[いだてん噺]世界新記録(1209文字)
二階堂トクヨからの快諾を得て、第3回岡山県女子体育大会に出場するため、喜び勇んで帰省する絹枝だったが、玄関を開けたとたんに線香のにおいが鼻をついた。
1924年(大正13年)10月5日。第3回岡山県女子体育大会が、岡山女子師範学校で開催された。
当日、絹枝の父母だけでなく、姉も義兄も応援に来てくれたという。
この大会にて絹枝はホ・ス・ジャンプ(三段跳び)で、10m33の記録を出す。当時の世界記録がアメリカのスタイン選手の持つ10m323であった。
絹枝にとって、初めての世界新記録であった。
世界新記録をだしたことで、大阪毎日新聞、大阪朝日新聞はもとより、山陽新報等の地元岡山の新聞にも絹枝の名前が大きく掲載された。家族の喜びもひとしおであった。
『セカイキロク ヲ ヤブリマシタ』(世界記録を破りました)
トクヨ宛てに電報を打った絹枝だが、『体を大切にせいよ』と家族に見送られて、10月9日に二階堂体操塾に帰ったときには、トクヨから叱られはしないかと思っていたという。
(敬称略)
■参考・引用資料
●『人見絹枝―炎のスプリンター (人間の記録)』人見 絹枝:著、 織田 幹雄 ・戸田 純:編集
●『二階堂を巣立った娘たち』 勝場勝子・村山茂代:著
●『KINUEは走る』 著:小原 敏彦
●『短歌からみた人見絹枝の人生』 著:三澤光男
●『1936年ベルリン至急電』 鈴木明:著
●『オリンピック全大会』 武田薫:著
●『陸上競技百年』 織田幹雄:著
● 国際女子スポーツ連盟 - Wikipedia アリス・ミリア - Wikipedia
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