『コロコロ変わる名探偵』ショートショートnote杯
時は未来。
Q警部は気乗りがしなかった。
「犯人を捜すのに霊媒師を呼ぶのか」
「まぁまぁ。名探偵の霊を呼んでもらって、事件が解決するならいいじゃないですか」
部下のA刑事は能天気に言う。
霊媒師は老婆だった。ブツブツと唱えたかと思うと、ミャァミヤァと奇声をあげた。
ぽかんとするQ警部。A刑事は興奮気味に、
「これは三毛猫ホームズの霊!」
「猫を呼び出してどうする!他の名探偵を呼び出せ」
「すみません。チェンジお願いします」
不満げな顔の霊媒師は、次の名探偵を呼び出す。
『ワン、ワン、ワワン』
「犬?」
「け、警部、これは、迷犬ルパン!」
「人間の名探偵を呼べよ!」
『チェンジは2回までじゃ。次が最後じゃぞ』
三度目に霊媒師が呼び出した名探偵は、やっと人間だった。
『おや、こんな簡単な事件がわからない?』
「いいから早く犯人を推理しろ」
『は?推理なんて雑事、使用人にまかせればいいのですよ』
霊媒師が呼び出したのは推理しない名探偵、貴族探偵だった。
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