ。
おそらく日に何度も、いろんな人といろんな話をしていく上で身についたスキルなのだ。
では「話し上手になりたい」と思っている人にそう伝えてみるとする。
すると不思議なことに、その人たちはこの話しを興味なさそうにこう言うのだ。
「いや、そこまでのモノは望んでいないから……」
………………。
…………。
……。
「おいっ!」ってなる。
ではその人たちは努力せずに、人よりも卓越したモノを手に入れたい、というものぐさモノたちなのか?
さにあらず。
彼らは、本心ではきっとこう思っているのだ。
グループで会話する時に、話の中心に居たい!
みんなから注目されるような話をしたい!
話をしたら、みんなから共感と納得を得たい!
みんなをワッと笑わせて場を沸かしたい!
トークスキルさえ手に入れれば話し上手になってお笑い芸人顔負けの話題の提供者になったり、注目されたり出来ると思っているのだろうか?
ぶっちゃけ言おうか。
かつて、恐ろしいまでに話し下手だった私が言う。
正直言って、思っていた。
まあ、若かったんだ。w
しかし今になって、自分がなんとも愚かなミスをしている事に気が付いた。
それは話上手な人の特徴をいろいろマネして、そこでようやく気が付いた。
自分がとんでもない誤解をしていることに。
誤解の最大の要因3つをお伝えする。
1.まず人の話を聞こう!
2.無理に面白いことを言おうとするな!
3.最終的にどうしたって練習あるのみ!
さて、今回は1つ目の『まず人の話を聞こう!』について語りたいと思う。
だけど本題に入る前に、「こんな話をする人は嫌われる」というのをあげていこう。
ぶっちゃけ、これに類する話が普段から多い人はトークスキル以前の問題だと思うので、心当たりがあるなら改善された方が良いであろう。
(まあ、こういうのは当事者に限って「自分は違う。セーフ!」って謎の防衛戦を張るのが不思議w)
嫌われる話
・自分の自慢話しかしない。
・言い訳ばかりしている。「自分が今この状況にあるのは、~~のせいで……」みたいな。
・無駄に話が長い。そして全然終わりが見えてこない。
・話が脱線して、元の話に戻る気配がない。
・自分の言いたいことがまとまっていない。
・「いや、」「でも、」とにかく否定する。
・「自分はダメだ」「自分はバカだから」など、すぐに自虐に走る。
・面白くもないのに同じ話を何度もする。
・自分の言いたいことだけど話し続ける。
・下ネタを心底楽しそうに話す。
・終始駄洒落。駄洒落そのものは否定しないが、ずっとそれはやはりキツイ。きちんと飛び道具として使いどころを理解していない。
・人の話を聞かない。
はい。
こういうのに付き合わされてしまう場面が、人生で2度や3度は誰しもあったことだろう。
いろいろあると思うが、やはり、致命的なのは『人の話を聞かない人間』である。
ちなみに適当な相槌や「会話のさしすせそ」(※)で返すのは人の話を聞いている範疇には入れない。
「さしすせそ」は、会話に役立つフレーズの頭文字をとったもの。
さ:さすがですね、最高ですね
し:知らなかったです
す:すごいですね、素晴らしいです、素敵です
せ:センスがありますね
そ:そうなんですね、その通りです
しかし「センスがありますね」って返しは、なかなかセンスがないなぁ、なんて思うのは私だけだろうか?
まあこれでトーク力が付いたなんて思っているのは上っ面だけ誤魔化して生きている人たちだと私は認識しているので、こんなものはトークスキルでもなんでもない。
そもそも相手の話をしっかりと聞かないと、そんな適当な相槌、相手は不快なだけだ。
それなりに聞いて、しっかりと理解して、話の中で不明瞭な部分があればそれとなく質問を投げかける。
そういう聞き手が居て、初めて【会話:talk】が成り立つのだ。
ちなみに「話の邪魔をしないように、質問を控える」というのは、私個人としては愚者の選択だと思っている。
あ、無論、どうでもいいような相手の自慢話の中で、質問を積極的にしていこうという話ではない。
それはスルーで構わない。
要はちゃんと話を聞いて、自分自身がその話に興味を持った上でなら、話をしている相手も質問はウェルカムなはずだ。
ソイツがただの話したがりでなければ。
むしろ、その質問が適確であれば、さらにその話に興が入る。
例えば「ここ、ちょっと説明省いたけど、みんなわかってくれるかな? どうかな?」と思いつつ話を進めていたとしよう。
そこに「ここの部分ってその時どうだったの?」と話の肝に関わる部分を察して質問を投げかけられたら、その人はどう思うだろうか?
「よくぞ聞いてくれました!」とそこの説明もノリノリでしてくれることだろう。
まあ、多少的が外れていたとしても、「質問をされる」ということは「自分の話に興味を持ってくれている」ということなので、悪い気がするモノではないはずだ。
さらに、きちんと自分の話を聞いてくれて、理解を深めようとしてくれている姿勢を、喜ばない者は少ないだろう。
そうすると、どうなるか?
「この人にもっと話をしたい。こんな話にそういう疑問点を持つ人の話を聞きたい」
ということにならないだろうか?
え?
基本コミュ障だからならない?
言っておくが、コミュ障だから、人と話をしないという言い訳にはならないので覚えておくように。
それでも、やはり「話し下手」よりかは少しでも「話し上手」の芳香に近寄れたらなぁという願望は人間誰しも少なからず持っているはずだ。
ではその話し上手になる為に、まず、人の話をちゃんと聞け!
だ。
手は手でなくては洗えない。
得る為にはまず与えよ。
なのだ。
人の話を聞いていて、その人の話し口調や口グセでもなんでもいい。
今度はそれをマネしていこう。
そうだな。
例えば、youtubeでいつも見ている話の面白い素人でもいい。
いきなり、M-1王者のとかはやめておいた方がよかろう。
そういう人たちの話し方が、自分が好きだと思う話し方を真似ていけばいいんじゃないだろうか?
そうすると、そのうち人が耳を傾ける話し方になっていけば、そのトークを自分なりにアレンジしていくのだ。
そう、まず基礎を作ってから。
アレンジはそれから。
いきなりアレンジはダメ。
ここ重要。
あと、これも覚えておくといい。
会話はターン制だ。
自分の話ばかりではなく、相手にも話させる機会を与えよう。
延々と自分ばかりが話をするのは、基本よろしくない。
まぁ、話したがりが集まると自然とそうなるんだけど。
結局、そこで人の話をちゃんと聞いて、そこから膨らませたり引き継いだり発展させられるようになる人が「話し上手」になるんじゃないかな?
そういうわけなので、「話し上手」になりたいと思う人に私が言いたいのはやはり『人の話を聞け!』なのである。
残り2つはまた後日。
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その2『無理に面白いことを言おうとするな!』はこちらから!