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距離感と関係性の中に「尊厳」は潜んでいる──Think Out!013レポート:参加者編

普段会わないような人と、普段考えないような問いについて対話をしながら考える「頭のワークアウト Think Out!」。2020年8月23日(土)に行われた第13回(テーマ:尊厳)のレポートを、参加者のヒジカタさんが執筆くださいました!今回、相手との距離感や関係性に「尊厳」が潜んでいると気づいたヒジカタさん。Think Out!を通じて哲学対話に出会ったというヒジカタさんに、哲学対話の醍醐味もお伝えいただきました。どうぞお楽しみください。(事務局タガイ)

哲学対話への参加は今回が4回目。いずれもTOIが主催するものです。時々参加者の中に同じ顔を見かけたり、必然的に主催者の方々と面識が生まれたりと、このイベントへの参加が習慣化したことで、新たな楽しみを感じるようになってきました。

しかし、だからといってマンネリズムには陥っていません。その心配もないほどに毎回テーマは変わり、参加者の多くは入れ替わり、また、わたしのコンディションも日々変わるので、新鮮な気持ちで臨み続けられています。

今回は「尊厳」がテーマでした。大切に思いつつも、「おはよう!」と挨拶レベルの親しみをもっては扱いづらい「尊厳」という言葉。これまでの回同様、「問い」と「問いの理由」を考えるのには苦労しました。

わたしが用意した「問い」は「尊いけれど厳かでないことは何なのか?」「尊さと尊厳の違いをどう認識しているのか?」です。「尊厳」をよりよく理解するには周辺からアプローチするのが一つの手だと思ったことが「問いの理由」でした。

TOIからは実体験に基づく「問い」と「問いの理由」を求められており、なるべくはそうしたいと思っていますが、わたしは「問い」が先行して頭に浮かび、「問い」のきっかけとなる具体的な出来事(「問いの理由」)については忘れてしまっていることがしばしば。いや、「忘れてしまっている」ではなく「決められない」が適当かもしれません。

複数の出来事が「問いの理由」になったり、「問いの理由」自体にもそれが生まれる理由があったりと、「問い」は自分でも認識できないほどの多種多様な経験によるもので、因果関係は到底追いきれるものではない、という考えをわたしはもっています。単に優柔不断なだけかもしれませんが、それ故に提示する「問いの理由」は具体的な出来事に即していても他者からはそうとわからないほどに抽象的な内容になってしまったり、具体的な内容だとしても時には方便だったりします。

やはり具体的なエピソードに乏しい「問いの理由」が他の参加者の心に響かなかったのでしょうか、「問い」がとっつきにくかったのでしょうか。理由はさまざま考えられますが、他の参加者の方々が提示した「何をもって尊厳というのか?」や「オンライン(SNS)でどう尊厳を守るのか?」という「問い」(これらの「問い」を提示した方々の「問いの理由」は「忘れてしまいました」。大変申し訳ありません)にわたしも含めた皆の注目が集まり、今回はあまり自分の「問い」について話し合うことはありませんでした。

しかしそれはそれでよかったと思っています。というのは、わたし以外の「尊厳」について考える人の「問い」に意識を向けることは、「尊厳」の周辺に位置する存在にアプローチするという点でわたしが自分の「問い」によって目指していることと変わりないですし、また、わたしという存在だけでは生まれなかった「問い」について考え合え、十分に楽しむことができたからです。こうした予期せぬ体験こそ哲学対話の醍醐味でしょう

今回どなたかが話されていたように、相手を知ることがその人の権利を守ることにつながるとわたしも思いますが、守ろうとしているのに傷つけることになってしまうことがあるから難しい問題です。

SNSの普及で他者との距離感を測り違えやすくなった現代こそ、互いを脅かさず、尚且つ互いに対して喜びをもたらすことができる距離感、関係性を探ることが大切だと思ったのが今回の哲学対話の大きな収穫です。その距離感、関係性に「尊厳」が潜んでいるような気もします。

哲学対話に興味を持つ方が増え、いずれ日常会話の中でフランクに「哲学対話」を繰り広げられる社会が訪れることを願いながら、今後も“同じ人間という生き物である以上、誰に対しても共感する可能性はある”という信念のもと、他者と対話を続けていきたいと思います。最後までお読みくださりありがとうございました。

ヒジカタさんのレポート、いかがでしたでしょうか。ご興味持たれた方はぜひ、次回、9月27日(日)のThink Out!(テーマ:(未定))にお越しください。運営メンバー一同、お待ちしております。詳細・お申し込みはこちらから

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