2020年の読書をふりかえる
2020年に読んでよかった本を分類し、読書によって何をしようとしていたのかざっくりふりかえり、今後の生活につなげようとするものです。
旅の多様化・街の描出
ナショナル ジオグラフィック編『いつかは行きたい 一生に一度だけの旅 BEST 500』:相当ディープな旅が定番かのように描かれる。多分これがベースライン。
村上春樹『東京するめクラブ 地球のはぐれ方』:行ったことのない街でおもしろい場所を訪れるには?
宮内悠介『偶然の聖地』:陸の国境を跨ぐ旅をしてきた人の書く小説として。
白洲信哉『旅する美』:伝承や古美術に立脚した旅の異質さ。
ギョルゲ・ササルマン『方形の円』:旅のインスピレーションを小説にするために。カルヴィーノを連想させるとか、ルーマニア文学としての側面も着目。
料理
青木ゆり子『世界の郷土料理事典: 全世界各国・300地域 料理の作り方を通して知る歴史、文化、宗教の食規定』:日本で手に入る食材を使った代用レシピも載ってる。ヨルダンで食べ損ねたマクローべに再会。
檀一雄『檀流クッキング』:小林康夫先生がフランス留学時代に使ってたレシピ本。描写の仕方や考え方は土井義晴さんに通ずるものがある。「高級肉の切れ端を馴染の肉屋で譲ってもらう」など、買い出し指南もよい。
杉本博司『趣味と芸術―謎の割烹 味占郷』:積まれてやがる。早すぎたんだ。
海との絆
アン・モロウ・リンドバーグ『海からの贈物』:海辺に棲んで創作の糧とするとは
白須順『青の儀式』:海との絆のバリエーション、青のエピソード蒐集
曽我部 篤『タツノオトシゴ図鑑』:タツノオトシゴを日本十進分類法の0類から9類の各視点で捉えるような本。
マーサ・ナカムラ『雨をよぶ灯台』:「解釈違い」や「地雷」もあるわけで。
世界哲学へ
中田考訳『日亜対訳 クルアーン』:読書会を進行中。
谷隆一郎『受肉の哲学』:イエスの「復活」はいかにして可能か。
伊藤邦武、納富信留、中島隆博、山内志朗「世界哲学史」シリーズ:特に積極的に読んだのは中東についての記述やエルサレムの奪取合戦に繋がる宗教・思想についての項目。キーはやっぱり数学。中世化した2000年代にルネサンスがもう一度あるとすれば、中国・インドあたりからデータサイエンス周りの智慧の収奪が行われるんだと思う。
未来哲学「創刊号 特集・未来哲学とは何か」:世界哲学以後
弱かった分野の見識を広げる
小津夜景『いつかたこぶねになる日: 漢詩の手帖』:漢詩に関心。散文うますぎ。
打林俊『写真の物語──イメージ・メイキングの400年史』:都写美も今年はたくさん行った。
書肆侃侃房編集部『現代短歌のニューウェーブとは何か? 』:歌集も読んだ。
ライフワークの〈探索〉をオフサイトでやりつつ、身体と身体による物体の操作についての調査・研究に時間を費やした一年
フランチェスカ・ビアゼットン『美しい痕跡 手書きへの讃歌』:「文章」と「身体」の汽水域。
郡司ペギオ幸夫『やってくる』:徹底した「空」になり、徹底した受動的能動を目指したらジャグリングや倒立、軟体がやってきた。忖度、ダメ、ゼッタイ。
ジャグリングの雑誌もやってくる
「YANA」:ひっそり読もう
購入履歴にない本について、今後加筆するかも。購入リンクとか貼ってなくてすいません。
本屋・生活綴方で不定期に店番やってます。そちらもよろしく。