コミック、ちょっと気になるセリフ(04)~ふることふひと~2147文字

中国の戦国時代の末期、秦の始皇帝により初めての統一国家が誕生する時期のコミック『キングダム』の魅力の要因のひとつとして、従来、悪役ののイメージが強かった秦の始皇帝を戦乱の世を終わらせる理想に掲げて邁進する青年王という、斬新な解釈で描いていることがあるのではないかと思うのです🤔。
歴史コミックの魅力は、従来の人物観を覆し、意表をつく解釈で物語を紡くところにあるのではないでしょうか。

そして、今回ご紹介する『ふることふひと』、主人公は、なんとあの、藤原不比等(ふじわら の ふひと)です!

あのイメージ的には歴史の裏側でコソコソと暗躍し、藤原氏隆盛の基礎を作った、陰険かつ悪役的イメージが強いであろう、あの藤原不比等!。
もうこれだけで、このコミックはただものではない感満載です!

さて、時は天武天皇の御代。
場所は、壬申の乱で天智天皇の皇子である大友皇子を打ち破った天武天皇が統治する飛鳥浄御原宮(あすかのきよみはらのみや)。

かって天智天皇の右腕、腹心中の腹心として辣腕をふるった中臣(藤原)鎌足はすでになく。かっての栄華も今は昔ー。

中臣(藤原)鎌足の後継者である中臣連史(なかとみ の むらじ ふひと)[のちの藤原不比等]は没落氏族という立場に甘んじていました。

しかし一族の栄華を再び!などとという気概は欠片もなく、大舎人(おおとねり=下っ端の役人)として雑務をこなし、慎ましやかに暮らせる日々を願うだけという、おまえ主人公としてやる気あるんか?( º言º) と言いたくなるような体たらく。

そんな史(ふひと)ですが、天武天皇に呼び出され、内密に命令を受けたことにより、彼の運命は大きく動きだすのです。その命令とはー。

天武天皇は言います。
史(ふひと)ー。『神と通じ史(ふみ)を編むか 良い名だ。汝(な)れにその名に相応しき役目を与えたいと思う 神代より連なりし邦家の史書 古事記(ふることふみ)の編纂だ』

想定外の命令を受けて驚いてる史(ふひと)

なぜそのような命をしたかといえば、かって正しきこの国の歴史を伝えんがために聖徳太子が当時の大臣蘇我馬子と共に史書を編纂したものの、乙巳の変(いっしのへん)によって焼失してしまったーと伝えられていました。

ですが、その内容は常人の域をはるかに超える記憶力をもつ史(ふひと)の頭の中にすべて記憶されていることを、天武天皇は知っていたからでした。

『故に今一度 文字に書き起こさねばならぬ ただし二つの決めごとを守れ 一つは編纂を終えるまで内密に遂行する事 そしてもう一つは「和文(やまとことば)」で書き記す事だ 中臣史(なかとみのふひと) 偽りを削り実(まこと)を定め 正しき古事(ふること)を 後の世に伝えよ』

そう命じられた史(ふひと)ですが、ふたつ条件を出します。
自分の名は秘したままにして欲しい、語り部の巫女を輩出している一族、稗田阿礼(ひえだのあれ)という女性の偽名で『古事記(ふることふみ)』を編纂させて欲しいと。

そして、「和文(やまとことば)」で記することが自分はできないので、ひょんなことで知り合った、「和文(やまとことば)」の出来る大舎人、太安万侶(おおのやすまろ)の協力を仰ぎたいと。

そして万事手はずが整ったあと、史(ふひと)は気付きます。
一緒に編纂する者がいたら、自分の正体がバレるのではないかと。
えっ、おまえ、いまになって、それに気づくんか?( º言º)


かくして、正体を隠すため稗田阿礼(ひえだのあれ)として女装した中臣史(なかとみのふひと)と、その正体を知らずに女性と思い込んで好意をもってしまった太安万侶(おおのやすまろ)の、『古事記(ふることふみ)』編纂事業が始まるのでした。

しかし、口述筆記といっても簡単ではありません。音(こえ)で表現すると長くなってしまうので、訓(よみ)で表そうと提案する太安万侶(おおのやすまろ)。

しかし、それでは、アメとアマのふたつの訓(よみ)をもつ「天」は誤解を生んでしまいますと指摘する、稗田阿礼(ひえだのあれ)に女装した中臣史(なかとみのふひと)。
言ってることはもっともだけど、お前に言われると なんかざわつくわ( º言º)

この問題は注釈付けで太安万侶(おおのやすまろ)がナイスクリア

こうして、『古事記(ふることふみ)』編纂を軸に物語が進みます。

・・・と思いきや、1巻の終わりで物語は不穏な展開を迎えます。
史(ふひと)出生の秘密が明かされます。
実は史(ふひと)は中臣鎌足の子などではなくー。

『貴方様のお名前は 史部(ふひとべ)の姓(かばね)から名付けられたものではございません 実(まこと)の意味は』

等しく比(なら)ぶ者 不(な)きお方・・・不比等(ふひと)

2巻以降、物語は『古事記(ふることふみ)編纂だけにとどまらず、史(ふひと)自身の物語も加わり、波乱の展開を迎えていきます。
コミックならではの斬新な解釈で、物語を楽しませてくれる・・・・はずだったのですが、まことに残念なことながら、この『ふることふひと』、全6巻で完結しました。

正確には物語は完結しておらず、むしろこれからというところなのですが・・・連載が終わってしまったのです。
あぁ、どこかで連載再開してくれないかなぁ。無念・・・( º言º)

ちなみに、『ふることふひと』は、現在Kindle Unlimitedで、1巻~3巻までが無料で読めます。


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