[学者・軍人・政治家]【19】タンネンベルクの戦い02[2028文字]
核兵器のある世界はどういう経緯で出来たのか、歴史の流れをたどっていくシリーズの19回目です。
前回は、ロシア軍がドイツ軍の想定よりも早く動員を行い、東部戦線にて東プロイセンに向けて北部と南部の2方面から侵攻を行うまででした。
今回は、ドイツ軍のマックス・ホフマン中佐が立案した反撃作戦が実行されるまで、です🙂。
尚、物理学をはじめとする様々な専門的または難解な話は、ボクに基礎知識すら無いため😵💫、ご質問されてもお答えできませんのでご了承ください。
ロシア軍の作戦はシンプルであった。
数に勝るロシア軍は東プロイセンの北部と南部の2方面から侵攻し、兵力で劣るドイツ軍を挟撃してせん滅するという作戦であった。
しかしロシア軍にも欠点があった。
電線が不足していたため、電線を敷設して有線での通信が行えず、無線での通信で情報を伝達しあっていた。
しかも、通信兵の技量の問題から、高度な暗号を使わずに、簡単な暗号通信や暗号通信をしないままで、重要な情報のやりとりを行っていた。
ロシア軍の動きや作戦目的などが、ドイツ軍に筒抜け状態であった。
ドイツ第8軍参謀のマックス・ホフマン中佐は、傍受したロシア軍の通信から、ロシア第1軍と第2軍の連繋が密に取れていないことに着目する。
数に勝るロシア第1軍・第2軍と2方面で同時に戦っては、ドイツ軍に勝ち目はない。
動きの遅いロシア第1軍と対峙しているドイツ軍の大半を、鉄道を使って迅速に移動させ、ロシア第2軍の西側に展開させて包囲・撃滅し、その後ドイツ軍全軍でロシア第1軍を叩く作戦を、マックス・ホフマン中佐は立案する。
第8軍参謀長として赴任したエーリヒ・ルーデンドルフは、この作戦を承認し、第8軍司令官となったパウル・フォン・ヒンデンブルク大将は8月25日に、これを発令した。
ロシア第1軍司令官パーヴェル・レンネンカンプは、対峙しているドイツ軍の兵力が減少していることに気付かずに、ゆっくりと前進していった。
レンネンカンプはドイツ軍は撤退しつつあると思い込んでおり、兵力の大半が、ロシア第2軍の攻撃に移動していることに気付かなかった。
8月26日。ドイツ軍は、ロシア第2軍に一斉に攻撃を行う。ロシア第2軍司令官アレクサンドル・サムノソフは、ドイツ軍のほぼ全軍が攻撃していることに気付かなかった。
8月27日。ドイツ軍第8軍第1軍団司令官のヘルマン・フォン・フランソワは、集中砲火を浴びせ、ロシア第2軍の戦線を突破し、ロシア軍の退路を断つ。
8月28日。ロシア第2軍司令官アレクサンドル・サムノソフは、さらに前進を続け、ドイツ軍の包囲作戦にはまっていく。
8月29日。ロシア第2軍は、ドイツ軍によって包囲され、猛砲撃を受け、耐えきれず敗走する。
ロシア第2軍司令官アレクサンドル・サムノソフは自決した。
ロシア第2軍20万の内、死傷者5万人、捕虜は9万人に及んだといわれている。対し、ドイツ軍の死傷者は1万~1万5千人であったとされる。
この戦いは近くの地名から「タンネンベルクの戦い」と呼ばれた。
(タンネンベルクはこの戦いの主戦場にはなっていない)
参考・引用資料:
●「シーベルトとベクレル」 山崎岐男著
●「キュリー夫人伝」 エーヴ・キュリー著
●「キュリー夫人と娘たち」 クロディーヌ・モンテイユ:著
●「プルトニウム」 ジェレミー・バーンシュタイン著
●12月1日 「ウラン」の発見者マルティン・クラプロート誕生(1743年)(ブルーバックス編集部) | ブルーバックス | 講談社 (gendai.media)
●エックス線物語 馬場祐治 著
●「核エネルギーの時代を拓いた10人の科学者たち」 馬場祐治 著
●「原子爆弾」 内山克哉 著
●「大気を変える錬金術」 トーマス・ヘイガー 著
●「毒ガス開発の父ハーバー 愛国心を裏切られた科学者」 宮田 親平 著
●「リーゼ・マイトナー 核分裂を発見した女性科学者」 マリッサ・モス 著
●「核分裂を発見した人: リーゼ・マイトナーの生涯」 シャルロッテ ケルナー 著
●「リーゼ・マイトナー: 嵐の時代を生き抜いた女性科学者 1878-1968」 R.L.サイム 著
●「第一次世界大戦史」 飯倉 章 著
●「毒ガスの夜明け」 井上 尚英 著
●「八月の砲声」 バーバラ・タックマン 著
●「第一次世界大戦」 木村靖二 著
●「勃発! 第一次世界大戦」 山崎 雅弘 著
●「日本人のための第一次世界大戦史」 板谷敏彦 著
●「オットー・ハーン自伝」 オットー・ハーン 著
●「ヒトラー(上):1889-1936 傲慢」 イアン・カーショー 著
●「ヒトラー: 虚像の独裁者」 芝 健介 著
●「マルヌの会戦」 アンリ・イスラン 著
●放射線医学の歴史 (radiology-history.online)
●原爆と放射能のイメージ 中尾麻伊香 著
●リエージュの戦い Wikipedia