【ちょっと懐か史】~ 吉村昭氏インタビュー 1996年4月21日~
1996年4月21日の紙面に、作家、吉村昭氏のインタビューが掲載されていました。
川路聖謨を主人公にした歴史小説『落日の宴 勘定奉行川路聖謨』が出版されたことからの特集です。
吉村昭氏は、緻密な調査、取材によって得た事実を積み上げて作品を描くことで有名な方と聞いています。
司馬遼太郎氏も無数の資料を買い漁ることでは有名でしたが、司馬氏はその中から、自分の描きたい物語にあう史実をピックアップし、作品は史実に忠実というよりも、物語として脚色してるような印象を、個人的に受けます。
司馬氏は天性の物語作家だったのではないでしょうか。
ゆえに史実にはないことも盛り込みます。
だからこそ、司馬氏が描く颯爽とした登場人物たちの物語に、多くの人は時には涙を流さんばかりに心を揺さぶられたのではないでしょうか。
司馬氏の歴史小説を、感情を揺さぶる「お酒」として例えるとしたら、吉村氏の歴史小説は何に例えればいいのでしょうか。
天気を調べ、事実を積み上げて、三日もかけて「夕方、空は茜色に染まった」の一文に至る。吉村氏のような綿密な調査をして作品へと昇華させる作家は、もう出てこないのかもしれません(ボクが知らないだけかもしれませんが)。
1996年は司馬遼太郎氏が亡くなった年でもあります。
司馬遼太郎氏(1923年ー1996年)と吉村昭氏(1927年ー2006年)、歴史小説への取り組む角度の全く違う二人の作家は、ほぼ同時代を生きていたのですね。
■引用資料
読売新聞1996年4月21日紙面
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