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巨大な獅子が私を護るのだ

所沢のメットライフドームには、白いライオンのオブジェがある。

私は、そのライオンの存在を知った瞬間「豊平川のライオン」のことを思い出した。

その昔、札幌の豊平川沿いにあったパチンコ屋さんの屋上に、それはそれは大きなライオンの像が存在していた。
その大きさといえば、私の記憶でしかないので曖昧だけれど、「札幌かに本家」のあのリアルな蟹の看板を、そのままライオンに咥えさせてちょうどいいほどの巨大さだったと思う。
そのライオンは、私にとってまるで幻獣のように映った。

しかしそのライオンは、時の流れのなかで、その玉座のごときパチンコ屋の屋上を失ってしまったと聞いた。…なんて言うと格好いいが、つまりはお店が潰れてしまったらしいのだ。
そんな憐れなライオンの末路なぞ、おおかた取り壊されて粉々になって—そんな塩梅なのだと勝手に思っていた。が、それは違ったのだ。
あのライオンはどうやら、パチンコ屋さんの閉店後、無事に、ノースサファリサッポロという場所に再就職できたらしい。どうやら中に入ったりも出来るアトラクションとして生まれ変わったようで、ライオンは三途の川の番人から、いきなし現実的なお仕事に転職したらしかった。

私がまだ札幌に住んでいた当時、私は生きることにとても疲れていて、ふらふらと川に沿って散歩をすることが、その精神をどうにか「生」のほうに保つ為の方法だったりもした。

そういう中で、川の対岸沿いに見かけるその大きなライオンと顔を合わすことは私にとっての楽しみというか、心の支えがそのライオン、みたいな塩梅になっていたのだ。

2019年の段階でも、上記の記事をUPしてTwitterでシェアした際に「豊平川のライオン、懐かしい!」とお声がけくださった方もいた。それくらい、当時札幌に住んでいてあのライオンを見ていた人にとっては強烈な存在だったのだ。

あの、ひたすらに死への渇望だけが私を抱き寄せようとする毎日の中で、私はあのライオンの存在がただただ嬉しかった。
そのライオンが未だに、札幌の動物園で穏やかな日々を送っている。私はそのことにだいぶ、喜ばされたのだ。

しかもその動物園ことノースサファリサッポロは、Youtubeでもだいぶご活躍されていて、動画の中でもたまに、動物達と一緒にちらりとあのライオン像が映ったりする。ちらり、とでもあのライオンが見えるたび、私はとても嬉しくなるのだ。

そういう中で、まさかのメットライフドームにも、改修工事ののち、白いライオン像が置かれる運びとなった。というか、私がライオン像があることを知ったのは意外と最近なのだ…ほら、コロナ禍だったし、ね。

そもそも熱心にテレ玉の野球中継を追う様になったのは、自分のバンドがテレ玉のCMに出てからだ。

ご縁があって東京ドームまで巨人戦を観に行ったことはあったけれど、メットライフドームには、改修よりうんと以前に「世界バラ展」みたいのを観に行ったきり。西武ライオンズとは縁が遠い生活をしてきた。

けれど、テレ玉にお世話になってからはライオンズ中継もよく観るし、なんなら今年は高校野球の埼玉大会もだいぶ観ている。

(高校野球中、たくさんCM流していただけて本当にありがたい…。)

そんな中、今日はマイナビオールスターゲーム2021の初戦を迎えた。テレ玉ではなくテレ朝なんだけれど、すっかり顔と名前が一致する様になった西武の面々を応援したくって、今夜はテレ朝にチャンネルを合わせた。

初戦の今日は、メットライフドームでの試合だった。テレビ画面の向こう側に、あの白いライオン像が映っているのが見えて、私の胸は小さな鈴を鳴らすかの様に高鳴った。

大きさがあの豊平川のライオンと同じくらいかどうか、まだメットライフドームのライオンと実際に対峙していない私には、よくわからない。

けれど、埼玉の、所沢の、あすこに—大きなライオンが「いてくれる」、その現実が、私にはどうしても嬉しいのだ。

埼玉で今こうして生活していくまでの間、私には本当にさまざまなことが起きて、生きているのが嫌でない時期の方が少なかった。

前を向いて、希望を見出したくって、一度は諦めていた音楽の道をふたたび志した。それでもやはり道は険しく、もしも同じことを十年前にやっていたら違ったろうか、などと、どうしようもない「たられば」を考えてみたりもした。

それでも「やるしかない」と思っていた。ここで諦めたらもう、もう一度腰を上げるとなったらしんどすぎて大変なのは明確だった。歳を重ねれば体がしんどくなる分、精神もまた「億劫」を覚える。DTMを覚えたり、動画の作成を覚えたり、音楽をサブスクなんかにUPすることも面倒になるに違いない。実際、おそらくそういう理由で動こうとしない先輩方がちらほら見受けられるのだから。

そうしてやっと、テレ玉から仕事を頂けた。「埼玉のヘヴィーメタルバンド」としての仕事、だ。

やっと、やっと、埼玉に居場所が持てた」—それが、私の心からの感想だった。

だから、埼玉にもライオンがいてくれることは、私にとって「天からの応援」みたいな安心感があった。

どこにいてもライオンが、私を護ってくれている様な気がする。

この御時勢なので、野球観戦については、にわかファンみたいな私はまだ遠慮しておこう。

いつか世の中がもう少し落ち着いた暁には、メットライフドームのライオンに逢いに行こうと思う。

ありがとう、白いライオン。まだまだ私を見守っていてね。



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今までサポートが千円に達するごとに、子ども支援事業へ寄付をして参りましたが、しばらくの間、宮崎教授による猫の腎臓病治療薬研究にお役立ていただく為に、東大基金へ寄付したいと思っております。

あまりにも世の中暗いニュースばかりで、そういう中で「もしも猫の腎臓病が減らせるならば、人間にとってもすごく幸せなことだよなあ」と思ったのが理由…なのもあるし、単純にたくさんの猫に救われて欲しいからもあるし、いろいろです。

一気に寄付が三千万も集まるって、世の中まだまだ捨てたもんじゃ無いですね、ちょっと明るいニュースに嬉しくなりました。

ちょうど、前回寄付をしてまた0からのスタートになったところでしたので、これからしばらくは、東大基金の方へ寄付させていただきますね。

よろしくお願い申し上げます。ゆき

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