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【英文法の小径】時制と相〈文法用語〉

今回はいつもと趣向を変えて、文法用語の話です。

英文法には、「時」に関連する大きなカテゴリーとして「時制」(tense)の他に「相」(aspect)というものがあります。

「時制」は、動詞の表わす動作・状態が話をしている時点より前なのか後なのか、同時なのかといった時間的な関係を、動詞の形式によって示すもの。

それに対して「相」は、動詞の表わす動作・状態が基準となるある時点において完了しているのかいないのか、継続しているのかいないのかといった、動作・状態の時間的なありさま(様態)を、動詞の形式によって示すもの。

したがって、これまでに【英文法の小径】において扱ってきた〈現在形〉と〈過去形〉は「時制」に属しますが、〈進行形〉や〈完了形〉、〈完了進行形〉は正確には「相」に属します。例えば、〈現在進行形〉( is going など)は「現在時制の進行相」を表わす形、〈過去完了形〉( had gone など)は「過去時制の完了相」を表わす形ということになります。

ただ、英語を実際に使う上では、「時制」と「相」の区別にはあまりこだわらずに、動詞の形式とその用法に注意を集中するのが現実的です。

ところで、「英語には未来時制はない」という話を読んだり聞いたりしたことがありませんか。その理由を素人なりに探ってみましょう。英語の動詞には5つの活用形があります。

  • 原形

  • 現在形(原形と同じ。主語が3人称・単数のときは -(e)s を付ける)

  • 過去形(規則動詞の場合、原形に -(e)d を付ける)

  • 過去分詞形(規則動詞の場合、過去形と同じ)

  • 現在分詞形(-ing 形)

「時制」で用いる動詞の形式(=語形)をこの「動詞の活用形」に限って考えた場合、使えるのは「現在形」と「過去形」だけであって、「未来形」という活用形はないのです。こういうわけで、英語には「未来時制」というものはないということになるのかもしれません。

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