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デザインでコンサルティングってどういうこと?

デザインでコンサルティングを行なっていると、「画面の色とかボタンの配置に対してコンサルティングをしているの?」といわれることが未だに多いように感じます。確かにUXについてコンサルティングをする際に、画面の色やボタンの配置などUIデザインについて考えることはあります。

ですがこれは「デザインでコンサルティングする」ことではありません「デザインをコンサルティングする」です。そこで「デザインでコンサルティングするとはどういうことか」「その場合デザインは何を意味するのか」ということを、私があまりデザインを理解されていない方に説明するのに使う方法を、ご紹介したいと思います。

またこの考え方はツールとして使っている、デザイン思考の根本的な考え方にもなると思います。


Step.1 デザインをする前に

ここからは物語を使って説明したいと思います。

【物語】
昔々、ある人が木にリンゴがなっているのを見つけ、リンゴを食べたいと思いました。しかし木登りが得意でない彼は木の上になっているリンゴを取ることができませんでした。

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「この設定いるの?」と思う方もいるかと思いますが、実はこの状況の確認がとても重要になります。なぜなら主人公が直面している課題と願望を把握することがデザインでコンサルティングを行う際に最初に行うことだからです。まとめるとこうなります。

課題
「主人公はリンゴを食べたいが、木に登るのが得意でないのでリンゴを取ることができない」
願望
「リンゴを食べたい」

この主人公が直面する課題を解決し、願望を叶えることがデザインの役割になります。そこで願望を叶える方法を考えるに当たり、VISIONを決めたいと思います。今回はこんな感じにしました。

VISION
簡単に木の上になっているリンゴを取れるようにしたい

ここでいうVISIONとは課題や願望に対して、解決の方向性を示したものです。課題を解決する方法や、願望を叶える方法はいくつもあります、その中で今回の解決方法について明文化したものです。

サービスデザインを行う際に、サービスの方向性を最初に決めておくことで、何を作ろうとしているのか、どんな価値を提案したいのかということをブレずに進めることができます。VISIONは一度決めたら変えないというわけではなく、適宜ブラッシュアップしていきます。


Step.2 観察する

さて課題と願望もわかり、解決の方向性も決まりました。次にどうすればこのVISIONを実現することができるのかを考えます。

ここで行うのは観察です。観察はクリエイターが日々行っているものです。アイデアノートなどにまとめるなど、身の回りで起こったことや見たものなど日々の観察によるアイデアのストックが、良いアウトプットを生み出していると思います。

【物語】
リンゴを諦めきれずにウロウロしていると、1人の男が上手に木に登りリンゴを取っているではありませんか。そこでどのように木登りをしているのかを観察することにしました。すると登り方にコツがあることがわかりました。

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この観察はデザイン思考ではエスノグラフェー調査(民族誌調査)と呼ばれる手法用いて行います。木に登るのが上手い人の動きを観察しながら、登り方のエッセンスを抽出し、デザインに活かします。

観察結果
木に登るのが上手い人は等間隔で足場となる丈夫な枝を見分け登っていたことから、上手に木登りをする為の2つのエッセンスがわかりました。
・等間隔で足場を確保する
・乗って大丈夫な枝を見分けられる


Step.3 アイデアを出し形にする

しかし木登りが上手い人の登り方がわかっても、誰にでも同じことができるわけではありません。

【物語】
木登りが上手い人のやり方を理解したので、真似してみましたが、うまくいきません。そこでどうすれば同じことができるのかを考えることにしました。
ふと周りを見渡すと丈夫そうな木が落ちていることに気付きました。そこで木と木を等間隔に固定し、いくつもの足場が並んだ道具を作ることにしました。何度か試しては足場の間隔を調整し、完成させました。
そして完成した道具を使うことで、簡単に木に登ってリンゴを取ることができました。

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最終的にできたのモノは「はしご」です。

作りながら考える
まず得られたエッセンスを使い自力で登ることを試しましたが、難しいことがわかりました。
そこで得られたエッセンスと周りにあったリソース(材料)とを組み合わせVisionを実現する方法(アイデア)を考えることにしました。アイデアを出し、作っては試すことを繰り返し、「はしご」を完成させたのです。

この出したアイデアに対して、「作る」「試す」「考える」を繰り返しながら完成させていくプロセスが、デザイン思考で言われるBuild To Thinkの流れになります。主人公もアイデアを出すだけではなく、作っては身体を使い試して、更に考えるということを繰り返したことで、「はしご」をデザインしVISIONを実現することができました。

はしごがこのような方法できたのかはわかりませんが、デザインとは「はしご」を作ることであり、このサポートをすることがデザインでコンサルティングすることになります。そしてこれはデザイン思考のプロセスと同じです。デザイン思考は、「はしご」を作るプロセスをフレームワークとしてまとめたものになります。


違うVISIONでデザインしてみる

今回の事例では「簡単に木の上になっているリンゴを取れるようにしたい」というVISIONにしましたが、これは願望を実現する1つの方向性でしかありません。

「気に登らずリンゴを食べれるようにする」というVISIONを立てた場合、最終的な実現方法は異なると思います。その場合「木に登るのが上手い人にリンゴをとってもらう代わりに、違うモノを提供する」というような実現方法も考えられます。このようにVISIONが異なれば、実現の方向性は変わります。またリソースが異なれば実現方法も異なります。

しかしコンサルティングの目的は変わりません。目的は主人公の願望を実現することです。そしてデザインによるアプローチは、主人公の願望の実現するための効果的なアプローチの1つなのです。


最後に

冒頭の話にあった画面の色やボタンの配置を考えることは、「はしご」の例では色や形を考えることで、より登りやすくすることにあたると思います。もちろん細部に神は宿るという言葉もあるくらい、細部にこだわることはとても重要だと思います。ただデザインの役割がそこだけに目が向きがちな気もしています。

いかがでしたでしょうか、「デザインでコンサルティングするとは何か」「その場合のデザインは何を意味するのか」をご理解いただけたでしょうか。このnoteを通してデザインの可能性を少しでも感じていただけたら嬉しく思います。

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