「光る君へ」への長い道のり ~『第20回 「望みの先に」振り返り』(その4)(ネタバレ)~[3638文字]
大河ドラマ「光る君へ」 第20回『望みの先に』 の振り返り、その4です。
※以下より、第20回のストーリーを記述しています。未視聴の方は先に第20回をご視聴ください🙇。
■[第20回『望みの先に』 振り返り]その4
二条第ー。蔵人頭・斉信〔金田哲〕が招かれた。
既に中関白家を見限っている斉信の心の内に気づいてない高階貴子〔板谷由夏〕は、上座に座った斉信に懇願するのだった。
高階貴子「息子たちがどうか重い罪になりませぬよう蔵人頭の斉信様から帝にお口添えをいただきたく、お願いい申し上げます」
斉信「残念ながらここに至っては、もはや私があずかれることではありませぬ」
伊周〔三浦翔平〕「今はどうなっているのでございますか?お教えくださいませ」
虚ろな顔で尋ねる伊周。
斉信「女院様と右大臣様を呪詛したとして、帝は大層お怒りである。そうでなければ、中宮様をこちらへお帰しにはなりますまい」
斉信の顔をじっと見つめるききょう〔ファーストサマーウイカ〕。
伊周「呪詛・・・。呪詛などしておらぬ!」
身に覚えのないことに、思わず叫ぶ伊周。
二条第の廊下に、ききょうと斉信。
斉信「中宮は見限れ。伊周らが逃げたら、すぐ知らせよ」
ききょうにそういうと去っていく斉信。それを目で追うききょう。
女房たちの声(清少納言は裏切者、裏切者、裏切者・・・)
土御門殿ー。伊周が道長〔柄本佑〕を訪ねてやって来る。
道長「謹慎中のはずだが・・・」
伊周「謹慎中の身に、お目通りをお許ししてくださり、ありがとうございます」
座に就き、伊周と向かい合う道長。
伊周「院を脅し奉るために矢を放ったのは弟にございます。その責めは私が負いまする。されど、(絞り出すような声で)呪詛はしておりませぬ。どうか・・・そのことをどうか、帝にお伝えくださいませ。なんと内裏に戻れますよう、右大臣様の格別のお力を賜りたく、切に・・・切にお願い申し上げるばかりにございます」
深々と頭を下げる伊周。
道長「私も、過酷なことは望んでおらぬ。されど・・・お決めになるのは帝ゆえ」
伊周「帝に私をお信じくださりますよう、何とぞ・・・何とぞ・・・」
涙を浮かべ頭を下げる伊周。
伊周「何とぞ・・・何とぞ・・・(涙声で)お願い申し上げまする」
明かりの無い登華殿の広間に一条天皇〔塩野瑛久〕。
定子〔高畑充希〕「お上・・・」
声に振り向く一条天皇。定子の姿があった。
定子「お上が恋しくて・・・来てしまいました」
定子に近づく一条天皇。
一条天皇「なぜ内裏に上がれたのだ」
定子「右大臣が手引きしてくれました」
一条天皇の足元にひれ伏す定子。
定子「どうか、兄と弟の罰を軽くしてくださいませ。お情けを・・・」
応えはない。顔を上げて一条天皇を見上げる定子。
一条天皇はじっと前を見据えている。悟ったかのように立ち上がる定子。
定子「下がります。お健やかに・・・」
一礼をし月明かりの廊下を去っていく定子。遠ざかる背中を見つめる一条天皇。
一条天皇「待て」
駆け寄り定子を抱きしめる。涙のあふれる目をつむる定子。
内裏ー。
行成〔渡辺大知〕「謀反の罪は死罪であるが、罪一等を減じ、遠流に処す。藤原伊周を大宰権帥、藤原隆家を出雲権守に任じ、配流いたす。伊周、隆家に代わり、藤原道綱〔上地雄輔〕を中納言に、藤原斉信を参議といたす」
晴明〔ユースケ・サンタマリア〕の屋敷。
反閇をする晴明。
道長「帝のご判断はこれでよいのであろうか。伊周、隆家は私の甥でもある。子供の頃は屋敷の庭でよく遊んでやった。彼らがまことに女院様と私を呪詛したのであろうか」
晴明「そのようなこと、もうどうでもよいと存じます。大事なのは、いよいよあなた様の世になる、ということにございます、あなた様には誰もかないませぬ」
道長「フッ・・・。年若き帝の激情さえ押さえられぬというのに・・・。伊周、隆家は、この先、どうなると思うか?」
晴明「隆家様はいずれあなた様の強いお力となりまする。」
道長「伊周は?」
晴明「あなた様次第にございます」
二条第ー。定子とききょう。
定子「しばらく里にさがるがよい」
顔をあげるききょう。
ききょう「私は中宮様のおそばにいとうございます」
定子「嫌がらせが高じて、そなたの実が危うくなってはならぬ。里に一度下がった方がよい。必ずまた呼び戻すゆえ」
ききょう「私の身なぞどうなってもよろしいのでございます」
伊周、隆家が大声を上げながらやってくる。
伊周「俺はどこにも行かぬ!」
隆家「兄上!」
伊周「大宰府など死んでも行くものか!」
隆家「行くしかありませんよ、兄上!」
伊周「黙れ!」
伊周を目で追う定子。
為時の屋敷。訪ねて来たききょうから話を聞くまひろ。
まひろ「二条第から下がられたのですか?」
ききょう「でも心配で心配でなりませんの。伊周様と隆家様は処分をお受け入れにならないので、検非違使が親志乃周りを囲んでいるそうにございます」
まひろ「えっ・・・」
ききょう「捕らえられてお屋敷を出る伊周様と隆家様を見ようと、物見高い下々の者たちまでが大勢加わっているそうで・・・」
まひろ「中宮様が心配ですね」
ききょう「そうなんです。(まひろの手を取り)まひろ様、一緒に行って下さらない?」
まひろ「は?」
二条第の前ー。
民に変装し野次馬の人だかりに紛れたまひろとききょうは、警固の者たちが離れた隙に、二条第の中に忍び込むのだった。
葉っぱの茂った枝を両手に持ち、庭で身をかがめる、まひろとききょう。
縁に座る憔悴しきった高階貴子。
門の方から声がする。
実資「伊周と隆家を捕らえる」
一同「はっ!」
実資「帝のお許しは出た。門を突き破れ!伊周と隆家を捕らえよ!」
一同「お~っ!」
部屋に籠った伊周。
隆家「兄上、もう諦めましょう。(立ち上がり)私は出雲に参ります。」
伊周「どこにも行かぬ・・・どこにも!」
縁に出る隆家。
隆家「母上、姉上、お別れにございます」
高階貴子「隆家・・・」
隆家「(笑って)お健やかに」
高階貴子の鳴き声を背に、走り去る隆家。
門を壊す音がする。
定子「兄上、もう逃げられませぬ。帝の命にお従いくださいませ」
伊周「どこにも行かぬ・・・どこにも!」
走って逃げだす伊周。検非違使が踏み込んできて、へたり込んだ高階貴子を囲む。
実資「検非違使の別当、藤原実資にございます。伊周殿をお迎えに上がりました」
庭の植え込みの陰から見ているまひろとききょう。
御簾の奥から定子が出て来る。
実資「中宮様を牛車にお移しまいらせ。屋敷内をくまなくあらためよ」
一同「はっ!」
こちらへ、と定子を促す検非違使の隙をついて、定子は検非違使の腰の小刀を抜き取る。
実資「中宮様、何をなさいますか!」
定子「寄るな!」
自らに刃を向けた定子は、黒髪を切り落とす。
刀を捨てる定子。
息を飲む、ききょうとまひろ。
次回、越前でどうする(´-`)。
以上で『第20回 「望みの先に」の振り返り』は終了です(´-`)。
最後までお読み頂き、ありがとうございました🙇。