鏡の向こうがわ
47日目
夜は鏡を見ないようにしています。
部屋にある鏡台は鏡の扉を閉め、キャスターがついたスタンドミラーは壁に向けています。
日中はというと、まず顔を洗うために洗面台の鏡を見て、着替えるためにスタンドミラーを見て、化粧をするために化粧台の鏡を見て、外出先で前髪を整えるために手持ちの缶ミラーを見ます。
自分の身だしなみを整えるために必要不可欠な鏡ですが、不思議と夜には恐怖を覚えてしまいます。「夜に爪切り」は平気なのに。
だって鏡の向こうの景色が自分の知っている景色と違ったら怖くないですか?
鏡に映る自分が突然笑い出したら、と思うと鏡を見たくても見られません。
降霊術について調べていたとき、深夜に鏡に向かって…という儀式の方法を知りました。怖くてどんな手順だったか覚えていませんが。
だから鏡は別の世界に繋がっているというイメージが強く印象づけられているのかもしれません。
(降霊術といえば「ひとりかくれんぼ」は怖すぎて逆に頭に残っています。鏡とはあまり関係ありませんが気になる人は調べてみてください。)
フィクションの世界でも、パラレルワールドと鏡が繋がっているとか、真実を映し出す鏡とか、特別な存在になっています。
古代でも古墳に鏡が入れられるなど、捧げ物としての価値もありました。
ただ光を反射する板なのに、昼と夜とでこれほど対局の感情を抱くものは私の中で他にありません。
丑三つ時が未だに怖いっていうのも一つの要因かもしれない。
夜に鏡を覗けるような強い大人になりたいです。