[学者・軍人・政治家]【20】第1次マズーリ湖攻勢[2028文字]
核兵器のある世界はどういう経緯で出来たのか、歴史の流れをたどっていくシリーズの19回目です。
前回は、ドイツ軍のマックス・ホフマン中佐が立案した反撃作戦が実行され、タンネンベルクの戦いでロシア第2軍が壊滅するまででした。
今回は、残ったロシア第1軍をドイツ軍が撃退する第一次マズーリ湖攻勢までです🙂。
尚、物理学をはじめとする様々な専門的または難解な話は、ボクに基礎知識すら無いため😵💫、ご質問されてもお答えできませんのでご了承ください。
ロシア軍第1軍司令官パーヴェル・レンネンカンプが、第2軍を包囲殲滅すべくドイツ軍は戦力の大半を移動させているということに気付き、速やかに第2軍の元に駆け付けていれば、逆にドイツ軍をせん滅できたかもしれない。
しかし、レンネンカンプが第2軍の救援に向おうとした時には、全てが手遅れであった。
ロシア軍第2軍を壊滅させた後、ドイツ第8軍司令官ヒンデンブルクと参謀長ルーデンドルフの次なる標的は、ロシア軍第1軍であった。
第2軍の壊滅及び司令官アレクサンドル・サムノソフの自決を知った、第1軍司令官パーヴェル・レンネンカンプは、第1軍をマズーリ湖まで後退させた。
西部戦線から送られてきた1個軍団を加えたドイツ軍は再編成を行い、9月5日には、ロシア軍への攻勢準備を完了させた。
この時点で、初めてドイツ軍はロシア軍を、数の上で上回るのだった。
9月9日から第1次マズーリ湖攻勢が始まる。
9月9日・10日の二日間、ドイツ第8軍第1軍団によって、ロシア軍は左翼に打撃を受ける。
ドイツ軍は、第2軍同様に第1軍を包囲殲滅しようとしていると判断したレンネンカンプは、撤退を命じた。
ドイツ軍は撤退するロシア軍を包囲することは叶わなかったが、14日までの戦闘で、ロシア軍に死傷者・捕虜を合わせて14万5千人を出させたという。
第1軍司令官レンネンカンプは、かろうじてロシア領まで逃げ切るが、軍籍を剥奪された。
こうして東部戦線でドイツ領に侵入したロシア軍は駆逐されたのだった。
ドイツ第8軍司令官ヒンデンブルクと参謀長ルーデンドルフ、とりわけヒンデンブルクは(マルヌの会戦の敗北から、ドイツ国民の目を逸らす意味もあり)東部戦線の英雄として祭り上げられる。
こののち、ヒンデンブルクは大統領になり、ヒトラーを首相に任命するが、その悲劇はこの時に芽吹いていたと言える。
参考・引用資料:
●「シーベルトとベクレル」 山崎岐男著
●「キュリー夫人伝」 エーヴ・キュリー著
●「キュリー夫人と娘たち」 クロディーヌ・モンテイユ:著
●「プルトニウム」 ジェレミー・バーンシュタイン著
●12月1日 「ウラン」の発見者マルティン・クラプロート誕生(1743年)(ブルーバックス編集部) | ブルーバックス | 講談社 (gendai.media)
●エックス線物語 馬場祐治 著
●「核エネルギーの時代を拓いた10人の科学者たち」 馬場祐治 著
●「原子爆弾」 内山克哉 著
●「大気を変える錬金術」 トーマス・ヘイガー 著
●「毒ガス開発の父ハーバー 愛国心を裏切られた科学者」 宮田 親平 著
●「リーゼ・マイトナー 核分裂を発見した女性科学者」 マリッサ・モス 著
●「核分裂を発見した人: リーゼ・マイトナーの生涯」 シャルロッテ ケルナー 著
●「リーゼ・マイトナー: 嵐の時代を生き抜いた女性科学者 1878-1968」 R.L.サイム 著
●「第一次世界大戦史」 飯倉 章 著
●「毒ガスの夜明け」 井上 尚英 著
●「八月の砲声」 バーバラ・タックマン 著
●「第一次世界大戦」 木村靖二 著
●「勃発! 第一次世界大戦」 山崎 雅弘 著
●「日本人のための第一次世界大戦史」 板谷敏彦 著
●「オットー・ハーン自伝」 オットー・ハーン 著
●「ヒトラー(上):1889-1936 傲慢」 イアン・カーショー 著
●「ヒトラー: 虚像の独裁者」 芝 健介 著
●「マルヌの会戦」 アンリ・イスラン 著
●放射線医学の歴史 (radiology-history.online)
●原爆と放射能のイメージ 中尾麻伊香 著
●リエージュの戦い Wikipedia