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【雑記】シトラスポット大量生産実現の舞台裏 | 実現方法が全然見えないよ編
僕がデザインしたボードゲーム『シトラスポット』が紆余曲折、右往左往、複雑多岐としていましたが、無事に大量生産からの発売に漕ぎ着けました。その裏側で一体何が起きていたのか、実現までに起きていたことを日記形式で簡単に紹介します。(時系列はいい加減です。ご容赦ご容赦)
【11月下旬】大量生産を決意するも、ハードル高し
#シトラスポット 当日分は完売です!!!!! pic.twitter.com/NAE207tWka
— ホソヤ タケヒロ(Friedegg games) (@thin_valley) November 23, 2019
試しに少数生産したシトラスポット、秋ゲムマで秒速で売れたやん。めっちゃ話題になったやん。ごっつええ感じやん。
再販希望が殺到しているため、どうにかして大量生産しないといけない。今は手作りでフェイクフルーツを作っていたけど、やり方を変えないといけない。大量生産方式を検討する上でクリアすべきハードルは以下の3点。
品質:本物のフルーツに見えるように表面の質感や透明感を維持しないといけない
納期:4月のゲムマに間に合うよう、3月末には納品されないといけない
価格:どんなに高くても販売価格を4,500円以下に抑えないといけない
たった3点だけど、ひとつひとつがかなり厳しい。けどやってみる。
【12月上旬〜中旬】製作工程の改善を試み、失敗
まず検討したのは作り方の見直し。今の作り方をざっくり説明すると、
樹脂粘土をこね→着色し→表面の粒々をつけ→2週間乾燥させ→フルーツの皮を取り付け→皮も着色する。これも3日間乾燥させる必要があり、見直さないと納期に間に合わない。
まず思いついたのが、フルールをひとつひとつ作るのではなく、一度大きな塊を作った上で裁断して、金太郎飴のように作る方法。しかし樹脂粘土が柔らかすぎて実現できず断念。
次に検討したのがレジンでの製作。しかしこれも大した時間短縮につながらず、ポシャる。
最後に検討したのが3Dプリンターでの製作。業者さんに協力を仰いで進めた結果、納期はクリアできたが品質面がイケてなく、フルーツの透明感を出そうとすると販売価格が12000円まで跳ね上がってしまったため断念。
ここまでで貴重な時間を0.5ヶ月消費してしまい、納期の実現難易度が高くなっていき、プレッシャーも重くなっていく。
【12月中旬】食品サンプル業者に相談するも全滅
技術的解決が無理なら人海戦術じゃい!と、代わりに作ってくれる業者を探し始める。
最初に食品サンプルメーカーに相談に行く。相談した4社のうち3社から「そもそも作れません」と言われる。シトラスポットで使われるサイズは実際のフルーツより一回り小さく、黒色も再現できないとのこと。そりゃ傷んだ真っ黒なオレンジの製作を頼む飲食業なんてないからね、仕方ないね。
残る1社は品質と納期は問題なかったが、ガチな職人さんが手作業で製作するため販売価格が8,000円まで跳ね上がってしまい断念。
「ぶっちゃけこの品質を言われた金額で作れる業者はないと思うから、諦めて頑張ってコツコツ作った方がいいよ」とアドバイスされ、ここら辺から「マジで大量生産できないんじゃね?」という恐怖に襲われ、体重が増える。
【12月中旬】中国メーカーとの検討がいい感じに進む
並行して中国メーカーの門を叩く。要件を伝えると「了解です。多分できますよ」と軽く返され拍子抜け。心の重荷が一気に取れて部屋の中で小躍りする。
2週間後、中国メーカーから「実際のフルーツの大きさでなら作れる。色はレモンとオレンジの2色だけね。あと費用は言われた金額の1.4倍かかる。YOROSHIKU」と衝撃の連絡が。聞いてた話とちゃうやん。
大量生産実現の兆しも見えぬまま納期まであと3ヶ月。ストレスで逆流性食道炎になる。
寒さにメンタルをやられかけたので、猫様に遊んでもらってきました。 pic.twitter.com/ok1bvdoS02
— ホソヤ タケヒロ(Friedegg games) (@thin_valley) December 23, 2019
人はメンタルをやられると猫様にすがる。
【12月下旬〜1月中旬】希望の一筋が射す
別件でシトラスポットのサンプルをお渡ししていたメーカーさんから突然「ワンチャンいけるやで」との連絡が。再び大量生産実現の希望の灯が見える。しかし前回のこともあるので試しにいくつか作ってみて欲しいとお願いしてみたところ快諾。
【#シトラスポット再販計画】
— ホソヤ タケヒロ(Friedegg games) (@thin_valley) January 18, 2020
コンポーネントのサンプルが届きました!!
色味などの微調整はあるものの、再販実現の一番の課題であろうクオリティーも、問題なさそうです!
あとは納期調整だけ!春のゲムマに間に合わせるぞ!!!!!! pic.twitter.com/jJ4zzRrPRR
中国からサンプルが届く。品質は問題なし!あとは納期と価格さえクリアできれば・・・。
メーカーに相談したら「納期は大丈夫だが、問題は価格。今もらっている3倍の数を発注いただければワンチャンいける」とのこと。提示した数ですら予算ギリギリで、どんなに生活費を削ってもそんなお金は用意できない。無理だ。終わった。さらばシトラスポット、安らかに眠れ。
という話を聞いたベンチャー代表の先輩が、呆れながら一言。
「金がないなら借りればええやん」
オイオイ天才かよ。圧倒的ソリューションで素早く問題解決。次の日に早速資金を調達し、その場でメーカーに正式発注。
僕「値段はこのくらいで抑えたいんですけど……」
— ホソヤ タケヒロ(Friedegg games) (@thin_valley) January 18, 2020
メーカーさん「さすがに厳しいです。頂いた数の3倍発注頂ければ可能かもですが笑」
僕「やりましょう」
友達「えっ」
メーカーさん「えっ」
見積書「えっ」
口座残高「えっ」
冬ボーナス「えっ」
生活費「えっ」
老後の不安「えっ」
近所の犬「えっ」
こうしてシトラスポットは大量生産に至り、僕の内臓も一旦は平穏を取り戻したのであった・・・。
と思いきや、徐々に新型コロナウイルスが報道され始め、またもや暗雲が立ち込める。どうなるシトラスポット!?どうなる俺の内臓!?後半に続く!!
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シトラスポット、買っちくり〜〜〜ってお話です。
5月末まで、ゲームマーケット公式通販にて取り扱い中です。
シトラスポットは、まるで本物のようなオレンジとレモンの輪切りを瓶詰めにした、二人専用のボードゲームです。5つの袋の中身を互いにチェックしていき、相手が仕掛けた傷んだオレンジを先に当てたら負け!チェックの順番をずらせるレモンの使い方が勝負のカギになります。可愛いけど奥深い、究極の心理戦をお楽しみください。
どうぞよろしく!
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