見出し画像

【歴史のすみっこ話】漢字、危機一髪3~大正時代の常用漢字~[1185文字]

戦前の教育制度等、知らないことばかりなので、書籍などを読むとへぇーとなることが多いです。

例えば、男女共学が基本的には無かったことも😮。

日本の学校では明治二十四年に出された「学級編成等ニ関スル規則」によって、尋常小学校(昭和十六年から終戦まもなくまでは「国民学校」)では一・二年生だけを男女共学とし、三年生以降は男女でクラスを分けることとなっていた。
尋常小学校を卒業したあと、さらに進学する者は旧制中学校や高等女子校、あるいは各種の実業学校などに進んだが、そこはいずれも男性または女性だけの学校であった。
私たちの世代では常識的なことだが、終戦から半世紀以上もの時間がたったいま、若い世代のなかには、戦前の日本に「男女共学」という状況が基本的になかったことを知らない人も多いようだ。

『戦後日本漢字史』 著:阿辻哲次より引用

尋常小学校とは今でいう所の小学校にあたります。
(明治40年からは、修業年限がそれまでの4年間から6年間になります)


さて本題ですが──。

1919年(大正8年)の7月
文部省から、尋常小学校の各種教科書で使用している2600余字の漢字について、「漢字整理案」が発表されました。
これは、まず字形を統一しようという意図によるものでした。
活字の漢字の形と手書きの漢字の形とで、乖離が目立ってきた為、統一を図るということらしいです。

続いて、1923年(大正12年の5月9日

政府の機関である臨時国語調査会(初代会長は森鴎外、大正11年7月9日に死去)から、1963字種からなる「常用漢字表」が発表されます。
(現在の「常用漢字」と同じ名称ですが、内容は異なります)

字種とは、同じ音訓・意味を持つが字体が異なる漢字のグループのことです。
例えば、「島」と「嶋」は、字体は異なりますが、同じ字種グループに属します

ここで注目すべきは、以下の凡例文です。

一.本表ニナイ漢字ハ仮名デ書ク。

つまり使用できる漢字の制限を、日本政府が初めて公式に行ったということです。
(昔からある地名や人名などは、『固有名詞には本表にない文字を用いても差し支えない』と、一定の配慮がされています)

もっとも、本表にない漢字は仮名で書くといいながらも、別の漢字による言い換えの例を載せています。

例:『不遜(ふそん)』の「遜」の漢字が表に無いので、『無礼(ぶれい)』と言い換える。

日本ではじめて漢字制限を目的として制定されたこの表は、民間人の個人的な主張でなく、政府サイドから出された漢字の規格であったという点で画期的であり、審議の結果、大正十二年九月一日から新聞各社がこの規格に基づいて新聞を編集すると予定された。

『戦後日本漢字史』 著:阿辻哲次より引用

もっとも、その実施予定日、大正12年9月1日に関東大震災という想定外の出来事が起こったため、関東地域では新聞編集が出来ない状態になったのですが💦。

いいなと思ったら応援しよう!

はーぼ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?