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人の意志を起点とした徹底的実践志向のデータ活用
0.はじめに
Thinkingsのデータマネジメント担当です。
耳慣れない職種かもしれませんが、社内のデータ活用の主導を任務としています。
データサイエンス、データドリブン、データ可視化など、データ〇〇という言葉が各所で注目を集める昨今ですが、ThinkingsでもSaaS型ビジネスの利を活かしたデータ活用に着手しています。
今回は、そんな私たちThinkingsデータマネジメントチームのミッションや具体的なお仕事、大切にしている考え方などをご紹介したいと思います。
↓のような方々のご参考になれば嬉しいです。
・自社内・チーム内でデータの活用を進めたい経営者やマネージャー
・実務でデータを扱っているデータアナリスト・データエンジニア
・これからデータ関連チームを立ち上げんとする新規部門担当者
実は、データマネジメントは私の入社とともに発足したチームで、この記事の執筆時点でメンバーは私1人のぼっち部署です。
他社様の様子を見ていると、私のようにひとりでデータ分析を担っている方がちょくちょくいらっしゃるようなので、この記事をきっかけにぼっち仲間が増えたら嬉しく思います笑。
注:「データ」という単語にはさまざまな解釈がありえますが、今回の記事では基本的に情報処理推進機構 (2022) で紹介されている「コンピューターのファイルに記録され、コンピューターで処理できるもの」という定義を採用します。
1.データマネジメントのミッション~「データ活用」って何だ?~
データマネジメント(以下、DM)のミッションは以下のように設定しています。
▶ データ活用の知的・人的・技術的基盤を構築し、業務改善と事業開発を実現する
「データ活用」という言葉は耳にすることが多いと思いますが、一体なにができたらデータを活用できたといえるのでしょうか?
ThinkingsのDMでは、以下のように捉えています。
▶ データ活用とは、データで意思決定を支援すること
言うまでもないことですが、企業活動は意思決定の連続です。
データには次のような特徴があるので、これらの特徴を活かして速く、適切な、再現性のある意思決定が可能になると期待されます。
考える材料を増やせる
比較できる(前年比較・他社比較・施策前後の比較 etc.)
説明しやすく共通理解を得やすい
人の頭では手に負えない分量の情報を扱える
こうした背景のもと、データを活かして 営業活動やプロダクト開発、経営戦略の意思決定を支援すること がThinkingsにおけるDMの役割です。
2.データ活用の3つの基盤を構築する仕事
先に挙げたミッションには「データ活用の知的・人的・技術的基盤を構築し」と記載されています。
ここからは、DMの具体的なお仕事を3つの基盤に分けて紹介します。
2-1 知的基盤
これは一言でいうと、 データの収集・分析・活用の実務のことです。
データ分析と聞いて一番イメージしやすいお仕事かと思います。
DMには日々各チームからいろいろな相談が寄せられます。
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これらのデータ分析案件に対応することが知的基盤関連の主な仕事です。
基本的には、以下の流れで進行していきます。
依頼チームの課題のヒアリング→使うデータの特定→分析→報告・議論→課題解決に向けた施策検討
分析の他にも データの集め方やリサーチの相談 も受け付けています。
Garbage in, garbage out という言葉があるように、データを集める時点で分析の質は決まります。
この入口となるアンケート項目や、営業報告の入力項目の設計などをご一緒しています。
加えて、世の中的な採用のトレンドや制度の調査なども行っています。
こちらは外部データとして、経営戦略やプロダクト開発に役立てることを見込んでいます。
このように、データの収集・分析・活用のための知識を蓄え、方法を開発する仕事が知的基盤の構築です。
2-2 人的基盤
これは一言でいうと、 データを活用できる人材の育成です。
社内外に向けた データ活用をテーマとしたセミナーが代表的なものです。
また、社内向けに分析やリサーチの結果をまとめた記事を週刊連載しています。
データ活用には社内の理解や他チームの協力が不可欠なので、DMだけでなく、社内全体でのデータ活用のポテンシャルを地道に高めることを狙っています。
これらの取り組みに加えて、 各チームとご一緒する分析プロジェクトの中での議論もこの人的基盤の仕事に重なってきます。
分析プロジェクトの中では、データの読み取り方や活用の仕方を実践の中でお伝えすることが多くあります。
セミナーや記事の中ではどうしても一般論的なことしかお伝えできないのですが、各プロジェクトの議論では具体的なケースに即してお伝えすることができます。
さらに、データを扱える人材の採用 もこの人的基盤の仕事に含まれます。
採用のためにチームの取り組みを発信したり、親和性の高い人がいそうな学会に突撃したりしています。
以下は、2022年3月13日に開催された、日本心理学会若手の会主催の異分野共同懇話会2022で発表した資料です。
2-3 技術的基盤
これはデータ活用のための仕組みとルールの構築です。
エンジニアさんたちと協力して、使用頻度の高いデータを少ない工数で取り出せるようにしたり、より柔軟に活用できたりすることを目指した仕組みづくりをしています。
一方、社内での活用が進むにつれて、セキュリティリスクが高まるというのはデータを扱ううえでの宿命といえます。
情報漏洩などのインシデントを未然に防ぐために、データ共有のリスク管理とルールづくりも、技術的基盤の整備において大事な仕事です。
セキュリティ関連のチームや法務のみなさんと一緒に、DMから各チームへのデータ共有時のルールを整備・運用しています。
ただ、縛りを強くしすぎると活用がしにくく、あまりに自由にしすぎるとリスクが高まるという、バランスがとても難しい領域です。
アクセルとブレーキを場合に応じて柔軟に踏み分けながら運用する必要があることをひしひしと感じております。
技術的基盤の仕事は他の2つと比べるとやや地味に見えますが、 データ活用の土台となるとても重要な仕事です。
2-4 3つの基盤構築の仕事のまとめ
かんたんにまとめると、以下のようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1656920248810-dDTe40XZXb.png?width=1200)
ただし、できたばかりのチームなので、 決まった仕事はありません。
そのため、「こういうことはできる?」とどんどん投げ込んでいただいて可能性を広げてほしいです、と社内では触れ回っています。
3.徹底的に実践と目的に向き合う
最後に、これまで示したミッションや仕事内容を踏まえて、ThinkingsのDMが大切にしている考え方をお伝えしたいと思います。
3-1 徹底的実践志向
これは、 業務や事業をいい方向に変化させられなければ無意味だという基本スタンス です。
データ分析では、分析結果や報告書を出して完了という仕事の仕方もありえます。
実際、分析を受託している企業やコンサルタントでは、レポーティングをもって納品・完了とするケースも多いと聞きます。
しかし、事業会社の内部に所属してデータ活用を目指すのであれば、レポーティングそのものに意味はありません。
分析・調査の結果を伝えた先になされる意思決定の支援こそがデータ活用の目的です。
意思決定がうまくいけば、業務や事業、ひいてはその先にある社会にいい方向の変化が生まれます。
この変化を起こすことをDMでは達成すべき目標とみなしています。
変化を起こすために、一緒に仕事をする人たちにも変化への意志を望みます。
現状維持のためのデータ活用は基本的に考えていません。
変化を起こすために、分析以外にもやれることは基本的になんでもやる、という考え方が徹底的実践志向です。
3-2 データは手段でしかない
データ活用は意思決定の支援であることを先に述べました。
これは、データ活用には目的、つまり何を意思決定したいか、何を実現したいかが必然的に伴うことを意味します。
データは目的の達成を支援することはできますが、目的そのものを生成することはできません。
データはあくまでも手段のひとつでしかないのです。
そのため、データ活用を進めるためには、データ以外の出どころから目的を持ち込む必要が出てきます。
何を意思決定したいか、何を実現したいかといった目的の源泉となるのは人の意志だとDMでは考えています。
「誰もが意志ある仕事をするために 誰もが使える方法をつくる」というのがThinkingsのコーポレートミッションです。
データという手段に溺れず、人の意志が生み出す目的を見据え続けることが、DMが大切にしていることのひとつです。
3-3 対話を大事にします
安斎・塩瀬(2020)では、コミュニケーションを以下のように4つに分類しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1656902955722-hvfx0tLySi.png?width=1200)
DMではこれらのうち 「対話」 を最も大事にしています。
なぜなら、課題を特定し、仮説と解決策を考え、実践で活用するのはクリエイティブな行為だからです。
クリエイティブな行為のためには、新たな意味づけをつくることが必要になります。
対話を成立させるためにDMで工夫していることがいくつもあります。
同時に、一緒に仕事をする人たちに求めていることもあります。
それは、繰り返しになりますが 変化への意志 です。
これがないと対話は成立しないと考えています。
人の意志から目的は生まれます。
その目的を形にするための方法を一緒に考えていきます。
4.おわりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
お読みいただいたみなさんの組織のデータ活用に役立てたり、Thinkingsの取り組みにご興味をお持ちいただけたりしたら嬉しく思います。
「好評だったらDMの記事をシリーズ化しようぜ!」とボスとも話しているので、よろしければ応援ください笑。
5.文献
安斎 勇樹・塩瀬 隆之 (2020). 問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション 学芸出版社
独立行政法人情報処理推進機(2022). データの共通理解推進ガイド -用語辞書や語彙を用いたデータの共通理解-