「光る君へ」への長い道のり ~『第21回 「旅立ち」振り返り』(その4)(ネタバレ)~[2867文字]
大河ドラマ「光る君へ」 第21回『旅立ち』 の振り返り、その4です。
※以下より、第21回のストーリーを記述しています。未視聴の方は先に第21回をご視聴ください🙇。
■[第21回『旅立ち』 振り返り]その4
内裏ー。
道長〔柄本佑〕にひれ伏す為時〔岸谷五朗〕。
道長は越前の宋人に対する朝廷の考えを為時に伝える。
道長「今日は越前について、話したいことがあって呼んだ。わが国では筑前の博多の津におていのみ、宋との商いを許しておる。ところが去年、宋人が70名余り若さに到来し新たな商いを求めてきた。しかし、若狭には大湊も異国人を入れる館もないゆえ、それらを越前に移し松原客館に留め置いておる。まあ、これは承知であるな」
為時「もちろんでございます。彼らは都とのじかの商いを求めていると」
道長「うん。朝廷は越前に新たな商いの場を作る気はない。越前と都は近い。都に乗り込む足掛かりとなることも考えられる。彼らは商人などと言っておるが、証拠はない。70人もがまとまってやって来るというのも、妙ではないか?」
為時は返事につまる。
道長「彼らが商人などとは偽り。まことは官人、いやそれどころか、戦人であるやもしれぬのだ。彼らに開かれた港は、博多の津のみ・・・と了見させ、穏便に宋に返すこと。これが越前守の最も大きな仕事と心得よ」
為時「はっ。知恵の限りを尽くし、一心にその任に当たります」
為時はそう答えるしかなかった。
為時の屋敷ー。祝いの膳が整えられる。
宣孝〔佐々木 蔵之〕に酌をするまひろ〔吉高由里子〕。
浮かない顔で箸が進まない為時を見る宣孝。
まひろ「父は出発する日が近づいてお気が重くなられたか、このごろお顔をの色がさえませんの」
宣孝「行ってしまえば国司は楽な仕事よ。土地の者どもと仲良くやれば、懐も膨らむ一方だ。ハハハハ。行けば治る」
まひろ「またそのような軽薄な。父がまだ出立する前から懐を肥やせ肥やせと、人聞きの悪い。父はそのようなことが誰よりも苦手でございます。そのことは宣孝様が一番よくご存じですのに」
宣孝「これはとんだ無礼をつかまつった。(頭を下げる)いつからまひろに叱られる身になったのかのう・・・」
いと「叱られる時、宣孝様はいつもうれしそうに見えますが」
宣孝「そうか。ハハハハハハ・・」
まひろ「私も父上と越前に行きますので、あちらで宋人に会うのが楽しみでございます。宋人のよき殿御を見つけ、宋の国に渡ってしまうやもしれません」
宣孝「それもいっそ良いのかもしれぬな。もうお前に叱られないかと思うと、さみしいがのう」
そこに惟規〔高杉真宙〕が慌ただしく帰って来る。
惟規「父上のご出立に間に合いました!(為時の前に座る)本日、文章小生になりました」
為時は笑顔を浮かべる。
為時「受かったか。ついに!」
まひろ「おめでとう、惟規!」
宣孝「めでたいことばかりだな、為時家は。一杯飲め!」
惟規「はい!」
日暮れの近づく縁で文机にむかうまひろ。文を書く。
月明かりの廃屋にまひろ。足音がして道長が姿を現す。
まひろ「父を越前守にしてください、ありがとうございました」
道長「お前が書いた文、帝がお褒めであった」
まひろ「私が書いたとお分かりになったのですか?」
道長「お前の字は・・・わかる。明日、出立だな」
まひろ「はい。最後にお聞きしたいことがあり、文を差し上げました」
道長「何だ?」
まひろ「中宮様を追い詰めたのは道長様ですか?小さな騒ぎを、殊更大ごとにし、伊周様を追い落としたのも、あなたのはかりごとなのですか?」
道長「そうだ。だから何だ」
まひろを見る道長。
まひろ「つまらぬことを申しました。世間の噂に惑わされ、いっときでもあなたを疑ったことを恥じまする。お顔を見て分りました。あなたはそういう人ではないと」
目をそらす道長。
道長「似たようなものだ。俺の無力のせいで、誰も彼もすべて不幸になった。お前とかわした約束は、いまだ何ひとつ果たせておらぬ。これからどこへ向かってゆけばよいのか、それも見えぬ。おそらく俺はあの時、お前と遠くの国へ逃げて行っていても・・・お前を守り切れなかったであろう」
まひろ「彼の地であなたと共に滅びるのもよかったのやもしれませぬ」
道長「越前の冬は寒いそうだ。体をいとえ」
まひろ「はい。道長様もお健やかに」
月明かりの庭を見ている道長。その横顔を見つめ、体を寄せるまひろ。まひろを抱きしめる道長。
まひろ「この10年、あなたを諦めたことを後悔しながら生きてまいりました。妾でもいいから、あなたのおそばにいたいと願っていたのに、なぜあの時、己の心に従わなかったのか。いつもいつもそのことを悔やんでおりました。いつの日も、いつの日も・・・」
道長「いつの日も、いつの日も・・・。そなたのことを・・・。」
道長を見つめるまひろ。
まひろ「今度こそ、越前の地で生まれ変わりたいと願っておりまする」
道長「そうか。体をいとえよ」
ほほ笑むまひろ。道長の顔を引き寄せ唇を重ねる。
ナレーション:「京を出立したまひろたちは、琵琶湖を舟で北上し、越前への山道を進んだ」
馬で進む為時。輿に乗ったまひろ。
為時「慣れぬ道中、さぞかし疲れたであろう」
まひろ「私は楽しんでおりますのでお気遣いなく」
為時「そうか。国府に行く前に、立ち寄りたいところがある」
敦賀・松原客館ー。
為時「新たに越前守となった藤原朝臣為時である」
役人「これはこれは。今、お着きになられたのですか?」
為時「一刻も早く宋人たちの様子を見たくて、立ち寄ってしまった。迷惑であったか?」
役人「いえいえ。こちらに寄られるとは聞いておりませんでしたので」
館の扉を開ける為時。
宋人たちが怒鳴りあっていた。
為時「(宋語で)静まりなさい」
宋人たちが静まる。
為時「(宋語で)私は越前の新しい国守である」
怒鳴りながら、為時に向って来る宋人たち。
それをひとり離れて見ている青年がいた。
オウム「ニーハオ」
次回、どうする周明(´-`)。
以上で『第21回 「旅立ち」の振り返り』は終了です(´-`)。
最後までお読み頂き、ありがとうございました🙇。