日本保守党の研究 44 保守と偽リベラル
ノートに投稿された下記の記事を読みました
週刊ポスト 2024年11月1日号の『[大論争] 5人の論客が自称・保守政治家を丸裸にする。石破茂そして野田佳彦は保守かエセか』 という記事の紹介でした。
①橘玲 石破自民が「立憲民主よりリベラル」という逆転現象
②小林よしのり "男系闇堕ち"した「賊茂」はエセである
③呉智英 家族観は時代ごとに違う。夫婦別姓認めて何がおかしい
④佐藤優 根底に「キリスト教」があるからリベラルな保守になれた
⑤橋爪大三郎 保守なき日本政界の「柔軟保守」になれるか
記事は、web上でも公開されていて、Makeover50さんが紹介しているのは、
だけですが、他の4件も、公開されています。
Makeover50さんは、主として、佐藤優さんの記事にふれていますが、ここでは、一応みなさんの記事をとりあげます。
橘玲(たちばな あきら)さんは、石破自民は、立憲民主よりリベラルという逆転現象が起きたという言い方をしています。
政策によっては、自民のほうが立憲民主よりもリベラルだというわけです。
例えば、
① 北欧のような社会保障制度の実現のためには、国民をマイナンバーで効率的に管理するしかないのに、リベラルを自称するメディアや政党は「紙の保険証に戻せ」と大合唱しました。
② 安倍さんが「同一労働同一賃金」を導入したときに、「自分の経済政策はグローバルスタンダードだとリベラルだ」と述べたけど、自称リベラルは反論できなかった。
③ 先の総選挙で、正社員と非正規の身分差別を廃止するための「解雇規制の緩和問題」が俎上に載ったが、立憲民主党は、正社員の既得権を守る労働組合が支持母体であるため、この問題では守旧派になっていた。
日本も世界も、「誰もが自分らしく生きられる社会」を目指すという意味での「リベラル化」の大潮流のなかにある。政権を担う自民党は、この現実に対処しなければならないので、リベラルな政策を取り入れるようになった。
というわけで、自民党こそ、リベラルなのです。
かつて社会主義や共産主義を標榜していた日本の左派が、ソ連の崩壊などを経て、リベラルの旗頭をたてるようになりましたが、真のリベラルには、成り切れておらず、偽リベラルでしかないという現状にあるのです。
小林よしのりさんは、本当の保守は、女性・女系天皇の道を開くべきという言い方をしますが、天皇家は、これまで男系でやってきたわけですから、保守は、男系の維持だと思います。
平安時代の後宮や、江戸時代の大奥のような手段がとれなくなった現代において、女系を認めようではないかというのが、リベラル思考だと思います。
日本の一般家庭も、基本的には、男系です。女の子しか生まれなかった家では、婿を迎えて家をつぐという手段があると思いますが、女の子は嫁に出すと判断した家も多かったと思います。何々家の墓を、どのように維持していくべきか、時代や地方によって、いろんな考え方があったと思います。
また、武家は、基本的に男系制継承でしたが、商家は、一番才覚のある男性を養子に迎えるという女系継承をとってきたとも思います。
天皇家の問題については、国民に対し、本質をついたわかりやすい説明がなされることを、願っています。
佐藤優(さとう まさる)さんは、石破さんは、リベラルな保守だと思う。伝統的なものを大切にするという価値観は保守で、多元的な意見を認めるというアプローチはリベラルだ と言います。安倍首相を支えてきた岩盤保守は、”こうすれば理想的な日本ができる”という考え方なので、保守というより、右翼ナショナリストだと言います。
ただ、安全保障政策については、保守・リベラルではなく、リアリズムの概念で動いているとも言います。
呉智英(くれ ともふさ)さんは、夫婦別姓問題をとりあげ、石破氏は総裁選の前には「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よくわからない理屈があるが、やらない理由がよく分からない」と主張していたのに、首相就任後は「家族の根幹にかかわる」として、慎重論に転じたと批判しています。
夫婦別姓を保守が反対するのは、子供の姓をどちらの姓にするかで、夫婦の合意が得られなかった場合に発生する家庭崩壊です。賛成派は、家庭裁判所で決めるというような案をだしているようですが、家庭裁判所で解決するはずはありません。
ある自由を認めたときに、それで助かる人がいたとしても、それで困る人もいるし、その自由を悪用しようという人もでてきます。イデオロギーを語る人は、物事の一面だけ見て、都合の悪い面は隠す傾向にありますが、正直に物事の全体を考えて欲しいと切望します。
橋爪大三郎さんは、石破首相は、まともな保守がいなかった日本政界で、「岩盤保守」に対抗する「柔軟保守」になれるか注目したいと言います。
橋爪さんは、戦争直後の日本に保守はいなかったけれど、戦前の帝国憲法下の秩序が古き良き日本のように見えてきて、そこに復古しようとする岩盤保守層の考え方が出来上がってきて、この岩盤保守層が、安倍さんを支持していたと説明します。
しかし、この説明は、一面的だと思います。岩盤保守層が、日本の再軍備に賛成なのは、中華帝国や、ロシア帝国が着実に軍拡しているからです。帝国主義反対と叫んできた左翼の人たちが、日本帝国主義に対しては反対するのに、中国とロシアの帝国主義には反対しないことに対して、岩盤保守層は、不信感を抱いています。
米国には、リベラルな民主党に対して、保守的な共和党が存在しますが、共和党を支持する保守層は、キリスト教の教えに従い、進化論は否定し、人工中絶は認めないという非常に頑固な人達です。
こういう意味合いで、保守は、非常にやっかいな存在ですが、日本の岩盤保守層において、明治憲法や教育勅語にもどれと考えている人の割合は、そんなに高くはないと思っています。
日本保守党が、大きく育つなかで、日本の保守思想なるものが、固まっていくと信じています。
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