【英文法の小径】主節と従属節〈文法用語〉
今回は、いつもと趣向を変えて、文法用語の話です。
まず、学習文法による一般的な説明に従って、「節」から順に確認していきます。節とは何か?
1-a. [Though it rained a lot], we enjoyed ourselves.
1-b. [In spite of the rain], we enjoyed ourselves.
1-a の [Though it rained a lot] というカタマリは、中に 'it rained' という「主語+述語動詞」があるので「節」ですが、1-b の [In spite of the rain] というカタマリは、中に SV がないので節ではありません。このようなカタマリは「句」と呼ばれています。
次に、節の種類の一つに「従属節」というのがある。従属節とは何か?とりあえず、次のように定義しておくことにします。
従属節は、文中での働きによって「名詞節」「形容詞節」「副詞節」の3つに分類される(ちなみに、従属節の分類の仕方は他にもある)。
2. [What happened] was nobody’s fault.
3. The man [who lives next door] is very friendly.
1-a で、接続詞の 'though' がまとめる [Though it rained a lot] という節は 'enjoyed' という動詞を修飾して「副詞」の働きをしているので「副詞節」。
2 で、関係代名詞の 'what' が導く [What happened] という節は 'was' の主語になって「名詞」の働きをしているので「名詞節」。
3 で、関係代名詞の 'who' が導く [who lives next door] という節は 'the man' という名詞を修飾して「形容詞」の働きをしているので「形容詞節」。
さらに、従属節に対立する用語として「主節」がある。主節とは何か?
「主節」と言うぐらいだから、文の中で中心となる意味内容を表している節ということではないのだろうか。
4. That was [because she was athletic].
4 の [because she was athletic] は接続詞の 'because' ではじまる節=「従属節」ですが、('That was' ではなく)こちらの方が意味内容的に中心となる節であるのは明らか。よって、前述の定義では不都合です。
それでは、主節とは文から従属節を除いた部分であるという説明はどうだろう。
確かに 1-a の [Though it rained a lot] という従属節を除いた部分 'we enjoyed ourselves' が主節であるというのはいいけれど、2 の文から [what happened] という従属節を除いたら、残りは 'was nobody's fault' となってしまう。これが主節であるというのは不合理です。
ここで、先述の従属節の定義を改めてみる、正確には、次の説明を加えることにします。
2 の例のような場合、文全体を1つの節とみなし、その中の主語になっている [what happened] を従属節、それに対して文全体を主節であると考えるのです。これで、説明に困ることはないはず。
最後に、イギリス系のオンライン英英辞書による「節」に関する文法解説について、触れておきます。
5-a. I’m saving money [to go to Australia].
5-b. I’ve finished [cleaning the flat].
5-c. George hurt his arm [playing tennis].
日本の標準的な学習文法によれば、to不定詞(5-a)や動名詞(5-b)、分詞(5-c)といった準動詞ではじまるカタマリは「句」ということになっていますが、例えば Cambridge や Collins の辞書では ‘clause’ つまり「節」として扱われています。
ちなみに、Collins の辞書による 'clause' の定義は次のとおり。