Been there, done that
あまり同じことばかりも書きたくないのですが,大学入試であれ,ほかの英語試験であれ,あるいは日記を自分で書くのであれ,基本になることを英語が苦手な層に書いた日本語の本はこの本です.文法書ではないので類書(というか類書はないはずです)と違って大学受験用文法事項を「英語の発想」といういう云い方で詰め込むことをしていないのでかなり危ない本に思えるかもしれませんが,ライティングにおける文法に関してはこの記事にも書いたような考え方に基づいて考えています.もっとも大事なセンテンスの基本原理(これも書いてはいけないのかもしれませんが「5文型」とはちょっと違うと思っています.)がグラグラなのに無理をして凝った文構造で書いても仕方ないと思うからです(もちろん,この基本原理の段階を遥かに超えたところにいる人はご自由に).頻出基本動詞の使い方をマスターすることの大切さは説いています(だから巻末にリストがある).
別にテキストタイプ(text types,ただ最近は普通genresということのほうが多い)だって,こういうところに書いてあるように海外(それもオーストラリアとか)ではごくごく普通な話であって,わざわざぼくが変なことをしているわけでもないです.アメリカに長く住んでいる人がこういう本も書いていましたし,絶版中ですが,おそらく近いうちに復刊されるこの本でも扱っています.
でも,これらの正統派の本たちは逆に,「それは基礎ができるようになってから」のように変な指導者だか学習者代表だか学習コンサルタントのような人に言われてしまうことが多いようです.でも,その基礎って受験英語のことですよね.というか,受験英語の定義自体がはっきりしないけれども,入試英文にでそうな質感のカチッとした書きことばの英語の特徴をかなり恣意的な(arbitrary)まとめ方をした,これに慣れている人の頭の中で共有されているものですよね.でも,ぼくはそういう英語はよくわからないので,一切無視して,おしゃべり英語やかなりテキトーな単語を並べただけの英語から余計なものを削ぎ落としたり,ちょっと直して,なんとか意味が通ればいい英語でスッと読めるもので試験の英作文やライティングをとりあえずは済ませてしまおう,きちっとしたアカデミックな英語はそれからでいいという方針で書いています.
一見ざっくりに見えて,語学習得的にはごくごく普通の方向性で進もうとするのか,受験英語という部分でカッチりしたものを作ってそこに他の分野の英語を積み上げる発想をとるのか,は人によって違うでしょう.ただ,ぼくは明確に前者です.後者を否定はしないけれども,後者がちょっと合わない人は前者の方向性を少し取り入れることのも悪くはないと考えます.やや英語が苦手な層はスピーキング系なら『ネイティブなら小学生でも知っている会話の基本ルール』(テイエス企画)と『「意味順」で学ぶ英会話』(JMAM),ライティングなら『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』(かんき出版)です.どうしても基本的な知識が足りないというならば,『Words for Production: アウトプットのための基本語彙ワークブック』(東海大学出版部)と『TOEIC® L&Rテスト やさしい英語で基礎トレーニング』(OpenGate)と全部自分が関わった本でその方向での学習教材はひと通り提供しているつもりです.