「光る君へ」への長い道のり ~『第19回 「放たれた矢」振り返り』(その4)(ネタバレ)~[2969文字]
大河ドラマ「光る君へ」 第19回『放たれた矢』 の振り返り、その4です。
※以下より、第19回のストーリーを記述しています。未視聴の方は先に第19回をご視聴ください🙇。
■[第19回『放たれた矢』 振り返り]その4
為時〔岸谷五朗〕の屋敷ー。
まひろ「父上、正月の除目の申文ですけれど、越前守をお望みになったらよろしいのではないでしょうか」
為時「はぁ?」
まひろ「越前には宋人が大勢来ております。父上なら宋の国の言葉もお話しになれますし、ほかの誰より、お国のために役に立ちまする」
為時「途方もないことを申すな。大国の国司は、五位でなければなれぬ。私は正六位だ」
まひろ「望みは大胆であるほど、お上の目にも留まりましょう」
為時「乱心しおったと思われるだけじゃ」
まひろ「もう10年も父上のお望みは叶えられておりませぬ。ここはいっそ、千尋の谷に飛び込むおつもりで、大胆不敵なお望みをお書きなさいませ。のるかそるか、身分の壁を乗り越えるのでございます」
為時「お前、恐ろしいことを申すな」
まひろ「何かせねば、何もかわりません」
為時「国司を望むなら、せいぜい淡路守くらいであろうが、それでも正六位のわしにとっては、出過ぎた願い。お前、宮中に参ったら、何やらおかしくなったのう」
一条殿ー。
ナレーション:「その夜、伊周は斉信の妹、光子のもとへ忍んでいた」
伊周〔三浦翔平〕「中宮様の気持ちが分からぬ。そなたはどう思う?」
光子〔竹内夢〕「入内したことのない者に、中宮様のお気持ちは分かりません」
伊周「あ~あ・・・。そなたとおる時以外はつまらぬばかりだ」
はにかむ光子。体を寄せ合うふたり。
内裏ー。一条天皇〔塩野瑛久〕と道長〔柄本佑〕。
御簾の向こうから、一条天皇が道長に話しかける。
一条天皇「世の中には、政のことを考える女子もおるのだな」
道長「中宮様も女院様も、さようにございますが」
一条天皇「さような高貴な者ではない。前式部丞蔵人の娘、というておったかな・・・。名は、ちひろ・・・まひろと申しておった。朕に向って、下々の中にいる優秀な者を登用すべきと申した。いかがした?」
道長「お上に対し奉り・・・お恐れ多いことを申す者だと思いまして」
一条天皇「あの者が男であったら、登用してみたいと思った」
一点を見つめ廊下を下がる道長。
道長「違う・・・違う、違う・・・」
除目の申文の中から、淡路の国司を願う為時の名を見つける。
道長「淡路か・・・」
沓脱石に置かれた黒漆の浅靴を丁重に揃えなおす乙丸。朝廷の使者にひれ伏した為時とまひろ。
使者「正六位上 藤原朝臣為時を、従五位下に叙す」
為時とまひろ、乙丸といとの息が止まる。
為時「鴻恩をかたじけのう、いたしたるこの身、えい慮を承り、謹んでお受けつかまつります」
頭を下げ、両手で書状を受け取る為時。
使者「右大臣様からのご推挙でございます」
まひろの瞳がうろたえる。使者が帰った後、為時は大きく息をつく。
まひろ「これは、国司にしてくださるということでしょうか」
為時「10年もの間、放っておかれたのに、突然、どうしたことであろうか・・・。分からぬ・・・」
まひろ「ああ・・・、もし国司なら父上は誰よりも越前だとお役に立てるのに」
為時「もうその話は、もうよせ。国司と決まったわけでもない。ありがたく従五位下をお請けするだけだ」
いと「あの・・・お話中でございますが、明日、内裏にお上がりになる時は、赤い束帯でございますね」
為時「そうだ」
いと「殿様、うちには赤い束帯はございません」
為時「へ?・・・位があがるなどということを長い間、考えてもおらなんだからな・・・」
まひろ「宣孝様にお借りいたしましょう。これからお屋敷に拝借に行ってまいります。支度に行ってまいります」
部屋を出ていくまひろ。いとが為時に近寄る。
いと「やはり、右大臣様と姫様は、何かありますね」
為時「こたびのことはそうとしか思えぬな・・・」
いそいそと支度をするまひろ。ふと手が止まる。
内裏ー。赤い束帯で道長と対面した為時。
為時「こたびはありがたくも、従五位下叙爵へのご推挙を賜り、この為時、御礼の言葉もございませぬ。悲田院でお助けいただいた娘も、おかげさまで息災にしております。なにもかも右大臣様のおかげにございます。これより、身命を賭して、お仕え申し上げ奉ります」
道長「お上の御ために尽力されよ。ご苦労であった」
一条殿。満月が雲に隠れた。
斉信〔金田哲〕「光子。帝よりの賜りものじゃ。妹と分けよ」
光子「ありがとうございます、兄上。儼子は・・・ただいまお忍びがあって・・・」
斉信「そうか」
一条殿の表に伊周がやって来る。門の前に牛車。
伊周の屋敷ー。隆家がひとりで酒を飲んでいる。
隆家〔竜星 涼〕「(酒を飲み)ああ・・・」
そこに伊周が足音をたてて戻って来る。
隆家「あれ?女のとこに行ったんじゃないのか?」
隆家から酒取ると飲み干す伊周。
隆家「おお・・・。振られたの?男が来ていたとか?アハハ・・・」
伊周「まさか、あいつに裏切られるとは思わなかった」
隆家「ああ・・・。男が押しかけて来たのやも知れぬぞ」
伊周「見事なしつらえの牛車であった」
隆家「泣いたってしょうがないだろ。よし、懲らしめてやろう」
伊周「関白になれなかったゆえ、女まで俺を軽んじるのだ」
隆家「か~っ、情けないなぁ~。行こう。誰だか確かめるだけでもいい。ほら、兄上!」
馬を連ね、一条殿へ向かう伊周と隆家。
かがり火の門の前に牛車。待機している従者たち。門が開く。
笑っ弓を構える隆家。
伊周「よせ」
門から頭巾姿の男が出て来る。
隆家は弓を射る。
頭巾姿の男をかすめて、矢は牛車に刺さる。
花山院〔本郷奏多〕「わっ!」
隆家「脅しただけだ。当ててはおらぬ」
伊周「誰だ?」
斉信「院!いかがされました!院!お気を確かに、院!」
隆家「院?」
ナレーション:「矢を射かけられたのは花山院。長徳の変の始まりである」
次回、どうする定子(´-`)。
妹が兄で苦労するのは映画の寅さんと同じやね( º言º)
以上で『第19回 「放たれた矢」の振り返り』は終了です(´-`)。
最後までお読み頂き、ありがとうございました🙇。