[学者・軍人・政治家]【14】リエージュ要塞02[2138文字]

核兵器のある世界はどういう経緯で出来たのか、歴史の流れをたどっていくシリーズの14回目です。

 前回は、中立国ベルギーに侵攻するドイツ軍に対し、ベルギーが抵抗をした経緯についてでした。

 今回は、そのドイツ軍に立ちふさがったリエージュ要塞での戦闘についてです🙂。
 尚、物理学をはじめとする様々な専門的または難解な話は、ボクに基礎知識すら無いため😵‍💫、ご質問されてもお答えできませんのでご了承ください。


 リエージュ要塞を中心にぐるりと360度を取り囲むように12の堡塁(リエージュ堡塁)が存在する。
 
 「八月の砲声」(バーバラ・タックマン著)では、そのうちのどの堡塁であるか具体的に書かれていないが、こう記されている。

 独軍はついにリエージュ市北方のヴィゼでミューズ川渡河に成功した。南方から攻めた部隊は追い払われたが、川が内側に曲がっている市の中央部に攻撃をかけていた部隊は、川に到達する前に堡塁の線まで進出した。

「八月の砲声」バーバラ・タックマン著

 ここでベルギー軍の抵抗にあったようである。

 撃ち合いが激しくなるにつれ、ベルギー兵は軟弱な ”チョコレート兵隊”だと聞かされていたドイツ兵の苦痛もひどいものになった。
 彼らはベルギー軍の抵抗ぶりに驚き、苛立った。

「八月の砲声」バーバラ・タックマン著

 ベルギー政府は各村々の住民に、武器を役人に預ける様、告示していた。
 住民はドイツ兵と戦ったり、侮辱するような行為をしたりせず、窓を閉ざし、屋内に留まるように指示した。
 これは、ドイツ軍がそれを口実に住民に対して略奪・虐殺をすることを防ぐ意味があった。
 しかし、その効果はなかったと、「八月の砲声」には記されている。

 それにもかかわらず、侵略を始めたその日に、ドイツ兵は一般市民を射殺したばかりでなく、ベルギーの司祭も殺した。
[略]
 同じ第一日目に、ヴァルサージュで人質にした六人の住民を射殺し、見せしめにバッティス村を焼き払った。
 「村は跡形のないまでに焼き尽くされていた」と数日後にこの村を行軍したあるドイツ将校が書いている。

「八月の砲声」バーバラ・タックマン著

2日目となる8月5日。
 ドイツ軍エンミッヒ将軍配下の旅団(六個旅団で特別に編成されたミューズ軍)が、リエージュ要塞の東の端にある4つの堡塁に対し、まず野砲で砲撃を開始し、続いて歩兵が突撃を行なった。
 しかし、野砲が軽量であったため砲撃の効果はなく、堡塁から撃ちだされるベルギー軍の砲弾の雨が、突撃するドイツ軍歩兵に降り注ぎ、ドイツ軍前列に多大な損害を与えた。 
 だがそれでもドイツ軍の歩兵たちは途切れることなく押し寄せた。
 堡塁からの機関銃の射撃によりなぎ倒されたドイツ軍の歩兵の死体の垣は1メートル近い高さになったという。

 ドイツ兵は再三再四攻撃を繰り返し、損害の補充は心配なしとばかり、まるで弾丸のように生命を消費した。
 [略] 
 あるベルギーの将校はその攻防戦の光景を回顧して書いている。

 「わが軍の猛射にあって、敵兵は折り重なって倒れ、ついに戦死者と負傷者で凄惨なバリケードができた。
 機関銃の前面が塞がれるおそれが出てきて、やっかいな状況になった。
 [略]
 ところが驚くなかれ、その死人と死にかけている兵士の人垣を利用して、独軍は地を這って近づいてきた。そして斜堤を登って突撃してきた。
 だがこちらの小銃の猛射を浴びて進めなくなり、中途から追い返されてしまった。[略]」

「八月の砲声」バーバラ・タックマン著

参考・引用資料:
●「シーベルトとベクレル」 山崎岐男著
●「キュリー夫人伝」 エーヴ・キュリー著
●「キュリー夫人と娘たち」 クロディーヌ・モンテイユ:著
●「プルトニウム」 ジェレミー・バーンシュタイン著
12月1日 「ウラン」の発見者マルティン・クラプロート誕生(1743年)(ブルーバックス編集部) | ブルーバックス | 講談社 (gendai.media)
●エックス線物語 馬場祐治 著
●「核エネルギーの時代を拓いた10人の科学者たち」 馬場祐治 著
●「原子爆弾」 内山克哉 著
●「大気を変える錬金術」 トーマス・ヘイガー 著
●「毒ガス開発の父ハーバー 愛国心を裏切られた科学者」 宮田 親平 著
●「リーゼ・マイトナー 核分裂を発見した女性科学者」 マリッサ・モス 著
●「核分裂を発見した人: リーゼ・マイトナーの生涯」 シャルロッテ ケルナー 著
●「リーゼ・マイトナー: 嵐の時代を生き抜いた女性科学者 1878-1968」 R.L.サイム 著
●「第一次世界大戦史」 飯倉 章 著
●「毒ガスの夜明け」  井上 尚英 著
●「八月の砲声」    バーバラ・タックマン 著
●「第一次世界大戦」 木村靖二 著
●「勃発! 第一次世界大戦」 山崎 雅弘 著  
●「オットー・ハーン自伝」  オットー・ハーン 著
●「ヒトラー(上):1889-1936 傲慢」 イアン・カーショー 著
●「ヒトラー: 虚像の独裁者」 芝 健介 著
●「マルヌの会戦」 アンリ・イスラン 著
放射線医学の歴史 (radiology-history.online)
原爆と放射能のイメージ 中尾麻伊香 著

いいなと思ったら応援しよう!

はーぼ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?