説得の3要素
論理を大切にずっとビジネスやセールスを考えてきました。それゆえに分かったことがあります。
人は論理だけで動く(決断する)ことはどうやらなさそうだと。
大切な意思決定においては、論理以外に大切な要素がある。
それは何か?
古代ギリシアの哲学者アリストテレスが「弁論術」で人を説得する3要素として『ロゴス、パトス、エトス』を挙げてくれています、2000年以上前に。
ロゴス(logos)
ロジックの語源だそうです。つまり論理です。
パトス(patos)
パッションの語源、情熱です。
エトス(ethos)
ethics(倫理)の語源と言われ、信頼を意味するそうです。
因みに、説得力の強さは??
エトス > パトス > ロゴス
です。
これ、エトスの重要性そんなに高い??かなと思う人もいると思いますが。
パトスとロゴスが高くて、エトスが低い状況を思い浮かべると分かりやすいです。
ポン引きとかキャッチのお兄ちゃんです。
(最近はきちんとした方も出てきていると聞きますが。)
「兄さん、これからいかがですか?」
「安く、しますよ!」
あのノリです。
セールスパーソンと顧客の関係で考えてみます。
ロゴス(論理)はどこにあらわれるか?
基本は、営業が話すトークスクリプトです。
では、エトス(信頼)やパトス(情熱)は?
話している内容そのものではなく、話す人間の声のトーンや強弱といった聴覚情報。そして話す人が醸し出す雰囲気や人柄、顔の表情の動き方といった視覚情報。いわゆる非言語情報という事になります。
商品の良さを説明する際に、
「この商品は○○◇◇の機能があって、***の理由があるからいいんです。」と論理的に話してみる。
「この商品は本当にいい商品です。」
の「本当に」の部分に心の底から自分自身の想い・自信をのっけて語る。
そういうことだと思います。
「人は見た目が9割」などの話と似ているのですが、少し捕捉しておきたい点が。
服装や髪型といった事前準備で対応できる部分もありますが、より本質的には人柄・人格に関する情報が聴覚情報や視覚情報を通して知らぬ間に相手に伝わるということです。
相手とのインタラクティブなやり取りの中で行われ、こちらの意図が及ばないものも多くあります。
私自身お会いする方の「熱量」を測る際、話している内容よりも活き活きとした「表情」かどうかを見ます。
その方が自分の想いを語っている際、「眼の瞳孔」が話の前後で大きくなっているかどうか。
私がチェックする「目の瞳孔」という視覚情報はそんな簡単に自身でコントロールできるものではありません。
アッパー層になるほどこうした人間観察に長けている人が多いものです。
結局、己の人間性を磨いていく、時間をかけて。
その非言語情報の部分を鍛えるトレーニングこそ、前回の記事の「平生」なのだと思います。
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