未解決事件簿19:N筆跡鑑定人・「同一人物とは断言できない」と病院を擁護
前回は元検(ヤメ検)N弁護士を初回訪問した時の様子についてお話ししました。
N弁護士は嘘の説明を交えながら、僕たちの話を理解できないふりをし、病院にとって都合の悪い話に対してはノーコメントを貫き、この事件を刑事告訴することを阻止していました。
N弁護士は医師を刑事告訴する条件として「この死体検案書の筆跡が病院の先生のものであるというお墨付き(99%以上)を筆跡鑑定人からもらえれば」という条件を付けてきました。
僕たちは既にこの筆跡が同一人物のものであることは間違いないと確信していましたし、プロの筆跡鑑定人が第三者的に判定すれば「同一人物」という結果になるという自信もあったため、ここが突破口になるだろうと大いに期待していました。
N筆跡鑑定人に電話でアポイント
その翌日に訪問
僕たちは筆跡鑑定のYouTubeチャンネルを持ち、書籍執筆の経験もあり、筆跡に関するTV番組に出演したこともあるというN筆跡鑑定人に、2012年1月4日に電話でアポイントを取って、翌1月5日にその鑑定人の事務所を訪問しました。
僕たちはこの問題の「死体検案書」と、例のT医師が記載した病状説明用紙を横に並べて提示し、さらにそれぞれから抜き出した単語(例えば「急性心筋梗塞」、「急性硬膜下血腫」、「DIC」、「疑」その他、個人情報を含めた文字、数字など)を拡大して、横に並べて示しました。
その資料の一部を再掲します。
そして、「この「死体検案書」が病院のT先生によって書かれた、つまり捏造されたものであることを証明して、この先生を刑事告訴するのが目的で、そのためには筆跡鑑定士の鑑定結果が必要と言われました」と説明しました。
N筆跡鑑定人「決め手に欠ける」「同一人物とは断言できない」
N筆跡鑑定人は「この「死体検案書」が病院の先生によって書かれたものかどうかということですね。どれどれ」と言って、その2つの資料を見比べていました。「まあ、似ていると言えなくはありませんが・・・しかし今一つ決め手に欠けますね」とその鑑定人はひどく歯切れの悪い言い方をしました。
「これでも決め手に欠けますか」と僕は「信じられない」という顔でその鑑定人に聞き返しました。「この心筋梗塞の「梗」の字の木へんの書き方や、「DIC」のそれぞれの文字の間隔や流し方、「疑」の字など、そのままじゃないですか?」と僕たちは改めて質問しました。
「文字数のサンプルを増やしていけば、100%に近づけることはできます。しかし・・・まず5文字鑑定すると、印象としては80%程度ではないでしょうか」、「その後、文字数を増やしていけば最終的には90%くらいにはなるかもしれません」とのことでした。
「僕たちは100%だと確信していたんですけど、先生の見立てではそうではないのですね」と念を押しました。
「私も仕事柄、慎重にならざるを得ません。はい同一人物ですよ、などと気軽に言えないのが難しいところです。しかし、まず5文字鑑定してみて、それであなたたちの望む結果にならなかった場合、鑑定する文字を1文字ずつ増やしていけば、可能性は上がると思います。そうしてみたらいかがでしょうか。1文字、3万円になりますですよ」とN筆跡鑑定人は言いました。
弁護士からは「99%以上の結果が出なければ、鑑定結果を証拠として採用しない」と言われているんです。僕たちの方で100%という結果は出ているんです。先生の名において、99%以上と言っていただければ、この事件は解決に向かって大きく前進するんです。それには先生のお力が必要なんです。どうか、お願いします。お金なら常識の範囲内であればいくらでも払います」と僕たち3人、頭を下げました。
「お願いされたから、はいそうですか、じゃあ、あなた方の言うとおりにします、というわけにはいかないのですよ。私も信用を売る商売をしていますから、「私の間違いでした」では困るのですよ」と鑑定人は言っていました。
N筆跡鑑定人には「何を言っても要望は通らない」と見切りをつける
弟が母と僕に向かって首を横に振りました。「この鑑定人は何を言ってもダメだ」ということを顔で言っていました。僕も全く同感でした。「はるばるここまでやってきたのに」という失望感と徒労感で泣きたい気持ちになりましたが、僕たちはこれ以上、粘っても得るものがないと判断し、「もういいです。他を当たりますので」とその鑑定人に言い残して、出て行こうとしました。
「ちょっと待ちなさい。あなたたちは、私のことを大した鑑定人ではないとお思いかもしれませんが、他の人に聞いてもらえれば分かりますよ。筆跡鑑定において私ほどの人はいませんよ」と豪語していました。「それは分かりました。しかしあなたに頼むつもりはありませんので、引き揚げます」と捨て台詞のように言い残して、その場を後にしました。
「あいつ、何なんだ」と僕たちは、その筆跡鑑定人に対する怒りをまき散らしていました。これだけ筆跡が似ていて、鑑定がやりやすい例などそうそうないだろうに、そして引き受けて99%の鑑定結果を出してもらえれば、僕たちはいくら払ってもよいと言ったのに、あの鑑定人はみすみすその大きな商機を逃す態度を取った・・・これも僕たちにとって全く理解不能でした。
N筆跡鑑定人は筆跡鑑定を拒むことで商機を逃し、自らを犠牲にすることで、大事な防波堤の役割を果たしたことになります。
N筆跡鑑定人も病院に取り込まれたか
僕たちはこの時点で疑っていました。この鑑定人にも病院の手が回っている・・・最初は「疑い」でしたが、やがてそれは「確信」に変わりました。しかし、電話でアポイントを取って、その翌日に訪問するまでの間、X病院側は僕たちの行き先をどうやって把握して先手を打ったのか、その方法が分かりませんでした。いずれにしても違法な手段と考えられました。
僕たちは、他の筆跡鑑定士に相談に行っても、同じことの繰り返しになってしまうことは目に見えていたため、「この方法は使えない」として、筆跡鑑定依頼を断念することにしました。もし次に鑑定を依頼するとしても、行き先の情報がX病院にリークしない方法で行わなければ、同じ方法により先手を打たれてしまい、取り込まれてしまう、ということです。これは非常に難しい状況だ、と頭を抱えました。
「死亡届」欄に家族の名をかたって何者かが記入して役場に提出してしまったという事実に行きつく
しかし僕たちには明るい兆しもありました。時期は前後してしまいますが、死体検案書・死亡診断書について調べていたところ、2011年12月末頃になって、ある事実を発見し、驚愕しました。それは「死亡届」記入欄の存在です。
既に説明したことですが、死亡診断書(死体検案書)はA4サイズではありますが、その左側に同じくA4サイズの「死亡届」があり、これらがつながってA3サイズとなっているのが、本来のこの書類の正式な書式です。しかし僕たちの場合、例の「警察官」から受け取ったのは、A4サイズのコピーの「死体検案書」のみでした。死亡届の記入欄は付いていませんでした。
僕は母と弟が僕の知らない間に、この「死亡届」を書いて役場に提出したという可能性をまず先に考えました。そこで僕は念のため、母と弟にも聞いてみました。「死亡届は書いた?役場に提出した?」と。「ううん、何それ?」と母と弟は言いました。「やっぱりそうか・・・」と僕は唇をかみました。
僕は母と弟に説明しました。「実はこの「死体検案書」の左側には「死亡届」の記入欄がついていて、本来はA3サイズなんだって。遺体を搬送してきた葬儀屋からこれを受け取って、「死亡届」の欄に遺族が書き込んで、それを役場に提出するんだってさ」と僕は言いました。「この死亡届、俺らは誰も書いていないということだね」と僕は念を押しました。「書いてない。本当は書くものなのね?」と母は言いました。「じゃあ、誰かが書いて出しちゃったってこと?」と弟が言いました。「そういうことになりそうだ。これは大変なことになった。その書いた人も立派な犯罪だ。これは、かえってやりやすくなった。次回、N先生(弁護士)に会ったときに、このことを説明すれば、さすがのN先生も動いてくれるはずだ」と僕は言いました。
母と弟もその事実に衝撃を受けていて、「こんな細かいことに、よく気づいたね」と言っていました。
筆跡鑑定結果は得られなかったものの、僕たちは何者かが家族の名を騙って「死亡届」欄を記入して僕たちの目に触れないように役場に提出してしまったという衝撃的な事実を発見し、興奮していました。
N弁護士にこの新たな発見について説明すれば、さすがのN弁護士も刑事告訴の方向で動いてくれるのではないかと期待していました。
N弁護士の2回目の相談の様子については次回お話ししたいと思います。
追記①:最終目標は病院・医師の実名報道
僕の最終目標はこの事件を明るみに出して、この病院・医師の実名報道を実現することです。
追記②:「フォロー」と「スキ」のお願い
この事件に興味がある、この病院・医師が許せない、この病院はどこの病院なのか気になる、実名報道まで見届けたいと思われた方は是非、「スキ」と「フォロー」をよろしくお願い致します。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?