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午後

身体を傾ける度、体内の熱い液体も傾いて徐々に内臓が焼ける感覚。身体の中心部、心臓ではなく胃袋が熱を発する。

思えば最近は、心臓の主張を感じていない気がする。生きているから動いているけれど、強く鼓動を打たされるような瞬間、もうしばらく無い。

仕上げに使う紙やすりのような、繊細な凹凸の中を進む日々。通った後で先駆者達の獣道だと気がつく。もっと痛かった彼らの流した血が、あちらこちらに付着していて少し安心する。

私はどれくらいの傷を負っていて、どれ程の血を流しているのか。これでもきっと無傷に近いだろうと項垂れてカーテンを閉める。

優しい世界を望む一方で、能力や才能が認められる世界の方が好きだから。優劣がないと生きた心地はしないし、安心の平等に愛着は持てない。

自分自身の未熟さを分かったように、そして世界の矛盾相手に死闘を繰り広げている、私のそんな見取り図は全て勘違い。ごねる子供に近しくより厄介なだけ。

反発をしたい訳じゃない。次に発せられる言葉が怖くて、とても待っていられない。臆病が邪魔。

あっという間に黄昏時で、気力を奪われやる気を削がれ。考える穀潰し。葦なんて烏滸がましい。







花代