リカコリリックナンバーワン01:時雨 【ウツシヨの映す夜、第四夜】
ごきげんよう。ウツシヨアルバイターのココロこと、シンクです。
「リカコリリックナンバーワン」。
突然始まったこのコーナーのスタンスについて、まずはお話しておきますね。
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好きな歌がありまして。
その歌の歌詞とか、そこに込められた物語、そんなのに思いを巡らすのが好きです。
考察、なんて大したもんじゃあございませんが。
「この言葉ってこういう意味かな?」
とか、
「このフレーズが後のココで効いてる!」
なんて。
深読みしたり浅読みしたりして、発見があるとウキウキしちゃいます。
ぜんぜん的外れなことを言ったりもするけどね。
そうして考えた結果は、必ずしも正解ではないのだけど。
何度も何度も繰り返し聴いたり、歌詞を読み込んだりするうち、自分の中でその歌の物語・世界観に対する“解像度”が上がっていきます。
そしてもっと好きになっちゃう。
好きなものの良さを“簡潔に”伝えるのがあまり得意でない自分としては、その“スキ”を言語化出来るのもイイですね。
とはいえ、基本的には、
「※個人の感想です」
というスタンスでやらせてもらっています。
前述した“正解”ってものは、その世界の創造主であるアーティストご本人が持っているのであって。そのひとが「いや、全然そんな意図無いけど?」と言うのなら、「ヘヘッやっぱそうッスよね~(揉み手揉み手)」で覆します。
公式は絶対。笑
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さて、あたくしココロさん、大阪を中心に活躍中の“時代遅れの激情ロックバンド”、ウツシヨを推して参っております。
そんなウツシヨのボーカル、“リカふぃ”ことリカコさんの書く歌詞についてのお話。
その素敵で無敵な歌詞世界を“リカコリリック”と(勝手に)称して、アレコレ語っていきますよ!
(ここまでが前置き。長かったねぇ)
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『時雨』
(2nd sg.『ウイスキーグラス』収録)
自分とウツシヨとの出会いの曲であり、一番の推し曲でもある『時雨』。
ここから始めてまいります。
(出会いのエピソードについては、別記事にまとめています。お暇でしたらどうぞ)
●イントロ
しっとりとしたギターから入るイントロがただただ美しい。
――からの、ドラムの音が加わるところで、急〜に“西日の差し込む部屋感”出してくるんですよね。(伝わるかな?)
あのどこか気怠い、あやうい空気。くせになる。
(個人の感想です)
※いきなりリリックでなくメロディーの話でした。
●煙草の煙におもうこと
息を吸って、燃えて減っていく火種。
そう、煙草を吸う仕草なわけです。
煙草の匂いを“14mgの香り”と表現しちゃうのが、カッコよすぎて優勝なんだよなもう。自分では一生掛かっても思い付くことのできない文章表現だと思う。痺れる。
“息を吸う”という、生きるための動作そのものと煙草を燻らせるソレを重ねています。
14mgというと、かなりキツイやつなのかな。
(煙草有識者の方どうですか?)
そして、火種とともに“私の価値”が減っていくという――
*
ここで大胆(?)仮説です。
そもそもこの歌の主人公「私」は、喫煙者なんでしょうか?
吸えない(或いは吸えなかった)煙草を、「あんた」に愛されるために無理やり吸っているという、あやうい関係性で。
どうにもならないやりきれなさを、14mgという強い煙草の香りで、無理矢理に誤魔化しているような話だったらどうしよう。つらすぎる。
仮説は仮説ですけど、
『“息を吸う”という生きるための行動そのものが私の価値を擦り減らしている。』
これは多分揺るがない。
この事実は結構エグいぞ。
◆増えていくもの、減っていくもの
前項と少し被ります。
減っていく→火種と私の価値
増えていく→痛みと私の価値
減っていくと増えていくで対比されてんだよなーー!
“私の価値”は増えてくけど、それは“痛み”も同時になんだよなーー!
つらーーい!!
さらにこれを、前項で触れた“仮説”に重ねると、とんでもない事実が浮かび上がります。
・愛されるために“私の価値”を擦り減らすことを余儀なくされている。
・愛されることで、なんとか“私の価値”を保つことができる。ただしソレには痛みがともなう。
…という。
ねえちょっと…つらすぎん??
◆あやうい関係性
聴き始めて最初の頃に、歌詞を読んで「うっ…わぁ」となった一節がコチラ。
“あんた”には、自分の知らない、浅からぬ関係の誰かがいること。
(もしかしたら、“いた”なのかも??)
その部屋に自分が立ち入っていること。
その誰かと自分を重ねられざるを得ないことを、グッと呑み込んで続けている関係だということ。
ぜんぶこの2行で表現されてんだよねえ。凄い。
◆「時雨」という言葉について
ラスサビのこのフレーズ。度々言っているけど、“反吐(ヘド)”というワードを歌詞に入れて、それがサマになっちゃうことがすごい。
そしてね、この一節だけ、“雨に打たれて泣いている”ような情景が見えちゃうんですよね。
さっきまで西日が差してたってのに(個人の感想です)。どういうことだ。
歌詞の言葉に引っ張られているのもあるとは思うのだけど。これはリカふぃのボーカル力(りょく)によるところも大きいと思う。彼女のこの歌唱表現だからこそ降り出した雨だ。
天候さえ操るボーカル。TAV。ヒィーア。(何言ってだこいつ)
…というか“時雨”っていう言葉、そのままストレートに“涙を流す”って意味があるんですね。(しらべた)
なんつーかさあ、もう…
“ソレ”じゃん。(どれじゃん?)
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いかがだったでしょうか?
この曲『時雨』は、僕が初めて聴いたウツシヨの楽曲で、リカコさんのパワフルなボーカルに圧倒されたというのが第一印象でした。
が、いわゆる“恋愛のうた”で、こうしたドロドロした感情を歌ったものを耳にしたことがあまりなかった。そんなインパクトもあったかもしれません。
『時雨』の歌詞は、ウツシヨOfficialWebサイト・Lyricにて閲覧可能です。
楽曲も各種音楽配信サービスで聴くことが出来るので、よかったら聴いてみてください。飛ぶぞ。