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Grammar does not necessarily lay the foundation.

英語指導者には「文法はすべての英語力の基礎になります」のような人が多いですが,ぼくは全くそう思ってはいません.発音だったり,単語だったり,文法以外にも基礎として大事なことはたくさんあるし,文法にも基礎とそうでないものがあります.文法はいらないわけではないですが,TOEIC300点に満たない超初級者こそ「英語学習=文法の勉強」と考えないほうがいいと思います.

さて,昔ぼくが受けたインターヴュー記事では「文法は「意味順」で学ぶと理解しやすい」ということで,次のような説明ともに2冊の本を紹介していました.

細かいルールを暗記するのではなく,ことばの並びが意味を決める「意味順」で英語ならではのしくみ を理解する.『「意味順」で学ぶ英会話』はリスニングの学習にも使える.

PRESIDENT (プレジデント) 2016年3/14号

2冊とも現在も入手可能なのですが,上の『「意味順」書き込み練習帳』に関しては刊行当時から「意味順」自体が最新の言語学の成果や読者や指導者からのフィードバックを受けて進化しているので,下のような新しい本を代わりに使っても良いと思います.

ただ,あなたが中学生で,中学英語を卒業したら高校英語に進まなくてはいけないとか,最終的に英語の先生になるとか,英語の高い読み書きの能力をつけたいというのではなく,差し当たっての目的がTOEICと職場や日常でちょっとチャットやメイル,会話が英語で使えればよい,ということならば,上の『「意味順」で学ぶ英会話』をリスニングメイン(Step 2: Conversationを繰り返し聴く)で使用し,それと並行してこれにがっちり取り組むだけでいいかな,と思っています.

この本の文法説明は『中学英文法「意味順」ドリル』はおろか『「意味順」で学ぶ英会話』に比べてもあっさりです.でも,この本をきちんとこなすと中学英語の文法はほとんどマスターできるようになっています.文法の説明を読むことと文法がわかる(=体得する)ことはちょっと違うからです.

でも,きちんとした使い方をしないと効果は望めません.「この本の構成と使い方」をよく読んで,「できない」「何としたらよいかわからない」という自覚のある人であればあるほど,その通りにやってください.あとは最初のほうは簡単だからガンガン進むかもしれませんが,後のほうになってくるとそのペースでは無理になってくるので,1日1-2見開きできれば十分ぐらいのつもりで数ヶ月かけて終わらせるぐらいのつもりでいいです.そして,終わったらまた最初に戻ってください.

「まえがき」を読んでいただければわかりますが,この本のいいところは例文の質です.大人の英語学習者が,TOEIC教材が難しくて他の中学英語の教材をやると,回り道になってしまうような無駄な知識や場面設定に出会うはずですが,そういうことが一切ないように工夫して例文を作っています.ここにこだわったのも,「中学英語だってその文法そのものはTOEICにも出題されているのだから,語彙や設定にずれがあってもそういうのは学習者の想像力で補うべき」という考え方を指導者側の驕(おご)りと考えるからです.だって,そういう想像力自体が言語能力であり,いま300点に満たない人はそこに長けているわけではないわけですから.

というわけでまとめると,コアテキストとして『基礎トレーニング』を,少し長めの会話を聞くために『「意味順」で学ぶ英会話』を,というのが300点に届かないTOEIC学習者がまずやるべきことだと考えます.

この作業をする過程で語彙は身につくはずですが,この層の学習者が学ぶべき語彙については別の記事で後ほど論じたいと思います.

To be continued…

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