「光る君へ」への長い道のり ~『第32回 「誰がために書く」振り返り』(その3)(ネタバレ)~[2311文字]
大河ドラマ「光る君へ」 第32回『誰がために書く』 の振り返り、その3です。
※以下より、第32回のストーリーを記述しています。未視聴の方は先に第32回をご視聴ください🙇。
■[第32回『誰がために書く』 振り返り]その3
内裏、藤壺ー。
ひれ伏した道長〔柄本佑〕と倫子〔黒木華〕。縁に控えたまひろ。座に就く彰子〔見上 愛〕。
倫子「中宮様。この度、新たにお仕えすることとなった女房でございます。出仕は来月からとさせますので、今日はご挨拶に」
道長、赤染衛門〔凰稀かなめ〕がまひろに視線をやる。
まひろ「前越前守 藤原朝臣為時の娘、まひろにございます」
道長「帝たってのお望みで、この藤壺で物語を書くこととなりました。お目をおかけくださいませ」
彰子「帝のお望み?」
道長「この者の書いた物語を、帝が大層お気に召されましたゆえ、格別に取り立てました」
まひろ「帝と中宮様の御ために、一心にお仕え申し上げる所存にございます」
表情のない彰子。とまどうまひろ。ほほ笑みかける倫子。
廊下ー。
倫子「では、内裏の中は衛門が案内いたせ」
赤染衛門「はい」
道長「あとは頼んだぞ」
道長と目が合い、目をそらすまひろ。道長と去っていく倫子。
赤染衛門「帝のお目に留まるとは、ご立派になられましたね」
まひろ「いいえ‥‥」
赤染衛門「なんとか、今の藤壺のどうにも生き詰まった気分が改まるとよろしいのですけれど‥‥。参りましょう」
まひろ「はい」
赤染衛門「まひろさん、お子さんがおありなんですって?」
まひろ「はい。7歳の娘がおります」
赤染衛門「ご夫君を亡くされて、大変でしたわね。まあ、夫はいても、大して当てにはなりませんけれど‥‥。私の夫はあちこちに子を作り、それを皆、私が育てておりました。そのうち、最初の子が大きくなって、下の子らの面倒を見てくれるようになり、帰ってこない夫を待つのにも飽きましたので、土御門殿に上がったのです」
まひろ「あなた様がそのようなお方だとは‥‥存じませんでした」
赤染衛門「フフフ‥‥。人の運不運はどうにもなりませんわね。あんなに素晴らしい婿君と巡り会えた土御門のお方様は、類まれなるご運の持ち主。羨ましゅうございます」
まひろ「まことに‥‥。あの‥‥中宮様は、どういうお方なのでございましょう」
赤染衛門「それが謎ですの」
まひろ「お小さい頃から、おそばにおられましたのに?」
赤染衛門「それでも分かりません。奥ゆかしぎて」
道長のもとに、安倍晴明〔ユースケ・サンタマリア〕危篤の知らせが来た。
安倍晴明の屋敷ー。
部屋の前で祈る従者の須麻流。御簾をめくる道長。床に就いている安倍晴明。
安倍晴明「お顔を拝見してから死のうと思い、お待ちしておりました」
道長「何を申しておる。思いの外、健やかそうではないか」
安倍晴明「私は、今宵死にまする。ようやく光を手に入れられましたな。これで中宮様も盤石でございます。いずれ、あなた様の家からは、帝も皇后も関白も出られましょう」
道長「それほどまでに話さずともよい」
安倍晴明「お父上がなしえなかったことを、あなた様は成し遂げられます」
道長「幾たびも言うたが、父のまねをする気はない」
安倍晴明「ただひとつ。光が強ければ、闇も濃くなります。そのことだけは、お忘れなく」
道長「分かった」
安倍晴明「呪詛も祈祷も、人の心のありようなのでございますよ。私が何もせずとも、人の心が勝手に震えるのでございます」
道長を見る安倍晴明。
安倍晴明「何も恐れることはありませぬ。思いのままにおやりなさいませ」
眼を閉じる安倍晴明。合掌した須麻流の肩が震える。
安倍晴明に向き直る道長。
道長「長い間、世話になった(頭を下げる)」
御簾から漏れる星明り。
ナレーション:「その夜、自らの予言どおり、晴明は世を去った」
内裏ー。
ナレーション:「一条天皇は伊周を再び、陣定に召し出す宣旨を下した」
実資〔秋山 竜次〕「言葉もない。全く、言葉もない‥‥」
顕光〔宮川 一朗太〕「左大臣殿は何をしとったのだ!」
道綱〔上地雄輔〕「左大臣様を責めるのはどうなのですか?」
顕光「帝をおいさめできるのは、左大臣殿しかおらぬ!」
道綱「右大臣様がおいさめしてもいいではありませんか!」
顕光「あ‥‥」
実資「言葉もない!不吉なことが起きなければよろしいが‥‥」
ということで、長くなりましたので、『第32回「誰がために書く」』の振り返り』その3は、その4へ続かせていただきます(´-`)。
最後までお読み頂き、ありがとうございました🙇。