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日々感じたこと、考えたこと、好きな本やアニメ、歌のこと、少しずつ書いてみようと思います…

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日々感じたこと、考えたこと、好きな本やアニメ、歌のこと、少しずつ書いてみようと思います。気軽に投稿することが目標。コメント等でやりとりもできたら更に嬉しいです。

最近の記事

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辻村深月さんの小説に救われて

辻村さんの作品に出逢いひかれたのは、20代になってからだ。10代の読者も多いだろうから、少し遅いほうかもしれない。 10代のころは、本は読んでいたが、一番好きなことではなかった。 他に大好きなことがあった。 それは、歌。 理由などわからないほど好きで、歌うために生きていた。他のすべてのことは待ち時間でしかなかった。電車に乗ることも、本を読むことも、食事をすることさえも、待ち時間だった。 大切なことは、すべて歌から学んだ。 歌うことは、空を自由に飛べることだった。

    • 友人

      友人と山に登った 白く美しい手 ゴツゴツとしていて、運動が好きで、傷が絶えなかったはずの手だ かすれた小さな声 人のために懸命に声をあげることをためらわなかった声だ 山道 土をふむ音 木々の枝からのぞく空 久しぶりに会えてよかった それだけで 頂上なんて、辿り着く必要はない

      • 景色

        景色は、遠い。 遠くの景色を見ると、ふっと力が抜ける。 日常生活には、「遠く」が圧倒的に足りていない。 近くの相手に対面して仕事をこなし、 近づく予定に心配事を抱え、 近くのスマホに埋没する。 近い将来の目標を約束させられさえする。 近くにあるものは、隙間なく、逃げ口なく、心を圧迫する。 遠くの景色を見つめていると、 それだけで、圧迫から解放される。 遠いということ。 それは、気にしなくてもいいということ。 辿り着かなくたっていいということ。 そのまま

        • 想いの強さ

          中学へ向かう、登校の上り坂。歩道橋の陰。締め付ける制服の襟元。 ぎゅっと目をつむって歩いていると、小学校の教室の喧騒が頭の中に蘇り聞こえてきた。このまま目を閉じ続けたら、次に目を開けたとき、タイムマシンみたいに過去に戻っていないだろうか。今見ている現実が夢だったことにならないだろうか。 そう思いながら歩いていたことを、よく覚えている。 初めから行きたくなどなかった。 地元の公立小学校から、受験をして私立中学校へ入った私には、同じ小学校の友達は一人もいなかった。 初めて

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        辻村深月さんの小説に救われて

          悲しみの底で

          深い悲しみの海がある。 涙の波にのまれ、感情の渦に巻き込まれ、光さえ見えなくなって、暗い海中へ沈んでゆく。 苦しんでもがいても、どうにもならないことの圧倒的な喪失感になす術もなく、 やがて、悲しみの底にたどりつく。 そこは、これまでの大時化がうそのように、すっと凪いでいる、一等静かな場所だ。 その透明な景色の中で、夢にまでみた、亡くしたはずのものとの邂逅が待っている。 悲しみを感じること自体が、大切なものと共にあることの証左だと気づく。 大切なものに想いを馳せるとき、与

          悲しみの底で

          書くということ

          昨年は4月にブログ、次いでnoteを始めました。 以前から興味がありつつも手を出せずにいた、「書く」ということ。 これまでは、少し気になっても踏み込めない、結果を気にしすぎて始められない、ということがほとんどでした。そうすると、何年経っても、いつまでも心の隅にひっかかり、まだやりたいような、諦めたいような、もやもやとした気持ちになる。自分の人生を受け入れて納得する道からは遠く離れてしまう。そう感じたのです。 やってみて良ければ続ければいいし、だんだんその物事と自分との距離

          書くということ

          希望を照らし出す作家

          愛する人を喪うに等しい体験をしたことがある。 私は小さなころから、うたうことが好きだった。 理由などわからないほど好きで、うたうために生きていた。 すべてのことは、うたうための待ち時間でしかなかった。 電車に乗ることも、本を読むことも、食事をすることさえも。 うたうことは、空を自由に飛べること。 それさえあれば、ずっと生きていけると思っていた。 ところが、二十代になったころ、私はうたえなくなった。 身体的なことが理由で、私にはどうしようもなかった。 どんなにあがいて

          希望を照らし出す作家

          三浦綾子「塩狩峠」

          「聖書に書かれている出来事が“本当”かどうかはどうでもいい。ただ、イエスキリストの生き方そのものに感銘を受けるのだ。」 宗教という言葉からイメージしてしまう胡散臭さや、聖書に書かれていることに真実味のなさを感じていた私に、信者の先生が教えてくれたことだ。 そのような視点で聖書を見返すと、少し違って見えた。 そこに書かれている生き方はとても真摯で、魅力的な言葉が胸をうった。 あなたはどう生きる?と問われている気がした。 三浦綾子さんが書かれた「塩狩峠」は、明治末期の史実

          三浦綾子「塩狩峠」

          星の王子さま

          「星の王子さまはすてきな人で、いつもにこにこしていた。ヒツジを欲しがっていた。それが王子さまがこの世にいた証しだ」 私が一番好きな言葉です。 でも大人は、それでは納得しない。 「王子さまのふるさとは小惑星B612番だ」と言うと納得するそうです。それ以上に大事なことはなく、他には何も知ろうとしないそうです。 数字で管理する。管理すれば知った気になる。誰にでも通じる誰にも意味のない情報を重要視する。 私も、本当はそんな大人です。 だから、冒頭のこの言葉は忘れたくないと思

          星の王子さま

          「100万回生きたねこ」と「100万分の1回のねこ」

          佐野洋子さんの「100万回生きたねこ」という絵本があります。 この絵本に捧げる「100万分の1回のねこ」という短編集を書店で見つけたとき、心がふるえました。なんという素晴らしい企画!あの100万回のうちの、大事な1回1回を描いてくれるなんて! 13人の作家さんが短編を寄せていて、それぞれに「100万回生きたねこ」をテーマに、思う存分書かれています。 各短編の冒頭には、作家さんの一言メッセージが書かれています。 これもとても素敵なのです! その作家さんの個性や短編内容を表

          「100万回生きたねこ」と「100万分の1回のねこ」