1.3 国力とは?
さて、こうして出来上がった国家であるが、その国家が経済成長を一つの目標として追い求めることについては、何の問題もないのである。この一見、私の議論と矛盾する主張について展開してみよう。
そもそも、国家という単位を認めてしまっており、その船頭として政府なるものがあるのであれば、政府はその舵取りにあたって、何らかの目標を設定するものであろう。もちろん、この目標を設定しそれに突き進むという思考方式そのものが特殊近代的なものなのかもしれないが、そこについては議論しない。その目標について、国力の成長を設定することは至って自然な発想だと思う。
さて、その国力とは何かということである。もともとは軍事力が第一だったのであろう。明治維新後の日本は地域覇権を目指し、諸外国と争うために、軍備増強に勤しんだわけである。しかし、結局第二次世界大戦でその試みは終わりを迎え、憲法9条によりそうした目標は掲げられなくなった。だからこそ、国富の増大、経済成長は、それに代わるものとして大変重宝されたわけである。
そして、幸運なことに日本は高度経済成長を迎えることができ、経済大国として国際社会にリバイバルした。その結果、国民は経済大国としてのプライドを大なり小なり抱くことになったわけであるが、いずれにしても、経済成長を目標に国家を運営すること自体に違和感はないというわけである。
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